『クラィング山を目指しての旅路6』
短め
護衛対象であるバルゼン公爵が怪物化し、倒してしまったことにより、ジョイントさんたちが受けていた依頼がどうなるかわからない状態であった。
「ここまで来たのに、肝心の依頼主である公爵がいなくなったんだ。この場合、どうすればいいんだ?」
「依頼失敗としてギルドに報告するか?」
「いや、それだと依頼達成報酬がもらえなくなる」
「だが、依頼主がいなくなっている時点でそもそも依頼が成立するのか?」
「それだとここまでに準備した費用が無駄になってしまう」
「それに、襲われて死んだやつらもどうする」
ジョイントさんや、他に一緒に護衛していた冒険者たちが集まって話し合いをしていた。
「あれに俺は加わるべきだろうか?」
「ん〜別にいいんじゃないですかね。ゼロ様だって怪我をしたから治療費請求をできそうですが、もう治ってしまっていますもんね」
「それはそうとして、ハクロ、お前いつまで俺に抱きついている気なんだ」
「まだまだですね」
ハクロが目覚めた後、かなり号泣され、ハクロにいま抱き着かれている状態であった。
というか、そろそろゆるめてくんない?なんかミシミシと骨が悲鳴をあげてきてかなりきついんだけど。
「ハクロよ、主殿を抱きしめ殺す気か?」
「はっ!やりすぎてしまいました!」
アルテミスの指摘で、やっと俺は解放された。
「主殿、別に我らは途中から加わって正式に依頼として受け取っていないのだから、このままクラィング山へ向かっていいのではないだろうか?」
「それもそうだな・・・じゃあ、この場を離れてさっさとクラィング山に向かうか」
話し合いしていりジョイントさんたちを後ろ目に、その場から俺たちは去ったのであった。
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ゼロたちが去って1時間後、ようやく話し合いが終わり、「依頼主が襲ってきた」とギルドに報告してこようと決まり、ジョイントさんたちは王都に向かって歩き始めるのであった。
後日談
黒魔石によって公爵が狂ったということでまとまり、依頼を受けた冒険者たちは皆、依頼妨害被害届をだして、バルゼン公爵がいた家から賠償金をせしめたのであった。
さらに、黒魔石をどう入手したのかと問題になり、しばらくして公爵家が潰されたという。




