『薬草採取』
なんかこういう地味な依頼って結構少ないんだよね
薬草を採取する依頼のために、俺たちはまたあの森に来ていた。
「昨日に続き、今日もここに来ることになるとはなぁ。あの魔力を抜かれていた事件があったから近寄りたくなかったんだけどな」
「他にあるのが護衛ばかりじゃからの。それだと3日後の王宮に行くことができなくなるからのぉ」
「それで、今回採取する薬草はなんですか?」
「えっと、『マダラソウ』と『アルンダマゴケ』を大体20〜50グラムずつらしい」
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『マダラソウ』
マダラ模様が目立つ薬草。魔力にムラがある人が食べるとムラが減る。また、ポーションの材料である。
『アルンダマゴケ』
木の上部についている青いコケ。淡く発光しており、魔力回復のポーション材料である。
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鑑定するとこんな感じらしい。ま、特徴がはっきりしているし簡単に集まるだろう。
「・・・と、思っていた自分をなぐりてぇ」
「なかなか見つかりませんね・・・」
「しかも見つかってもあまり採れないのぉ」
「「ヤクソウミツカンナーイ」」
採取を始めてからすでに3時間ぐらいたち、昼近くになったのだが、薬草はほとんど集まっていなかった。
「主殿、おそらくこの森は王都のすぐ近くにあるために薬草なんかは採取しやすいのでしょう。ギルドの依頼の中では簡単な方にあたり、そのため今まで多くの冒険者たちが入り込んでこのような薬草枯渇となってしまったんじゃろ」
アルテミスのその推測は当たっていると俺たちはみんなおもった。つまり、森の中ほとんどが採取し尽くされているような状態であるということになるのだ。
「この感じだと多分、もっと奥に行くか別の場所へ行くかじゃないと薬草が手に入りませんね」
「スラ太郎、薬草を生やすスライムなんかないのか?」
「「ナイヨ」」
スライムも万能じゃないんだな。オリハルコンやアダマンダイトなどの鉱石になるやつがあったからこれもいけるかとおもったんだけどな。
「そういった植物関係のことに関することは余りよく知られていないからのお。植物を成長させたり作り出したりできるのはモンスターだと『ドリアード』か『オールドトレント』ぐらいかの」
「あ、そういうことできるやついるんだ」
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『ドリアード』
植物型モンスター。見た目は人に近いが足や手から葉っぱや木の根なんかが生えている。植物に深く関わりそのことに関係することのプロフェッショナルなモンスター。しかし、見た目が美しいものが多いため乱獲され、近年では乱獲が禁止されている絶滅危惧種となってしまったモンスターでもある。エルフたちとは仲がいい。ランクはBクラスだが、おとなしいため乱獲されたという。
『オールドトレント』
切り株がモンスターとなったトレントの進化種。ドリアードにほぼ近い能力をもつが、ドリアードよりも凶暴で人をよく襲う。猛毒を根っこにもち、それを使用して攻撃してくる。また、さらに希少種ともなると色が紫から茶色に変化していて普通のトレントと見分けがつかず大変危険。ランクはBクラス。
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「モンスターでも絶滅危惧種なんてあるのかよ!」
「まあ、あまり人に危害加えないやつだとそういうことになりやすいようじゃからの。人間の欲の深さの方がモンスターを上回るなんてよくある話じゃ」
なんか人の醜さを垣間見たような気がした。
とりあえず気持ちを切り替え、薬草採取のために、森の奥深くを目指すことにしたのであった。
従魔フラグ?