『道中出来事2』
前回の続き
俺たちの目の前に現れたアラクネは、さっき聞いた話とは全くの別物であった。
蜘蛛の下半身はそのままであろう。だが、上半身の容姿は違っていた。
醜悪ともいわれる見た目をしているといわれたが、全くの逆で、人間の女性でもいるかいないかと思えるレベルの美しさがあったのだ。ポニーテールでまとめられている美しい銀髪。よく見ると人のような二つの目のほかにその上にある小さな残りの目があるが気にならない。
アンネルさんまでもそのアラクネの美しさに目を奪われているようであった。
そのアラクネはいつの間にか俺のすぐ目の前まで近づいていた。
『アラクネ(?)が仲間になりたいようだ。>従魔にしますか?』
えっ、従魔にできるのかよこのモンスター!!
アラクネ(?)となってるのは気になるが、なんかじーーーーーっと見てくるしとりあえず「する」で。
決めた途端、アラクネと俺の足元にはスラ太郎の時と同じく魔法陣のようなものが浮かび、それが消えた後アラクネの姿が変わっていた。
そう、上半身にしっかり服が着こまれたのである。そして蜘蛛の部分との間にはスカートが付いていた。
「な、なんだ、坊主このモンスターを従魔にできたのかよ!」
アンネルさんは腰がぬけてしまったのであろう。あまりの出来事に驚いていた。
「え、従魔になれちゃった・・・?うわぁ、やっぱりなんか何となくすごそうな人だと思ったらその通りだった!!」
え、今の誰?アラクネさんですか?
どういうわけかアラクネ自身も驚いているようであった。
「あ、今からあなたが私のご主人ですね!私に名前を付けてください!」
あっさりしているなこの子!てかさっきから俺を抱きしめないでくださいよ。一応上半身が人間の女性と同じだから普通より大きいそれが当たっているんですよ。
「えーと、とりあえずご主人と呼ぶのはやめて普通にゼロと呼んでくれ」
「えーっ、じゃあゼロ様ってよぶー。というか先に名前がほしいーーー」
なんか意外にアクティブな性格だなこの子。うーん、とりあえず名前は・・・
「じゃあ、お前の名前は『ハクロ』でいいかな?」
「ハクロ・・・うん、それでいいですよ。私はハクロ!よろしくゼロ様!!」
気に入ってくれたようである。あ、ステータス見てみよ。
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名前:『ハクロ』
種族:ホワイトアラクネ
年齢:1000歳
MP:9000
ATK:8500
DF:2400
スキル:「天の白蜘蛛」「高速編み」「アラクネの姫」「従魔の絆」
称号:「千年魔物」「強者の証」「忠誠心」
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え、やっぱただのアラクネじゃないの!?しかも何だこのスキルと称号は!?
鑑定お願いいたしまーす!!
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『ホワイトアラクネ』
アラクネが千年生きるとこの種に変わるといわれている。しかし、実際は人間たちにすぐ退治されてしまうのでそんなことは奇跡に近い。スキル「天の白蜘蛛」、称号「千年魔物」をもっている。モンスターの中ではかなりの上位種に当たり、人間と大差ない容姿と思考能力を持つようになる。その作り出す糸は触り心地もよく、超高級品としても扱われる。
「天の白蜘蛛」・・・神級の糸を作り出せるようになる。
「高速編み」・・・どんなに服でもわずか0.01秒で編める。
「アラクネの姫」・・・見た目から勝手に同族につけられた。
「千年魔物」・・・千年生きた証。それだけの力を持つということである。
「強者の証」・・・強いんだよと強調するだけ。
「忠誠心」・・・仕える主人がいる場合、互いのステータスをアップさせる。
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こいつのほうがよっぽど強いんじゃないだろうか・・・。千年生きているのかよ。見た目が17歳ぐらいなんだが。
とりあえずアラクネを従魔にできたのであった。
「なあ、その糸を譲ってくれないか?」
「あー、どうする?」
「別にいいですよ」
「よっしゃーーーーーーーーーーー!!これでやっと借金が返せるぜーーーーーーーーーーーー!!」
借金していたのかよアンネルさん・・・。そりゃ恋人できないだろうよ・・・。
ちなみにハクロがわなを仕掛けていた理由はどうやら直感で仕えるべき相手がここを通ると思ったらしく、捕まえるためにかけていたようであった。そんな理由だったのかよ。ま、ハクロが従魔になってくれてよかった。これでやっとバランスとれたパーティになってきたな。
銀髪なのにホワイトアラクネ?