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『2度目の表彰式 2』

表彰式というよりただのお祭りのように思えてきたんだが・・・

「おっ、今回の授与者か。サービスするぜ!」

「あははは、別にいいんですけどね」


 表彰式が閉会するまで、俺たちは出されている露店を回ることにしたのであった。

 

 この国では表彰式は一種のお祭りみたいなもので、そのため様々な露店が並ぶのである。


「それにしてもまだ小さい坊主なのに表彰されるとは大したもんだなぁ。そんなやつがこの店に来てくれてうれしいよ」

「あはは、ありがとうございます」

「おーい、こっちの店にも来てくれー!」

「その美しい従魔たちを連れてこの店にもぜひ!!」

「今なら割引するぜ!!」


 さっきから呼び込みが激しい。今回の表彰式で出た俺たちが店に来ると十分に注目を集められて、客が寄り集まるんだとか。このために呼び込みしてくる人が後を絶たない。


「主殿も大変じゃのう。気軽に楽しめばいいものを」

「アルテミスは楽しみすぎだろ!!」


 いつの間にかそれぞれの店から綿菓子やヨーヨーなどを片手いっぱいに持っていた。


「それっ!」


ぽちゃん


「あー残念。またダメだったね」

「ううっ、糸を使いたいんですけどダメなんですか?」

「だめだよ。これはあくまでこの道具でとるためのものなんだから」


 ハクロはさっきから「ゴフイッシュすくい」という金魚すくいのような店で何度かチャレンジしている。まだ1匹も捕まえられていないけどね。というか、ゴフイッシュのサイズから考えてその手に持ってるたらいに入るのか?モンスターじゃない魚とはいえ軽く50cmぐらいのサイズだぞそいつ。


「スラ太郎ちゃんたち、はいこれ、アポオ飴だよ」

「この綿菓子もどうだ」

「こっちのアイスもどうぞ」

「アリガトー!」

「ゼンブオイシイヨ!」


 スラ太郎ABたち両方ともいろいろな食べ物をもらっていた。幸せそうな顔で食べるその姿は見るもの全員の心を見事に打ち抜いていた。


「みんな楽しんでいるなぁ。というか、これ完全に表彰式じゃなくて縁日みたいになってるじゃん・・・」


 ま、楽しいからいっか。貴族たちは接触禁止令が出されているから俺に全く近づいてこないしね。


 

 と、思っていた時期がありました。甘かった、確かに貴族には接触禁止令は出ている。しかし、こっちは想定してはいたが、まさかこんなにいるとは。


「ゼロ、俺たちのチームに加わってくれないか?君が入れば僕らのチームはAランクにすぐになれるよ!」

「いや、そっちよりもこっちの『モンスターキラーズ』に入ってくれ。君なら世界中のモンスターどもをを消し去れる!!」

「いやいや彼はわしら魔法使いで構成している『叡智の集まり』に入るべきじゃ。あの魔法の才能を無駄にしているのはいかん。わしらとともに魔法を極めるべきじゃ」


 あの怪物との戦いを見ていた人の中に冒険者たちがいて、それで勧誘をしてきたのだった。


「いや、俺は魔物使いのままでいいし、どこかのチームに所属する気もないんですけど」

「「「「その実力がもったいないんだよ!!」」」」


 めんどくさくなってきたのでその場から「エンチャント」で足を強化して猛スピードで走って俺は逃げた。





 閉会の時間近くになり、ステージに戻るとそこには様々な魔道具の山が置いてあった。


「この中からほしいものを選ぶぞい」


 あ、もう口調が戻っている。こっちのほうが国王様らしくていいんだけどね。


 そこのあった大量の魔道具のうち、役に立ちそうなものを3つもらうことにした。


「では、これらの魔道具でいいです」

「そうか、ならばそれらを褒美として与えよう。では、これより表彰式の閉会の時間である!!皆の者、今日はこれにて解散!!」


 そう言い放つと、みんなそれぞれが家に帰っていった。



 一応、まだ勧誘してくるところがありそうだったから、俺たちは急いで今夜泊まる決めた宿に向かったのであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 その夜、王宮で国王とそのほか大臣たちは会議を開いていた。


「ふう、なんとかおわったぞい。それで、今回の事件の元凶はどうなったぞい」

「それが、いまだによくわかりません。ハグエェの部屋や研究室を調べてみましたが、一切その元凶や『黒魔石』などという者に関しては出てきませんでした」

「また、王都に出入りするのに監視している者たちの話を聞いても全く分かりませんでした」

「むう、となるともう国外に逃げたかぞい・・・」

「その可能性は高いかと」

「あと、接触禁止令が出ているのにもかかわらずゼロ殿に近づこうとして、変装した貴族やその使いたちがいましたのでこちらは秘密裏に捕まえました」

「やはりそんなことするやつがでたぞいか・・・」


 国王は考えた。このままにしておくと、ゼロを取り込もうとする輩が必ず出てくる。だが、彼は17歳になったら自身が1国と同じ立場となろうとしていて、この国の人間じゃなくなる。そうすると、彼と親しくなろうとしてなった貴族がいた場合、かれをそそのかしてこの国を攻め滅ぼそうとする輩が出る可能性がある。彼が1国と同じになろうとしているという情報は、今のところモッセマンと自分しか知るものはいない。

 

 そのため万が一に備え、こちら側が彼と何かより強いつながりを持っておく必要があった。


「そんな輩が出るのは彼がまだ11歳という若さなうえに、婚約者のようなものがいないのが原因と思うぞい。年齢の点はこれから成長すればいいが、問題は婚約者のほうぞい。いないからこそ、つながりのために自分の娘をというやつが出るぞい」

「その点では、今のところ前にも似たようなことをしていた者たちがいましたが、その時は断っておりました。しかし、この先成長するとともにそのようなことに巻き込まれやすくなりやすいかと」

「ならば、なんとか彼にちょうどよい婚約者を準備する必要があるぞい」


 全員がそのことに頭を悩ませた。この国にとって万が一敵対された場合、ゼロの従魔たちも脅威だが、今回の化け物との戦いによりゼロ自身も強力な魔法を使えることが分かってしまったので、それも十分脅威となってしまった。そのため、できるだけ彼とこの国で友好関係を築き上げてゆくためには、そのような婚約者となるべきものを送ることが最も効果的であった。


「そもそも、彼にはあれだけ美しい従魔たちがいるから無駄なのでは?」

「いや、過去の例から言って人とモンスターは結ばれん。エンシェントドラゴンであるアルテミス殿はおそらく龍と人が結ばれたことがある事例は知っておると思うが、それでもそう簡単に行くまいとわかっておるだろう」

「ならば、だれを送り込むべきか」

「王族にはいないのですか?」

「第2王女が一番年齢的にも近かったですよね。彼女はまだ婚約者もいませんですし、十分いいと思いますが」

「この場合本人の意志も聞いておきたいぞい」

「別にいいですわよ」

「そうかそうかよかったか・・・ん?いつのまにいるぞい!?」


 いつの間にか会議の場に第2王女が入り込んでいた。


「だいたい『婚約者のようなものがいないのが~』あたりからでしたわ」


 最近こうホイホイ入ってくる人が多いから、そろそろ見張りを変えようかなとその場にいたもの全員が思った。


「別にあのゼロとかいう魔物使いのもとに別に嫁いでもいいのですよ。私はほら、あの人さらいから助けてもらった時がありまして、その、いつか何とかお礼したいと」


 頬を赤らめるその姿を見て、その場にいた全員はこの第2王者は確実に惚れているんだなと確信した。


「それにですね、私が彼のもとへ行けば、現在王宮にて起きてる王位を継ぐ争いから抜け出せると思ったのですわよ。私がいなくなれば他のものが喜びますし、ちょうどいいのではないかと」

「お、おまえがそこまで考えてくれていたとは感激じゃぞーい!!」


 国王は自分の娘がしっかりと考えていてくれたことに父親として感激した。しかし、そのことをいいように思わない者もいた。


「ですが、かれと組んでこの国を乗っ取ろうとは思っていませんよね?あのものはとんでもない力を持っています。そのようなことをしないとは限りませんよ」

「そんなつもりはみじんもありませんわ!!ただ彼についていきたいと助けてくれた時に思っただけですわ!!・・・あ」


 思いっきり暴露し、第2王女は顔を羞恥心で真っ赤にし、手で覆った。


「そういうわけかぞい。心からそう思っているなら別にいいぞい。ただ、彼は冒険者。つまり将来結婚できたときに王宮での暮らしとは違う生活を送ることになるが、それでもよいかぞい?」

「ええ、いいですわよ」

「ならば、ゼロ殿に婚約者を裁定したことを伝えるぞい。誰か、説明のために彼を明日またここに呼ぶぞい」

「わかりました」

「では、これにて会議を終了す「ちょっと待ってください!」なんだぞい?」

「会議の議題である今回の事件の元凶探しについてはまだ終わっていません!!いつの間にか話が婚約者選びにすり替わっていませんか!?」

「「「あ、そうだった」」」


 すっかり当初の議題を忘れていた者たちは、それについて会議を続け、ゼロには婚約者を裁定したという連絡を取らせ、明日また王宮に来るよう使いを出したのであった。




会議とかで話がすり替わるってことって結構あるよね

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