『エルフの集落8』
今回はどちらかというと、王都に帰宅みたいなかんじかな
奴隷商人どもを連れて帰り、そいつらの処分をどうするか話し合うことになったのであった。
「では、つまりこいつらは王都にいる貴族相手にも商売をしていたというのか?」
「ええ、そのリストを見ると、いくつかの名前は王国にいる貴族です」
あの表彰式の時に言い寄ってきた貴族の名前がいくつかあったもんな。損しかないかと思っていたけど、思わぬところで役に立ったな。
「ふむ、ではこいつらをうかつに王国に突き出したとしても、その貴族たちが裏から手を回す可能性があるというわけか・・・。いったいどうしたらいいのやら」
下手にこいつらを突き出すと、王都にいる貴族の中につながっていたやつが何かしてくるかもしれない。何とかできないものだろうか・・・。
「あ、そうじゃ。だったらいっそのこと・・・」
アルテミスが思いついたその考え。それはある意味名案ともいえることであった。
「ぎゃあああ!?おろしてくれーーーー!!」
「この高さは確実に危険だって!!」」
「金ならいくらでも払うからせめてもっと低く飛んでくれーーーーーーーーーーー!!」
俺たちはドラゴンの姿になったアルテミスの上に、村長さんたちとともに王都へ向かっていた。
そして、奴隷商人どもはハクロによって結ばれた糸でぶら下げられた状態でいた。速度が相当でていて、強風と恐怖が両方襲いかかっているのだろう。
「しかし、まだ怪物を倒していないのにな。もう帰るはめになるとは・・・」
「ま、怪物なんてこいつらがやっていたことだからなぁ」
奴隷商人が目覚めたとき、首にナイフを突きつけ、なにもかもしゃべってもらった。そしたらその内容の中には、今回の怪物退治はこいつらが仕組んだものでもあることがわかってしまった。
どうやら、自分たちでわざわざ怪物がいるように足跡をつくったり、たまに近づいてくる人たちに対して幻覚を見せる魔法などでだましていたという。
そして、その怪物退治の依頼をだして、それにつられてきた冒険者たちを、深夜寝ている時に強襲して隷属の首輪で奴隷にするつもりだったらしい。
「でもさ、隷属の首輪って魔力が高いなら効かないんだよな」
「主殿・・・我らクラスの魔力を持つものは普通冒険者じゃなくて王宮魔導師になったりしていて、こんな怪物退治なんで引き受けないんじゃよ。冒険者の魔法使いなんかはいても、この隷属の首輪が効かないほどの魔力の持ち主はめったにいないじゃろうしな」
なるほど。
「しかしさ、アルテミスもう少しだけゆっくり早く飛んでくれない?」
「どっちなんじゃよ‼︎」
一応、アルテミスには下から見えないぐらい上空をとんでもらっている。行きもこうすればよかったんだろうが、あの時は思いついていなかった。
そして、問題もあった。
寒い。もう鼻水が凍るぐらいである。
たしか、上空に行くほど気温が下がるはずだよな。て、ことは今かなり高いところだからな・・・。
ちなみに、空気も薄くなるため本来なら高山病にかかってもおかしくないはずだが、そこは魔法でなんとかなっているのである。しかし、気温だけはどうにもならないのが魔法が万能ではないことを示しているのであった。
アルテミス自身はドラゴンなため、寒さに強かった。ハクロは下半身が蜘蛛のアラクネで、どうも寒いのは苦手なようなので従魔用空間にはいっていた。スラ太郎の場合は、ハクロにマフラーを作ってもらってむしろ楽しんでいた。