『エルフの集落7』
なんかこう、スライムの種類が多すぎる。
「ひっ⁉︎なんだあれは⁉︎」
「鳥か⁉︎」
「モンスターか⁉︎」
「いや!あれは・・・」
ギャオオオオォォン‼︎
「「「ど、ドラゴンだーーー‼︎」」」
ん、ノリがよろしいようで。綺麗に決まったな。
せっかくスライムの大群で混乱しているようだし、さらに精神的追い打ちをかけるため、アルテミスにわざわざドラゴンの姿になってもらって、一気に上から攻めることにした。
「ギャァァァ!助けてくれー!」
「あんな化け物にどうしろと⁉︎」
「おかーちゃーん‼︎」
「ひぃぃぃぃっ⁉︎」
うわ、引くほどかなり効いているようだ。もう腰抜かしているやつらばかりじゃん。みんな強面のいかつい顔なのに台無しじゃん。気絶しているやつや、漏らしているやつまでいるし。
とりあえずこいつらはハクロに片っ端から糸で縛ってもらって、俺は奴隷商人がいるであろうテントに入った。それにしても、結構な騒ぎになってるのにまったく誰もでてこなかったな。
「おーい、おとなしくお縄につ、⁉︎」
適当におとなしく捕まるように促そうと中に入ってその光景を見た俺は、とんでもない光景を見た。
体中に鞭でたたかれたような跡が付いている者、腕が片方なく、そこから血を流し続けている者、変な薬でも打たれたのか壁にずっと頭から血が出るまで打ち続けている者と、さまざまな凄惨な光景だった。よく見るとどの人にも隷属の首輪が付けられており、エルフだけではなく獣人、ドワーフ、小人族などと言われる亜人たちや、人間までもがいた。
テントの中の部屋の中央を見ると、そこには醜く肥え太った豚のような人物がいた。外が襲撃により混乱しているにもかかわらず、ただぶひぶひと気持ち悪い声をあげて、他の涙を流している奴隷とともにベッドで寝ていた。
さすがにここまで騒ぎが大きいのに、寝てるその姿は怒りを通り越して呆れた。
「なんというか、ここまであきれ果てた人物なんて初めてだな」
ふと、テント内にあった机の上を見ると、そこにはいくつかの名芽が書かれたリストのようなものがあった。
「このリストに買い手が書かれているのか?」
何枚かめくってみていると、そこに書かれていた名前にはグライトス王国の貴族の名前までもがいくつか載っていた。つまり、貴族の中にはこの奴隷商人と取引している人物もいるということだ。
「なるほど、これは結構いろいろとつながっているな」
一応中身をもっと確かめたいが、起きないとも限らないので、奴隷たちをいったんその奴隷商人から離れさせた。
奴隷たちが騒がなかったのはそいつにかなり恨みを持っているからのようであった。
「よし、とりあえず縛るか」
奴隷たちとテントの外に出て、ハクロに指示してテントごと縛り上げ、俺たちはその奴隷商人たちをエルフの村に引きずり連れて行ったのであった。
そのゼロたちの後ろに、ハクロの糸にも引っかからずにこっそりついてゆく影があったことには誰も気が付かなかった・・・。
本当は戦闘に持ち込みたかった。だけどね、もっとひどい目に合わせたくなったんよ。