表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。

こんなBとLの活用法シリーズ

こんなBとLの活用法 ー真純視点―

作者: Rira
掲載日:2017/03/16

文章が少し可笑しかったので、訂正しました。

それに伴い内容にも一部変更があります。


それでも可笑しかったら教えて頂ければ幸いです。

これが私の限界です…。




 「ねぇ、あんたの好きそうなネタがあるんだけど聞きたい?」


 このちょっとぶっきら棒で口の悪い話し方をする親友が、無理をして笑っているのがとてもツライ。

 気を張ってないと今すぐにでも泣き出して『なんで?どうして?』と問い質してしまいそうだ。 そんなことをすれば意地っ張りなこの親友は、きっと思いっきり吐き出せない。 心の何処かで我慢して、全てを吐き出す前に自分をセーブしてしまう。 だから、ここは親友に合わせていつも通りの対応をしようと決めた。


 「聞きたい!聞きたい!聞きたーいっ!お願い、聞かせてーー!!」


 私はちゃんと笑えているだろうか…。




 このちょっとぶっきら棒で口の悪い話し方をする親友の佳絵かえ、呼び名はえっちゃん(私命名)は学生時代からの付き合いだ。

 見た目も中身もスッキリさっぱり飾らないスタイルを貫く、一見常識人に見える姉御肌のえっちゃんは強烈な個性を持つ家族達の中にだいぶ普通よりの感性を持って生まれてしまわれた。

 バリバリの末っ子ちゃんとして生誕したはずのえっちゃんは、末っ子なのに家族の尻拭いに奔走されまくり、否応なく常識人対応と姉御肌体質を体得してしまった過去話は同情を禁じえない。

 初めてえっちゃんの過去に触れた時、けっこうイイ性格をしていると自負している私でさえエグさとしょっぱさに笑い飛ばすどころか泣くに泣けなかった。 だって、えっちゃんの苦労はこれで終わらない。


 えっちゃんの最大の不幸は、持って生まれた飾らない真っ直ぐな心と否応なく培われた広大な度量の広さを併せ持ってしまったことだと思われる。


 これのなにが不幸に繋がるのか、すぐに思いつかない人はおめでとう、あなたの感性は普通です。

 思いついちゃった人もおめでとう、ここに仲間がいますよ! カモーンw


 まぁ人によって見方は変わるけどね、私は不幸だって思う。

 えっちゃんの魅力はある一定層にマタタビ以上の効果を与え、ホイホイしてしまう代物だ。

 自分の意志に関係なくゴキ○リホイホイならぬ“変人ホイホイ”マシーンえっちゃんとして機能し続けてしまうため、えっちゃんの周りは変人で固められている…。 変人である私が言うのもなんだが、これが不幸でなくなんだって言うんだっ!!


 そんなので本当にホイホイされるものなのか疑問に思っている人がもしいるとしたら、こう言いたい。 『現に私がホイホイされてる!』と。



 どうしてもえっちゃんの歪な笑顔の理由が気になって気になって仕方ない…。

 他のことを考えて気を紛らわそうとしても結局はえっちゃんのことを考えてるんだから、無駄な努力をするのは止めて一刻でも早くえっちゃんから話し始めてもらえるように仕向けたほうが有意義だと結論を出し、もう一度『なんで?どうして?』と問い質したがる心に喝を入れて、いつも通りの『待て』の仕草で限界を訴えてみる。



 そんな私を見て、仕方ないなぁ~と苦笑したえっちゃんの顔をやっぱり好きだなって思った。



 「聞かせてあげても良いけど、ニつ約束して欲しいことがあるの」


 「ニつ?私にできることだったら良いけど、なに?」


 や~く~そ~く~だぁ~!?

 えっちゃんがそんなこと言い出すなんて、うん、絶対おかしい!

 一体なにがあったの、えっちゃん!!

 

 「ひとつ、今から私の体験談を話すから、それをノンフィクションで描いて欲しい」


 「んーっ、えっちゃん私BL作家だよ?ネタは聞きたいけど、ネタのためにBL以外を描くのはなぁ…」


 確かに生まれてこのかた変人パラダイスなえっちゃんの人生はとても濃ゆい。 1エピソードで一冊どころか三作品は作り出せるであろうポテンシャルを秘める、作家だったら喉から手が出るほど欲しい宝石箱だろうけどいかんせん私は“BL作家”なのである。 ネタは聞きたい! 三度の飯より好きなBLネタは大変聞きたいが、それ以上にえっちゃんが隠してることを聞きたい!!


 「大丈夫!あんたが聞きたがってるネタが私の体験談だから!」


 「そうなの?」


 でも納得できる。 描こうと思ったらBL以外も描けるけど、私に描く気が無いことをえっちゃんは知ってる。

 知ってて無理に描かせるようなことはするはずないし、そもそも私が本気で嫌がることをするような人間じゃない。


 「そう!ネタを聞いていつもみたいに妄想爆発させて描いても良いしさ!それとは別にノンフィクションでも描いて欲しいの」


 「それなら良いよ。今まで全くのノンフィクションは描いたこと無いけど、いけると思う」


 「よし。なら二つ目、…話しを聞いても暴れないで欲しい」


 「えっちゃん…?暴走するなっ!じゃなくて?」


 思ってもいなかった。

 『暴走するなっ!』

 出会った頃からずーと口を酸っぱくして言われ続けた、もはや口癖というより私達が互いに積み上げてきた信頼と変わらない関係そのものを指す言葉。

 その言葉以外が出るなんて一欠片も思ってもいなかったから、自分が思っている以上に動揺して口から出る音に縋るようなニュアンスが滲むのを、どこか他人事のように聞いてた。


 「じゃなくて。たぶん、…絶対いつものような暴走はしないと思うから」


 「――っ、私が、暴れそうな内容なの?」


 疑問形で聞きながらも、ほとんど確信してた。 理由は分かんないけど、えっちゃんが自分だけで我慢しきれないくらい相当追い詰められるってこと。 こんな時に不謹慎だけど、こんな時だからこそ頼ってくれて嬉しいと思っちゃう私も相当えっちゃんのことが好きらしい。



 えっちゃんが爆発した。

 何がえっちゃんのスイッチを押したのかわからなかったけど、初めて見る何もかも投げ捨てて子供のように泣きじゃくるえっちゃんを力いっぱい抱きしめ“原因を絶対に許さない”と怒りに燃えた闘志を滾らせたのは一瞬で、怒涛のように話される内容に闘志が殺意に変わったのは言うまでもないだろう。





 誰が予想できる?!

 親友が五年付き合って同棲までしてた恋人を高校時代からの男友達に寝取られてただなんてっ!!!







 親友の身に起こったありえない惨事に頭が沸騰しそうになった。 いや実際沸騰してたけど、親友の「今から話すことをノンフィクションで描いて欲しい」という言葉を私はちゃんと覚えてた。

 もうこうなったら全ての感情をそこにぶつけることにしてペンを取った私を、誰が責められよう。


 仕事は全てPCでこなす私は、ペンではなく小説執筆時に特に愛用するノートPCをひったくりに仕事部屋へ走った。 今思うとノートPCの隣に取材や思いついたことを吹き込みのに使っているボイスレコーダーが転がっていたのは天啓だろう。

 ぽちっと押してスカートのポケットに突っ込んだ私、ぐっじょぶ。


 普段、言葉数が少ないえっちゃんが三時間もノンストップで話し続けた。

 そりゃそうだろう『五年付き合って同棲までしてた恋人を高校時代からの男友達に寝取られてた』なんて事実を知れば、誰だってそうなる。

 私だったら三時間なんかじゃ収まんない。 怒りでそうなるのか、生を目の当たりにした喜びでそうなるのかは実際に体験しないことには判断できないが…。

 

 怒り疲れの話し疲れに泣き疲れも合わさって非常に疲労困憊しているえっちゃんを、どうしても帰す気になれなくてその日は我が家に泊まって貰った。

 本人には「約束もしてないのに押しかけた上、これ以上家族団らんを邪魔できない」と断られたが、息子の陸(三才)と二人がかりでお願いしたら納得して貰えたので良かった。


 一人になったら絶対に考え込んじゃうのは分かりきっているから、せめて今日だけでも一人にはなってもらいたくない。

 その点、陸はえっちゃんのことが大好きなのでこっちが頼まなくても雛のように後をついて回るので適任だ。 夫には「陸はママとそっくりだな」と言われたけど否定できない。 自分でも似てると思うもん。


 心から夫に感謝してる。

 突然訪ねて来た嫁の親友の様子が変なことを察して、何も聞かずえっちゃんの側を離れたがらない陸を無理なくスマートに外に連れ出してくれて本当に助かった。 流石に息子にあんな惨事を聞かせられない。 そもそも陸がいたらきっとえっちゃんは話さないまま帰ってた。 夫は多分それも見越して陸を連れ出してくれた。

 私にはもったいない出来た夫だ、本当に愛してる。


 その日の夜、お風呂もえっちゃんと一緒に入れてホクホク顔をしていた陸は、少し心配そうな顔のまま眠りについた。

 しっかりガッツリえっちゃんのパジャマを握り込んだまま眠りについた陸に、陸も普段と様子の違うえっちゃんを子供なりに心配してるんだなぁ、と親としてあったかい気持ちになった。


 しかし、そんな暖かい気持ちは長くは続かない。

 私には使命があるのだ。



 えっちゃんをコケにしやがった野郎どもに私の持てる全てを懸けて描いたBL本という聖書で一矢報いてやるって使命が!!



 使命に燃えた私は、仕事部屋に夫と担当編集者を呼び、切々と訴えった。

 その時役に立ったのがぽちっと押してスカートのポケットに突っ込んでおいたボイスレコーダーだ。

 えっちゃんは支離滅裂だと言ったが、いつも理路整然と話す癖のあるえっちゃんだけに最初の十分聞いただけで相手のクズさだけでなく、いかにえっちゃんが傷つけられコケにされ良いように扱われたのかが良く分かる内容だった。



 ううーーっ、えっちゃん本当にそうだよね。 私もそう思うし、声を大にして言いたいよ!

 



 「同棲前から関係してたってなんやねーーーーーーん!!」




 ボイスレコーダーから流れるえっちゃんのエセ関西弁につられて叫ぶ私の肩を、夫が抱き寄せ支えてくれる。

 それに「ありがとう」と返しながら、停止ボタンを押していないボイスレコーダーがまだまだ次々とヤロー共のクズエピソードを吐き出すことを、一度聞いて知っている私は「まだまだ序の口。もっと凄いのがいっぱいある」と涙ながらに二人に伝えた。



 「ぶちっ」



 ぽちっと押すだけで止まるボイスレコーダーだが、怒りに震えるあまり力を込めすぎたらしく大きい音が鳴った。 止めたのは担当編集者のミニーちゃんで、顔が苦虫を噛み潰すようになってて何とも言えない。

 名字が三木みきの為に、ほとんどの時代をミッキーと呼ばれてきた彼女のことを私はミニーちゃんと呼んでいる。 だって女なのにミッキーは可笑しくない?



 「…一人の女として、こいつらを去勢してやりたい気持ちでいっぱいです。でも…、でも一人の腐女子としては、とっても美味しいと思ってしまうーーーーー!」



 そう言って崩れ落ちるミニーちゃんに“やっぱり同胞だ”と思った。

 えっちゃん曰く“私達の業は深い”らしい、さもありなん。



 「ミニーちゃん。私も大好きな親友が当事者だから怒りが勝っているけど、腐女子の心は容赦なく“好物である!”と囁きかけてくるもの。一緒ね。だから、私はこれを逆手に取ってやろうと思うの!お願いミニーちゃん!ミニーちゃんの力を貸してっ」



 こうして担当編集者の情に訴えプロットを読んでもらい、方向性を話し合ったうえで小説が書き上げられたら直近の会議で話に上げてくれると約束してくれた。 勝った!



 何がなんでも書き上げてみせる!と息巻き、怒りの腐女子神に取り憑かれた私は言葉通り異例の速さでノンフィクションBL小説を書き上げ、会議を通してみた。


 更に「もしも出版社で出してもらえなくても同人誌で出すから!」と漫画制作にも打ち込み出した私の本気度を誰よりも正しく理解したミニーちゃんの協力により、インターネット配信という形で漫画も世に出せることになった。


 そこまで頑張ってくれたミニーちゃんに「一日でも早く人の目に触れさせたい」と小説もインターネットで、しかも先行配信として出せるように仕事を追加して頼む私は、自分でも鬼だと思う。



 つい二十分ほど前に小説が先行配信され始めた。

 私の仕事部屋でえっちゃんと一緒に先行配信されたのを確認して、私も少しだけ肩の荷が降りた気分だ。



 単行本が発売されたら、えっちゃんの両親とえっちゃんの恋人だったと認めたくないクズの両親にプレゼントする予定らしいけど、クズの両親には郵送なのかな? 反応を見るためにあえて直接?


 私としては直接に一票入れたいなぁー。

 だって出来ることなら出来るだけ、不幸の底に突き落としてやりたいじゃん?


 もちろんクズの相手の元男友達であったかもしれないクズの関係者にもプレゼントするよ!


 でもその両親とはえっちゃんも面識がないからさ。

 面識ないのにプレゼンしてもイタズラとしか思われないだろうから、親にもしっかり伝わるように地元で既に結婚している口の軽い同級生を何人もピックアップしてある。


 誰にプレゼントしたら効率が良いか考えるのが今の私の息抜きだ。




 私の書いたこのBL本という聖書で腐女子たちに夢を与え、クズどもに一矢報いてやるっ!!

 ついでに、その後も私の作品の生贄になっていただこうではないかぁーーーー!





 あっ、みなさんも気になったらどうぞ、ネットでもお手に取ってでも良いので読んでやって下さい。




 タイトルは―『五年付き合って同棲までしてた彼氏が高校時代からの男友達に寝取られてた』―











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ