『王宮にて』
時間経過は何やかんやで進む
それから何やかんやと3日過ぎて、今日は王宮であのバカ坊っちゃんとの決闘の際にでたあの化け物を討伐したことと、第2王女を人攫いから救ったことに関しての表彰式に招かれた。
正直言って別にこのようなことはしなくていいし、だいたい見返りなんて求めていなかったんだよな。
「しかし、主殿は我が従魔となる前にこのようなことをしておったのだな。いろいろと話題が尽きないのぉ」
そういえばこの二つの出来事どちらもアルテミスが従魔になる前の出来事だっけ。なんか結構前のようなことに感じるけど、つい最近のことだったんだよな。
王都の中心にある王宮の門前まで歩いていくまで、ハクロたちを従魔用空間から出しっぱなしにしていた。従魔用空間にわざわざ入れたままにする必要はないし、なんとなく一緒に歩きたかったからね。一応服装はハクロによって正装にしてもらったよ。
王宮前まで来ると、見張りの兵士に呼び止められた。
「そこのお前!このグライトス王国の国王様がいるこの王宮に何の用「ちょっと待つぞい!!」え?」
見ると奥から国王様本人が走ってきていた。
いや待てなんで国王様にだれも護衛つけていないの?ふつうこういう国王様自らが行動起こすなら、護衛がつくはずじゃん。
「こ、これは国王様!なんでしょうか!」
「この者たちは今日の表彰式の主役ぞい。丁寧に扱うぞい!」
「え!そうなんですか!?こ、これはとんだ失礼をいたしました!!」
あっさりと門を通され、そのまま俺は国王とともに王宮内へ案内された。ハクロたちは出したままでいいといわれ、そのまま出したままである。
「国王が自ら出てくるとは、変わっておるのぉ。もしや我らがあそこで機嫌を悪くして暴れるとでも思ったのかの?」
「その可能性が無きにしも非ずだったからぞい。ゼロ殿がそんな性格ではないと思えるが、念のためにぞい」
「別にそこまでしなくてもよかったんだけどな。この校長からの手紙を門番に見せるつもりでもあったからな」
この校長からの手紙でも俺が今日招かれていることが分かるはずだ。しかし気になるな。
「あの門番は今日俺が2つのことで表彰されることよりも、そのようなことを行うということ自体知らなかったようでしたが」
「それはぞい、この表彰式は一応王宮内のみでやることにしたからぞい」
国王様からの説明によると、この2つの出来事に対し大々的に行わないのは俺の存在をできるだけ他国に秘密裏にしたいらしい。もうだいぶばれてしまっているだろうが、それでもできるだけ情報流失を防ぎたいからだそうだ。
「ゼロ殿が冒険者になったことにより、ある程度の情報は流れてしまっているが、それでもできっるだけ様々な情報を防ぎたいぞい。他国とのもめごとなんかも避けたいからな」
一応この国王様、平和主義だし、この国のことをよく考えてくれているんだよな。モッセマンさんよりは好感度が高いな。あの人はなんか下手するといろいろな意味で危険な感じのする人だし。
「ん?そういえばこの表彰式は王宮内でやるのですよね」
「そうぞい。今王宮にいる貴族たちも参加するぞい。ゼロ殿は一応国を滅ぼすことができる戦力を持っている冒険者だから、何とかしてつながりを持とうと迫ってくる貴族もいるかもしれないことだけは注意しておくぞい」
「今王宮にいる貴族ですよね?俺の父もいますか?」
あの強欲な親父がこんな話を見逃しそうにないもんな。いたらなんかカネに関していろいろ求めてきそうなんだよな。
「その辺は心配ないぞい。そなたの父、フォン・ガロン・ヨクゴはかなり強欲で貪欲で税を搾り取っているという悪い評判があるからな。今回のことにかこつけてあれやこれやと請求される恐れがあるからその話がいかぬようにしているのだぞい」
さすがあの親父、国王様にとっても嫌がられる存在となっているんだな。というか、親父のフルネーム初めて聞いたな。何気に親父の評判を今回初めて聞いたがやっぱりろくでもないな。
「まあ、その子であるゼロ殿とはほぼ関係を持っていないこともしっかりわかっておるからというのもあるがな。自身の子の面倒をまともに見ない親にそんな親を名乗る権利なんてないぞい」
結構いいこと言うなこの人。まてよ?
「そこまで言うのなら、なんであの親父をそのままにしているのですか?下手すると領地取り上げなんかありそうなものなのに」
「それはの、一応国にきちんと決められた税を納め、さらにかつて王都にいたときはまじめだったからの、その時の功績もあってなかなかそういう事が出来ないのだぞい。何か1つでも悪事の証拠でもあれば即座にさばけるのに、まったくもってもどかしいぞい」
歯がゆしそうな顔で国王様はその場で地団太を踏んだ。
「とりあえず、表彰式は準備の関係であと30分ほどで始める予定ぞい。それまではこの王宮の応接室に待機しているといいぞい。従魔は出したままで構わないが、それまではおとなしくして待っているぞい」
話しているうちにいつの間にかどうやら応接室についていたらしくて、そこの部屋から国王様は出て行った。
「とりあえず、ここで時間が来るまで待つか」
「なんか暇ですねー」
「そうじゃの。ならば時間まで何かしようかの。そうじゃの、今度は何の依頼を受けに行くか今のうちに決めておかんか?一応依頼リストなるものを昨日ギルドの受付嬢にもらっておるではないか」
「そういえばそうだな」
依頼リストはいまだに未達成なものをまとめたもので、できるだけ依頼が達成されるようにとギルドがまとめて出したものだという。ま、実際にはもう達成されていましたなんてこともあるらしいけどな。その予防策として「毎日更新サービス」とかやっているらしいけど、そんなにそれは利用しないんだよな。達成報酬がしょぼいものが多いし。
時間が来るまで俺たちはそのリストを見てどれをやろうかと相談しあったのであった。
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「やっと今日が表彰式なのね」
「そうです。あと30分ほどで式が始まります」
「わざわざ学校まで行ったのに、結局接点すら持てなかったところにせっかくのこのチャンス。このチャンスを逃さずゼロに何とか接触して私の従者にできないかチャレンジいたしますわ!!」」
「姫様、いったいどうなさりたいんですか・・・。従者だの、私のそばにずっといろだのということばかり。もしかして王位争いなんかに興味がなくてただ惚れたなんてことはありませんよね?」
「・・・・」
「え?姫様もしかして・・・」
無言はたいていの場合肯定を示す。その意味をその場にいた騎士は痛感したのであった。
ちなみにこの時の皆の服装設定
ゼロ・・・普通に正装みたいな感じの服。タキシードみたいなものかな。ハクロに頼んで作ってもらった。その際にハクロがこっそり糸を最上質のものにしていた。そのためこれ一着で1億ゼンもの価値になっている。
ハクロ・・・上半身はドレスみたいなもので、下半身はそのまま。基本色は白。ところどころに花の模様をあしらっているこだわり。
スラ太郎・・・人型になっているが、いまだに実は服を着ていない。着せたいんだけど嫌がった。というか、戦闘中よく体を変形させるので服がもたない。後日、フリーサイズの服を買うまでこのままである。
アルテミス・・・着物。空間収納により持っていた物である。本人曰く、「式典ならこの格好が一番なのじゃ」と言っていたもよう。なお、この着物は昔、アルテミスのドラゴン時の鱗を薄くのばして、どこかの着物職人に作ってもらったものらしい。そのためかなりの無駄な防御力と耐性があるようである。
 




