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『服屋にて』

新キャラこの話だけじゃなくてこれから先もちまちまでるよ

「で、あなたたちはハクロから糸が欲しいと」

「そうそう、アラクネが作り出す糸は高級品としても扱われているのよ。しかも、あなたの従魔のアラクネは普通のアラクネとは違うでしょ。その糸にはさらに価値があるのよ」



ギルドでの買い取りにて知り合ったコスチュン、ドンチュンの2人はなぜか宿に泊まろうとしていた俺たちを引きとめ、俺たちは2人が経営する服屋コスドンにつれてこられたのであった。


そしてかれこれ2時間近くハクロが出す糸がいかに貴重な物か、繰り返し繰り返し繰り返ししつこく熱弁していた。



・・・正直言ってもう止めてくれ。精神的にすごく疲れてきたんだが、この2人まだ話を続ける気かよ・・・。


ハクロたちもすでにグダグダな感じになっていた。ハクロからしてみれば自分の出す糸は特に何も思わずただ利用するだけのもの。それを熱弁されるのはさすがにどことなくうっとおしい感じがした。


アルテミスはハクロの糸の価値については、知識としてはあったが実際それについて話されているとなんとなく面倒くさいものだなと思っていた。


スラ太郎からすると理解が追いつかず、触覚から水蒸気がでていた。



やっといかにその糸が価値があるかを話し終え、本題に移ったのはさらに1時間経過してからだった。



「というわけで、私たちにその糸を毎月供給して欲しいのよ」

「いやいや、毎月って無理なんだが。俺たちは冒険者、つまり毎月この王都にいるわけじゃないんだよ」


冒険者の依頼の中には、ダンジョンと呼ばれる別の場所にいくつもある不思議な迷宮へいって、そこにしかいないモンスターの素材を取るものや、商人たちの護衛、盗賊退治などのものがあり、二、三ヶ月はいないなんていうことはあるのだ。


「大体、俺たちに何かメリットがあるのか?金なら別に依頼でもらえるし、たいして困っていないんだよ」


実質、さっきの買い取りで使いきれん金額だったもんな。


「もちろんあるさ。この服屋コスドンで商品を買うなら、毎回90パーセントオフにするよ」

「いや、でもあまり買う意味ないんだが。ハクロ、とりあえず1着なんでもいいから今作ってくれ」

「あ、はい。適当に作りますね」


ハクロは立ち上がり、素早く手を動かすとあっという間にその手の中にはシャツが1着できていた。


「シンプルなものですが、一応通気性を考えました」


そう、ハクロのスキルには「高速編み」というものがある。これはどんな服でもあっという間に作れてしまうものであるのだ。


「ほら、こうやって素早く服を作ってくれるし、そもそも冒険者だからそんなにオシャレには気を使わないんだよ」


返事がないので見ると、コスチュンさんとドンチュンさんは2人とも驚きで目を見開いていた。


「な、なんて早さで服を作れてしまうんだ・・・」


コスチュンさんはハクロの肩をガシッと掴むと真剣な表情で言った。


「ねぇ、あなたここで働かない?従魔としてよりも服屋での店員が向いているわよ」

「その、私はゼロ様と一緒じゃないと嫌なんですけど」

「じゃあゼロ君、ここで働かない?」

「働くわけないだろ。とりあえず、ハクロはこっちの従魔だからハクロが働きたいなら別によかったが、嫌がっているし、その話はなしで」

「そう、残念だわ。せっかくこの店をより発展できるチャンスだったのに」

「それなら、もしその従魔の糸を売ることがあったならばここで取引してくれないかい?できるだけ高く買い付けるよ」



これ以上は精神的に疲れてきたので、そこで妥協することにしたのであった。

後日談

ハクロの糸を使用した服は超高級品となり、いくらでも欲しいということになり、糸不足におちいったこの2人がゼロのところに糸を土下座して頼みに行ったという。

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