『森の奥にて』
なんか今日は連続してだせてるな
薬草採取を目的に、森の奥深くまで俺たちははいったのであった。
「うわぁ、さっきよりも明らかに大量に採れるな」
「ここまで来ることはないんですかね。あ、ゼロ様、『マダラソウ』指定量まで集まりましたよ」
「主殿、こっちは『アルマンダゴケ』があと数グラムで完了じゃ」
絶対さっきの場所よりも多くの薬草があるな。ま、森の奥深くだとそれだけモンスターがでやすいからなぁ・・・。
この場所に来るまでにかなりの数のモンスターたちが襲いかかってきた。しかし、こちとら冒険者。そうみすみすと簡単にはやられない。むしろ、ハクロたちが強すぎて返り討ちどころかオーバーキルまでやらかしてしまった。
後ろをみると、ハクロによって糸で体を切られたゴブリンや、アルテミスによって全身の四肢をもがれたオーク、スラ太郎が溶解液を放ってもとは何だったのかわからなくなったやつが転がっていた。
一応、素材が採れるとこは採ってアルテミスに収納してもらったが、損傷がひどい部分は採れなかった。
しかし、スラ太郎よ、お前だけなんでそこまでモンスターを溶かしまくるんだよ。可愛い見た目な割にはかなりグロい手段を使用しているよな・・・。
え?俺は戦っていないのかだって?こいつらがどんどん倒して行ったからこっちの分がなかったんだよ。
途中、昼食をとり、薬草採取を再開した。
「しかし、コケの類が本当に集まりにくいな」
「あと少しなのじゃが、なかなかいかんのう」
どうもコケはあまり生えていないらしく、あと少しのところでなかなかあつまらなかった。
「あ、ゼロ様!あそこにありましたよ!」
ハクロが指差した先に、アルマンダゴケがびっしりとあった。
「でかしたハクロ!これで指定量に達するはずだ」
「でも、かなり高い木の上ですね」
そのコケが生えていたのは樹齢200年もあるぐらいの高い木の上にあった。
「ハクロ、登って取ってこい」
「了解!」
アラクネであるハクロは木登りも得意なので、登らせて取ろうとしたが、
「あ、あれ?なんか足が滑って上手く登れません」
どうやら木の表面がツルツルなようで、登れないようであった。
「あと少しなんだけどな。一体どうやって採ればいいんだろうか」
「主殿、我に名案が」
「アルテミス、ドラゴンになって採るつもりか?」
「いや、それだとこの辺りが潰れてしまう。そうじゃなくてハクロの糸を利用するのはどうじゃ?」
アルテミスが考えた案はこうだ。
まず、糸をコケの上部に引っかかるように投げてかける。そして糸の両端を引っ張り木の表面からそぎ落とすというものだった。
試しにやってみると意外にもあっさり成功した。
アルテミスは自分の案が成功したので自慢気な顔をしていた。
とりあえず薬草が集まったので、ギルドに依頼達成の報告と倒したモンスターの素材の換金にむかうことにしたのであった。
・・・のはずだったのだが、森から出る前に俺たちは気がついた。
「あれ?そういえば来た道どっちだっけ?」
「あっちじゃなかった?」
「いやそっちじゃろ」
「「「・・・もしかして」」」
「ミンナマイゴニナッタノ?」
そう、薬草採取のために奥に行ったから帰り道なんかわからなくて、遭難したのであった。
ま、すぐあとにアルテミスがドラゴンの姿になって、飛んで見渡してもらって、王都の方角がわかったからすぐに森から出られたんだけどね。
いや本当に遭難したかとおもったよ。
後日談
「そういえばさ、あの遭難しかけたときにさ、モンスターを倒しながら行ったからその血の跡なんかたどればよかったんじゃないか?」
「いや、あの地面は一面血だらけじゃったからの、多分無理じゃ」
「じゃ、予防策としてさ、ハクロに入り口に糸をつけてからずっとそこから糸を出し続ければいいかな?命綱みたいにさ」
「おお、さすが主殿。その手があったか」
「いくらなんでもずっとはきついですよー‼︎」