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『クラィング森林2』

書いていたら、動物の森をなぜか連想してしまった・・・

ある程度道なりに進み、途中から俺たちは道を外れた方向へ進むことにした。


「ここからまっすぐ行けば山にたどり着けるんだよな?」

「はい、先ほど木の上に登り、確認いたしました」


 ハクロが確認したことで、俺たちはここからまっすぐ進むことにした。念のため、ハクロに道の端っこに糸をつけてもらい、ずっと引いてもらうことで引き返せるようにした。





 それから1時間ほどたち、いまだ森の道なき道を俺たちは進んでいた。


「やっぱ結構大変だな」

「今更ですか主殿・・・」

「私は大丈夫ですけどね」

「「ドンドンイクゾー!!」」


 一応人間である俺と、人型になっているアルテミスにとっては、このあまり平たんでなく、雑草で生い茂っている場所を歩くのは大変だった。ハクロはアラクネなので、蜘蛛の8本の脚で楽々と歩き、スラ太郎は人型から普通のスライムの姿になって跳ねながら移動していた。


「主殿、ドラゴンの姿に戻っていいだろうか?」

「お前がここで戻ったらこのあたりの木々が倒れるだろ・・・」


 この森には精霊がいるそうで、あまりその住処を荒らしたくはなかった。


「かといって、従魔用空間に戻るのはためらわれるしのぉ・・・」


 この間、従魔用空間から出せなかったことがあったので、万が一に備えてここ最近できるだけハクロたちを出すようにしていた。そしたらみんなどうもこのままが良くなったらしい。


「従魔用空間も居心地は悪くないが、やっぱり外に追った方が気持ち的に楽だしのぉ・・」

「そういうもんか」

「そういうもんですよ」



 歩き続け、だんだんあたりが暗くなってきたので今日はこのあたりで野宿することに決めた。


 とはいっても、ここは森の中。うかつに地面で寝ていたらモンスターに襲われかねない。


 そこで、考えてとった手段はハクロの糸でテントごとつるしてもらって、空中で寝るというものだった。


 まず、テントの下に支えになるよう板を敷く。そして、下に糸を通してゆっくりと木につるす。それだけで空中テントが完成したのであった。


「よし、これで安心して寝られそうだな。しっかり水平につるせてるしな」

「はい、しかも糸を念のため強度の高いものにしておきました」

「それじゃあ後は夜食の準備をし、『警告!!何か飛来してきます!!』なっ!?」


 いきなり聞こえた世界の声による警告。素早く勘でよけると、そこに何かが通り過ぎて後ろにあった木に刺さった。


「これは・・・矢か」

「まだ来ます!!」


 矢が飛んできた方向から次から次へとまた矢が飛んできた。


 だが、もうわかっている。不意打ちでさえなければ、この従魔たちは矢なんて意味がない。


 ハクロは自身の糸を素早く細かい網にして前方に展開して矢を網でとらえ、アルテミスは自身の鱗を一枚とってそれで弾き、スラ太郎は元から矢が効かずにそのまま体の中に取り入れていた。毒矢が混じっている感じはないが、念のためヒールスライムの状態となってもらっていつでも解毒できるようにしてもらった。


 俺たちに矢は意味がないことに気が付いたようだ。矢が飛んできたところから数人ほど出てきた。全員何か怪しい仮面をつけ、一応降参のように両手をあげて近づいてきた。


「そこで止まれ。いったい何者だ?なんで俺たちに攻撃を仕掛けてきた?」


 念のため、エンチャントで身体防御をあげ、その場に停止させるとともに質問した。全員どうやら身長が156㎝ほどで、肌の色が白かった。


 少しその場に停止したかと思うと、何やら話し合っているようで、そのあと代表と思われる仮面のものが前に出てきた。


「・・・我らが名乗る前に、あなたたちが何者か聞かせてくれぬか」

「先に攻撃してきたのはそちらだ。ならそちらから名乗るのが普通じゃないか?」

「・・・わかった。では、そのあとに何者か聞かせてくれるなら名乗ろう」

「わかった。そうしよう」

「ご理解感謝する。では、名乗ろう。我々はエルフのものだ」

「エルフか。なるほど、わかった。俺はBランク冒険者魔物使いのゼロだ。そして、ここにいるのは俺の従魔たちだ」


 一応しっかりと名乗ったら、なぜかほかのエルフとかいうやつらが首を傾げた。


「・・・冒険者か。別に我らに危害を加えるという気はないのだな」

「ああ、俺たちはクラィング山の怪物退治の依頼を受けてそこに向かっていただけだ」

「なるほど、そういう事か。ならば、こちらから攻撃してしまったことをお詫び申し上げたい」

「なっ、村長!?こいつらは俺たちをだましているだけかもしれませんよ!?」

「バカ者!だましているとしても、それをしてこの者たちに何の利益がある!!しかも依頼内容はあの化け物の退治ではないか!!」

「はっ、はい!!」

 

 後ろの方にいた一人が村長とかいうエルフに怒られ、頭を叩かれていた。


「失礼したな。我々はあまり他人を信用しておらなくてな。お詫びとしてはなんだが、今夜は我々の村に泊めてあげよう」

「外のものを村に入れるというのですか!?」

「お前はいい加減だまれ!!」


 村長はさっきも言ってきたエルフを持っていた弓でたたいて気絶させた。


 うわあ、今おもいっきり鈍い音がしたんだが。かなり痛そう・・・。


「さ、この馬鹿は黙らせたから冒険者たちよ、ついてくるがよい」


 そういわれ、とりあえず俺たちはそのあとをついていったのであった・・・。


世界の声便利だな。

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