『完璧忘れていました』
作者も忘れていました
一夜明け、俺たちはアンネルさんと別れ、とりあえず依頼はないかとギルドに向かった。
ギルドにつくと、昨日とあまり変わらないほど人がいた。
「あいつか?あの迷惑野郎どもをぶっ倒してくれた奴は」
「ああ、間違いない。なんせ昨日その現場を俺は見ていたからな」
「従魔たちがほとんどやったとはいえ、恐ろしいな」
昨日の出来事がもう広まっているようであった。
とりあえず、受付のところへ行き、依頼がないか尋ねることにした。
「すいません、何か依頼はないでしょうか?」
「あ、ゼロさん、依頼なら山ほどありますよ」
受付嬢は昨日の人のようであった。
「そうそう、あなた宛てに手紙が届いていますよ」
「手紙?」
「モッセマンさんからですけど」
どう考えてもろくなものではない、と思えたのはその言葉をきいた全員のようであった。モッセマンさんがどれだけ面倒な依頼をするのか、ここの人たちはわかっているようであった。
「これがその手紙です」
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ゼロ君へ
この手紙を読んでいるということは冒険者になったのであろう。そこで君にひとつ言いたい。この前、国王様が言っていたことを覚えているかね?
『決闘の時のことで表彰する日程なんだが今から10日後』と言っていたことを。
この手紙が読まれるのはおそらくだがそれから数日たっていると思う。そのことを忘れていないか確認しただけだよ。
ただそれが伝えたかっただけなので、あとは特にない。
差出人 モッセマン PS、この手紙を読んだ後すぐに破いて捨てたまえ。あ、分別しておくれよ。
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・・・・すっかり忘れていました。
そうじゃん!!そんな話有ったじゃん!!まてよ、いつになるんだ?
確か、話された日から1日過ぎて残り9日、次の日に試験受けて残り8日、試験受けて卒業して4日、そして1日たって今は残り3日か。
「というか、本当にどうしようかこれ。何か準備なんているっけ」
「だったらすっぽかすのはどうじゃ?」
「いやそれダメだから!!」
「あ、正装でないといけませんよね。私が服を作りましょうか?」
「あ、そういえばできるんだっけ。じゃ頼む」
「了解ですゼロ様」
とりあえず簡単に解決したけど・・・。
「これから3日間どうしようか。下手に護衛の依頼なんか受けられないしなぁ」
「普通に薬草をとるのとかでいいんじゃないでしょうかね?」
「やっぱりそうだよね」
めんどくさいことを思いだしつつ、俺たちはその薬草とりの依頼のために森へ向かうのであった。
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一方、王宮ではそのことを知った第2王女が、父親である国王様にモッセマンさんから借りた(こっそり盗んだ)ポエム集を人質(物質?)に、自分になぜその情報が来なかったのかという尋問をしていたらしい。
後日談
そのポエム集はいつの間にか書籍化され、ベストセラーとなった。その一方で国王様が身悶えしていたという。ちなみに犯人はその話を聞いた、たまたま王宮に訪れていた一人の冒険者兼国立書籍編集者が王女に交渉し、売り出したという。さらに、一応国王のメンツもあるため逮捕されることもなかったらしい。