四人の道
「おい康介、お前寝るなよ」ノリの声で俺は起きた。ここはどこだ?
「ノリ、プリントできた?」俺の前に座っている橘が言う。そうだ、古典の授業中だ。
「俺ができねえから康介に聞いてるんだけどさぁ、寝てた人に聞いてもしょうがねーや」
「まあ、わかったら教えてねー」橘がそう言って、さっきまで解いていた宿題をやり始める。
「宿題って家でやるもんだろw」ノリが言う。
「家でやる時間とかないし。家に帰ったらゴロゴロしてゲームして寝る」
「俺も同じ」
「お前らさぁ、それでよくいい点取れるよな。まあ、俺の方が中間試験の点数上だったけどさ(どや)」うわードヤ顔でた。これウザいんだよなー。
「何偉そうに言ってるんだよ。俺だって頑張ってるじゃんか」俺が言い返す。
「さっきまで寝てた人がよく言えるな」これだからノリは、、、痛いところを突っつかれるんだよなぁ。
「まあ、こんな話してる間にもお前にもらった自作問題解けるし、それ解くか」ノリが俺の作った数学の問題集を出す。「これ解けたらコーラ奢る約束だぞ」
「はいはい。その代わり解けなかったら俺がコーラもらうぞ」
ノリが前を向いて、解き始める。そう。俺の学校生活は毎日こんなんだ。かけをしては奢ってもらったり奢ったり、つまんないときは寝たり、周りと喋ったり。とにかく、パッとしない毎日なのだ。
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「川崎くん、君は正直者だ。本当のことを言うのが、君のためだ」学年部長の吉松先生が俺に向かって言う。別にこれを伝えるために俺をわざわざ昼休みの時間に職員室に引っぱり出さなくてもいいじゃないか。吉松先生って、普段はいい先生なのに、こう言うことになると厄介なんだよなー。しかもさ、こういうトラブルって、男子が最初に疑われるよな。女子の可能性も考えろよ。
「何回も言ってますが、僕はこの事件と関係ありません」10回以上言ったはずだ。この主犯は俺じゃない。神に誓ってもいいぜ。でもそれを証明するものがない。いや、それは嘘だ。あるんだよ、証拠が。犯人が誰かわかっている。知ってる人はいるはずだ。その人たちが証明してくれるのに、なんか1ヶ月立っても自首しに来ないんだよな。代わりに俺が濡れ衣着せられるしよ。
「君じゃないと、私だって信じたい。でも、その瞬間、君は防犯カメラの目の前にいて、事件現場が見れなかったのだよ。これだけの証拠からだと、君が犯人としか思えないよね?」
「そうかもしれません。でも、僕はやってません」
「まあ、また新たな容疑者が出るまでは、君は容疑者と言うことになりそうだね」
「まあ、そうですね」
「もう一回聞くよ。君は他の人のスマホを使ってその人になりすまし、他の人に悪口を送ったかい?」
「いいえ。僕には他人のパスコードを見破る技術もありませんし」まあ、ここは嘘だ。俺は他人のパスコードなんてすぐにわかる。そんな技術、小学生の頃に磨いておいた。
「まあ、今日はもう解散だ。また気が変わったらいつでもおいで」
「はい。ありがとうございます」
いや、俺、そんな馬鹿じゃないよw。俺こうやって先生に疑われてるけどさ、いや、これ、退学とかのレベルじゃね?w俺は中一に入ってすぐこんな馬鹿な行動を監視カメラの前で堂々とやるようなやつじゃない。もっと馬鹿や夏がいたんだってば。自首しろよ、主犯め。
「今日も事情聴取乙ーw」康介が俺のことを待っていた。思った通り、もうみんな昼飯食べ終わってる。こんな意味のない事情聴取、誰がやってられるんだよ。
「まあ、俺は今日も飯抜きか」
「よくお腹空かないよな」
「まあ、その代わり授業中こっそりガム噛んでるからw」
「前の方なのによくバレないな」
「お前後ろでいいよな」
「おい、先生くるぞ」俺の唯一の親友、流輝が言う。
「やべ、早くガム噛まなきゃw」
まあ、これが俺の1日だ。特別なことと言ったら、俺が毎日のように犯してもいない罪で濡れ衣を着せられてるってことだけだな。とにかく、毎日がだるい。
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また僕の筆箱を取って、何をする気だ。いや、なんか、これ何回目?ってぐらい取られてる。僕の筆箱、そんなに人気?いや、ただの筆箱だし。まあ、中には色々文房具入ってるけどさ。女子より入ってるかもね。流石に女子でもミニ磁石とか、ミニハサミとか、蛍光ペン5色とか、コンパスとか、修正テープとか、そこらへん全部揃ってる人は少ないんじゃないかな。まあ、男子では僕以外いないことは確定だし。
そんなことを思ってるうちに、僕の友達(いや、正確に言うと友達じゃないんだけどね)、空馬が筆箱を空馬の友達、朝陽に投げようとする。
「もうそろそろ返せよ」僕が言う。
空馬が僕を無視して朝陽に投げる。
「もう先生くるよ。早く返しな」空馬が投げた筆箱を通りかかった梨央がキャッチする。それを僕に渡す。「はい。そろそろ自分で筆箱管理しようねーw」
「梨央すごw」梨央と一緒にいた実が言う。
「梨央ー、先生くるよー」梨央の友達の佳代が言う。
席に着いたあと、僕は自分の6時限目提出の終わってない代数の宿題を取り出し、先生が話してる間に問題を解く。あーあ。どーせ僕の学校生活はこういうつまんないやつなんだよ。
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「お前さ、いつもボーッとしてるよな」アキに言われ、改めて認識する。まあ、確かに俺はいっつもボーッとしてるかもな。
「でも、やることないんだから他にすることない」
「まあ、それがお前らしくていいんだけどさ」
ここからアキの自慢をする。
本名は佐藤明紀。唯一の親友。運動もできて、現時点バスケ部に所属している。彼女もいるし、完璧な男子。まあ、頭はそれほどよくないけど、俺よりはいいはずだ。成績優秀者に載ってなかったのは残念だけど。こんな俺でも代数で見事に3位に入って載れたのにさ。
まあ、アキの情報が入ったことで、今の状況を説明する。
「まあ、お前って例えるならナマケモノ?w」アキが言う。
「あー、まあ、それはわからなくもない」近くに座っていた蓮が入ってくる。
「キノコ頭のお前が言うな」俺が言い返す。
「いや、僕ってそんなにキノコじゃなくない❓これはミニキノコだよね❓」出たー、赤はてなマーク。しゃべりからとかからして、蓮って赤ハテナなんだよね。まあ、実際LINEとかのトークでも「❓(これ)」使ってるし。毎回これに変換しようという無駄な努力が俺にはわからない。
「てかさ、お前らそろそろ部活入らないのか?」アキが言う。またバスケ部に誘ってる。
「僕だって入りたいんだよ。一応親にも入れって言われてるし。でも僕に合ってる部が見つからないんだよ」蓮が言う。
「お前仮入部行ってないじゃん」俺が言い返す。
「見学したら仮入部したくなくなる。そういう光輝も部活入りなよ」
「俺は別に遠慮しとく」
「なぜだ」
「俺は運動できないし」
「30秒で腹筋9回しかできなかった僕に比べたらマシだと思いませんか❓」
「思わない」
昼は委員会。そして先生のダラダラ長い話。そして5時限目は理科1。原子とかどうでもいいんですけど。
俺の人生って、人一倍つまらない。俺みたいに、俺の生活もパッとしてない。こんな生活がいつ終わるのだろうか。