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『え、決められたの?』

今回ちょい長め

 宿にてそろそろ寝ようかと思っていた俺たちは、王宮からの使いだという人物がきて、手紙を渡された。


「では、私はこれにて失礼」


 そういって使いの人は馬車に乗って帰っていった。


「この手紙って何だと思う?」

「あの国王様のだと考えると、何やらいやな予感がしますが」

「同感じゃの。ろくでもないことのような気がするわ」

「「zzzzz・・」」


 スラ太郎は完全に寝ていた。一応気になったので読んでみることにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ゼロ君へ


 君の婚約者こっちで勝手に決めちゃった。明日王宮にてまたそれについて話そうぞい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」


 文が短いとかそういう事ではない、もっと違う意味で俺たちは驚いた。


 なんで勝手に俺の婚約者とか決めちゃってくれてんの!?こっちには今のところそんなこと考えていないんだけども!!


「あのおっさん私たちのゼロ様に何勝手にそんなの決めてくれとんのじゃぁぁぁぁ!!」

「さすがに今の年齢から主殿にはまだ早いだろうがぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 ハクロとアルテミス二人ともとんでもなく怒っていた。あれ、目がおかしくなったかな?二人の背後に般若のようなものが見えるぞ。


「ちょっと二人とも落ち着いて!!」

「ゼロ様はいいんですか!!勝手に将来の相手を決められたんですよ!!」

「そうじゃそうじゃ!主殿はまだそんなことには興味ない年齢なのに早すぎるわ!!」


 あ、これ完全に怒りで我を忘れているな。このままにしておくと暴れかねん。


「二人ともいったん従魔用空間に戻れ!!」

「ちょっとゼロ様!?」

「まだ怒りがあるんじゃ!」


 二人ともなんかこのままだと完全に王宮に殴り込みに行きそうだったし、いったん従魔用空間に入れることでその場を収めた。






 一夜明け、俺は王宮の応接室でまた国王を待っていた。ちなみに、ハクロたちは全員従魔用空間内で待機させている。


 国王がきて、とりあえずいったん席に座って向かい合った。 


「今回呼んだ要件はわかっているぞいね?」

「ええ、手紙に単純に書いてあったのでわかりやすかったですよ。それのせいで今、ハクロたちが暴れそうなんですけど」

「・・・彼女たちの逆鱗に触れてしまったかね?」

「確実に触れていますね。いまものすごく怒っていますよ。下手すると国を滅ぼしかねませんよ」

「はぁ、最低でも一緒に決めればよかったか」

「そうしてくださいよ!!だいたいなんで勝手に婚約者とか決めているんですか!!」

「それはぞいね・・・」


 国王の話によると、現在、俺を何とか味方につけたい貴族たちがいるらしくて、そのため自分の娘を俺に嫁がせようとしているものが多いらしい。それは前の表彰式の時に断ったはずなんだよな・・・。


「で、その状態は国としてはあまり好ましくなくて、しかも君がまだ年齢が幼いから脅せばどうにかなるだろうと考えている者もいるのだぞい。あの実力を見ているはずだが、心の中ではまだそんな愚かなことを考えているようだぞい。それに、もう一つはゼロ殿の家にもあるぞい」

「え?俺の家ですか?」


 つまり、俺の親父が何かしてくる可能性が高いという。もう王都でのことも聞いてしまう頃だし、そのため当主権限で俺の相手を勝手に決めてしまう可能性もあるのだ。そのため、俺の家に俺を何とかうちの婿へと賄賂なんかを出してくる者が出て、そのために税を搾り取る輩が出て国民が疲弊するかもしれないのだ。


「だから、それらを防ぐために国王権限で決めさせてもらったのだぞい。勝手に決めてしまったのは済まんぞい」

「とはいっても、俺も含めて話しをすればよかったんじゃ・・・」

「そこまで頭が回っていなかったぞい。とりあえず、婚約者として決めた子をいまここによびだすぞい。入ってきなさい」

「わかりました」


 扉が開き、そこに入ってきた子を見た。見ると見おぼえがある女の子だった。


「あれ?もしかしてあの時人攫いにさらわれかけた第2王女様?」

「覚えていてくれたんですね!!」

「でもたしかあの後、冒険者用学校の入学式で一度会っていますよね?学校に入学していたんですか?」

「もうやめていますわ」

「そんなあっさりと!?」


 あの時に出合った第2王女様なのは驚いたが、そんなあっさりと学校をやめた方が驚きだった。


「だって、あの時はあなたに会うために入学しただけですもの。あなたが卒業したためいる意味がなくなってしまって、退学したのです」

「そんな理由でやめたのかよ!!」


 つまり、俺を追っかけてきていただけなのか。まてよ、今この場に来たということはもしかして?


「ゼロ殿、もう予想はついたと思うのだが、婚約者としてグライトス王国第2王女である我が娘、グライトス・クラン・ローズを選定したのだ。婚約者としてなることには娘は不満がない。だからどうにか娘の婚約者としてなってくれぬか?」

「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」


 第2王女様が俺の婚約者に!?


「えっと、その、俺はこの先も冒険者でいるから、俺の妻になったらこの城での暮らしのようなこともできないし、危険があるかもしれないよ?」

「構いませんわ。そもそも私はあの日、助けてもらった時からあなたにその、えっと」

「もっと気楽に『惚れた』と言えばいいも「そんなあっさり言わないでくださいなーーー!!」ぐぇほうっ!?」


 あ、きれいな右ストレートが国王の顔面に当たったな。


『ナイスです第2王女様!!』

『よくやったのじゃ!!』


 ハクロたちはそのさまを見て拍手していた。そりゃ、むかついた相手が痛い目に合えば気が楽になるもんな。というか、いまなんと?


「えっとですね、その、あなたに惚れたんでしゅっ!?」

(舌噛んだな)

(噛みましたね)

(噛んだのじゃ)

(zzzzz・・)

「あわわわわわわわわ」


 舌を噛んでしまったことに気が付いて、第2王女様は顔を真っ赤にした。というか、スラ太郎まだ寝ているのか。


「とにもかくにも、もう一度問う。どうか娘と婚約してくれないか?」


 あ、国王何とか復活した。「ちっ」て今聞こえたんだが気のせいか?


「えっと、俺なんかでほんとにいいんですよね?」

「はい」

「・・・わかりました。受け入れましょう」

「ありがとうございます!!」


 こうして、俺は第2王女を婚約者にしたのであった。



 まあ、結婚するのはまだまだ先なんだけどね。まだ11歳だもん。大人になるまで待たないといけないからな。


「あ、これから私のことを呼ぶときは第2王女ではなく、その、ローズと呼んでくださいませんか?未来の旦那様?」

「じゃあ、その代わりに俺のことを普通にゼロと呼んでくれないかな」

「はい!わかりました。ゼロ様!」

「いや別に「様」つけなくても」


 というか、それだとハクロと被るんですけど。


「だって、ゼロと言ったらなんかこう数字の0を連想してしまいます・・・。」

「それを言わないでくれ・・・自覚しているんだよ」

「旦那様と呼んじゃ駄目でしょうか?」

「じゃ、それで別にいいよ」

「はい!旦那様!!」


 なんとなくむずがゆいが、まあ良しとしよう。とりあえず、どうにかなったのであった。










後日談

婚約発表は、今はまだ時期尚早のため、4年後に正式に行うことにした。

その時なら15歳だから違和感ないしね。


「わしのことを義父上と呼んでもいいんだぞい」

「いや、呼べないんですけど」

「というか、まだ私たちはあなたを許していないんですけどね」

「あの子はいい子じゃからいいとして、お主は許せんのう・・・」

「え、ちょ、待って」

「「問答無用!!」」


 その日、国王様の絶叫が王都中に響いたという・・・。

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