『道中出来事1』
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屋敷に別れを告げ、俺たちは王都にある冒険者用の学校へ向かっていた。
スラ太郎はだしっぱなしである。
いやだってね、馬車で向かうのはいいんだけど乗客俺一人しかいなくて寂しいもん。
うちから出してもいいのにあの親父自力で行けっていうんだもん。
王都までの定期便に乗せてもらって、向かっていた。
「しかし、貴族の息子がこんな馬車に乗っていくとは俺も思わなかったよ」
「ま、俺は三男だからな。紹介文だけ持っていけばいいらしい。どうせ俺なんてどうでもいいんだろうよ」
「うわ達観しているなぁ」
話し相手になってくれてるのはスラ太郎だけではない。この馬車の持ち主で馬を制御しているアンネルさんである。今年でもう35歳独身という何かと残念な人である。
顔はまずまずのイケメンと思えるが、なんせ少しメタボだからなぁ。残念なイケメンである。
「しかし坊主、おまえ冒険者用の学校へ行って何の職業に就く気かい?スライムを連れているところを見ると魔物使いにでもなるのか?」
「あ、それにするつもりだよ。一応魔法も少し使えるけど、やっぱ魔物使いになりたいんだよ」
「あっはっは、立派な夢を持つのはいいことだからな。ドラゴンでも従えられたら俺に見せてくれよ。やっぱそこまでいかないとなんか中途半端な気がするからな」
「いや、さすがにドラゴンは無理でしょ」
「そういやそうだな。すまんな無理言って。でも注意しろよ。もしレアなモンスターを従えていたら、その取れる魔石や素材を狙ってくる奴らが出るからな」
なかなかいい人のようである。一応貴族でもある俺にそんなことも感じさせず注意をしてくれるとはそれなりに経験があったのだろうか。しかし、やっぱどこか残念なイケメンである。顔がいかつい人ならそのしゃべり方違和感ないんだけど、顔が無駄にいいからなぁ・・・。
なんやかんやで進んでいると、馬車かいきなりとまった。
「あり?馬がなんでいきなり動かなくなったんだ?」
「ん?あっ、馬の脚をよく見てみろ!」
よく見ると、馬の脚に何か白い糸みたいなものが巻きついていた。
「ありゃ・・・アラクネの罠だ!」
「アラクネ?」
「坊主は知らんのか?アラクネってのはな、上半身は女、下半身は蜘蛛のモンスターだ!上半身が女といってはいるが、見た目はかなり醜悪な奴で気持ち悪いやつなんだよ!」
なんてこった!前世の知識になぜかあるやつと違うやつかよ!
「くっそ、アラクネがこの道に罠はっているなんてきいてねぇぞ」
「あ、あそこ!なんかいるよ!」
「な、何!やべぇ!ありゃアラクネ・・・?え?あんな姿だっけ?」
ゼロ達から少し離れた場所。そこに佇んでいたのは、醜悪な顔と言われるアラクネ。しかし、そこにいたのはそれとは全く違う美しい顔をもち、長い銀髪をポニーテールのように結んでいた全く違う容姿であるアラクネだった。
『アラクネ』
上半身が女、下半身が蜘蛛の意外とわかりやすいモンスター。しかし、通常その容姿は醜悪で自前の糸で罠をはって獲物(特に人間)を捕らえ捕食する恐ろしいモンスター。知能が一応高く、倒すのには困難を極める。下半身が蜘蛛のためかカフェインが含まれるものを摂取すると酔っ払うが、下戸らしくカフェインを使用すると余計倒しにくくなる。(精神的意味で)