七日間の約束と結末~あいだのおはなし~
四話の続きで、ネズミ先生とちびの会話です。
「おい、山本、三十ページ宿題ちゃんとやって来いよ」
「はーい!」
「一週間だぞ? 分かってるな?」
「はぁい!」
「本当なんだか……」
いちにちめ。
「やってきました、えっへん!」
「いやいばるなよ」
「えー」
「えー、じゃないの。えっと、今日は何ページやってきたのか……って、おい」
「何ですか、ネズミ先生」
「何ですかじゃない! お前、一ページしかやってねぇってどういうことだ!」
「計画の内です」
「本当だろうな。まぁ、やって来なけりゃ、アレをああしてああすっかな……」
「アレとああしか言ってないのになんか怖い! ちゃ、ちゃんとやりますよ」
「今の所、信じてやるか」
「ありがとうございます」
「やれよ」
「…………」
「や、れ、よ!」
「……はい」
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ふつかめ。
「たのもーう!」
「職員室にそれで入って来るのはやめような」
「ほーい」
「不真面目な返答! まぁ、それは置いといて、今日は何ページやって来たのかねぇって、お前なぁ」
「何ですか」
「だから、何ですかじゃないの。確かに一ページじゃあないけどよ」
「二ページ、良いじゃないですか!」
「良くねぇわ!!」
「計画の内ですって」
「お前、嘘つきって言われないか?」
「失礼な!」
「なら大丈夫か――」
「『大嘘つきのちび』と恐れられてますよ!」
「全く信用できねぇ!?」
「ま、何とかにゃるにゃる」
「そんな口調じゃなかっただろうが!」
「あ、大丈夫です、先生との約束、破ったことないんで」
「宿題忘れてる時点でもう破ってるけどな」
「…………。じゃ、失礼しました」
「あぁっ、帰りやがった!」
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みっかめ。
「今回は、ちゃんとやって来たか?」
「どうだと思います?」
「んー、三ページ?」
「当ったりぃって言いたいんですが、答えはNOです」
「は!? じゃ、じゃあ、お前は何にもやっていないと……!?」
「何でそういうことになるんですか。やりましたよ、四ページ」
「おぉ! ……いや、まぁ、あんまやってないんだが。良いよ、二ページ増えたし」
「えっへん!」
「あー、でも、自慢は出来ないよな?」
「あ、明日もやってきますから、身の上に心配あーるの参上とはならないので、ご安心を」
「お前、小3だよな? どこで知ったよ、そんなの!」
「ちっちゃい頃、おねーちゃんが唱えてたんです。ちなみにこれは、球の体積の覚え方だったと思います」
「お前の記憶力すごいな!」
「自分でも、何でこれが勉強に向かないかが不思議です」
「自覚してるんだな!」
「いいですもん、記憶力は良いから……」
「……何か、ごめんな」
「……別に、良いですよ? 勉強やってないせいですし」
「やっぱり同情するんじゃなかった!」
「で、ではサヨナラァ」
「また逃げられた!」
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よっかめ。
「ららららーららー、ららーらーらーらー、らーらーららーらららららー、らーららーらーらーん♪」
「うん、マニアックすぎるなその歌」
「それはともかく、はい、どうぞです!」
「どうも。……うん、やってるね、五ページ」
「すごいでしょう!」
「すごくはないね」
「……まあまあ、ですよね」
「お前にしてはな。でも、本当に終わるのか? まだ二十ページもやってないぞ?」
「な、何とかにゃるにゃる?」
「疑問形で言われても」
「…………」
「無言で帰りやがった!」
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いつかめ。
「明日と明後日頑張ります!」
「土日に頑張るのね、今日忘れてたから」
「はい!」
「返事だけは良いね」
「はい! 自分でも思います!」
「日曜が七日目だけど、学校ないから月曜ね」
「はい!」
「頑張れ」
「はい!」
「……涙目で言われても」
「……はいぃっ!」
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ようかめ。
「……どーもー」
「めっちゃテンション低いけど、大丈夫か?」
「はーぃ」
「ま、まぁとりあえず……ってえぇ!? 全部やってるぅ!?」
「……約束を守っただけです……zzz」
「寝るな! ま、まぁ約束を守ったのは良いんだが。体は大切にしろよ?」
「……おねーちゃんの方がやばいので」
「お前自分の姉をどうした!」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ、あたしが超絶能力で直しました」
「お前は何なんだ! てか本当、お前の姉に何をした?」
「……教えてもらっただけです、勉強を」
「それだけでそうなるお前の頭はどうなんだよ……」
「すみません……。では、またいつか」
「明日も来いよ?」
「……はぁい。しつれぇしまひたぁzzz」
「はぁ……」
「ネズミ先生、大丈夫ですか?」
「あ、うさ先生。……今、心が折れそうです」
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*ちびはちゃんと次の日に来ました。ご安心下さい。
次回もお楽しみに!