『宿屋探し、ついでに再会』
今回久しぶりにあの人でるよ
なんとなく嫌な予感がしたため、王都内に戻り、今日の宿を探すことになった。
「とはいってもな、よくよく考えたら従魔は従魔用空間に入れられるんだから俺一人だけの宿をとってもいいんだよな」
と、思いついたのでいったんハクロたちを従魔用空間に入れ、一人で宿を探すことにした。
そういった宿泊施設は王都の南側に多いのでそこに向かうことにした。
「うわぁ、すごい人数だな」
その通りについたとき、そこは大勢の人であふれていた。
「『森の休憩の場』、今なら1泊2000ゼンだよー」
「さあーよったよった。『魚介荘』今なら団体三割引きだよ!!」
「こっちの『桃・元』はサービス付きだよ!!」
あっちこっちで自身お宿への呼び込みが行われ、かなりにぎわっていた。
「おや?あの時の坊主じゃねえか!」
「え?」
呼びかけられたようなので、振り返ってみるとそこにはこの王都に来るまで一緒だったアンネルさんがいた。
「あ、アンネルさん、おひさしぶりです」
「おう、坊主は元気そうだな。それにしてもなんでこんなところにいるんだ?まだ学校にいるはずだろう?」
そういえば、まだ事情を説明していなかったんだった。
アンネルさんにこれまでのことを話し、今日卒業したばかりだと伝えた。
「なるほど、というか早いな。結局お前がこの学校に入る意味があったのか?」
「ありましたよ。おかげでDランクで冒険者登録ができましたからね」
「ああ、そういえばそういう事が出来るんだったな。で、今は宿探しということか」
「はい、一応従魔たちは従魔用空間に入れられるので俺一人だけで泊まれるところを探していたんです」
「そういえば、坊主は魔物使いだったな。そうだ、俺も宿に部屋を決めていたからそこに今日だけ相部屋というのはどうだ!料金は半分ずつで」
「じゃあ、そうします」
アンネルさんとの再会があり、今日の宿が決まって部屋に入ったのだった。
「そういえばあのアラクネとかは今どういう状態だ?この部屋はそれなりに大きいから、あの大きさでも問題はないと思うが、ついでにほかにいるならそいつらも出してみてくれ」
「わかりました。出て来い!ハクロ!スラ太郎(A、B)!アルテミス!」
全員を従魔用空間から呼び出した。
「お久しぶりです、加齢臭臭いアンネルさん」
「ヒサシブリー!ナンカクサイおじさん」
「お前らそろってひどいな!!今はしっかり匂い落としを使っているはずだぞ!」
「我は初めて会うが・・・お主、加齢臭臭いのう」
「そこまでか!?て、あれ、確かに初めて会うな。坊主、こいつも従魔なのか?どう見ても女性にしか見えないんだが」
「あ、アルテミスはエンシェントドラゴンなんだよ。今は人化しているんだよね」
「エンシェントドラゴン!?どんだけのやつを仲間にしているんだよ!?」
驚きのあまり、アンネルさんはそのままの意味で顎が外れたので何とか治してから事情を話した。
「なるほどな、そんなことがあったのか。しかし坊主よ、うらやましいぜ」
「え?なんでですか?」
「モンスターとはいえ見た目がこうも人間と似ていると、周りから見たら美女を侍らしているようにしか見えないんだよ」
「そんなつもりはないんだけどな・・・」
「坊主はあれか?美しいモンスターだけを集めるつもりか?」
「そんなつもりは本当にないんだけど・・・。従魔になってくれるならそれでいいんだけど」
「ま、これ以上ゼロ様を狙うライバルが増えても困るんですけどね」
「我としては別にいいんじゃがな。過去の例から言うと、ドラゴンと人の間に子を成せたというのがあるし、そいつらよりも我のほうが魅力的じゃろ?」
「ずるいです!!過去の例を挙げてゼロ様と子を成しとげるつもりですか!!」
「ん?そこまで言っておらぬぞ。何を勘違いしておるんじゃこの茹でアラクネは」
「人の感情を逆なでしてるんですかあんたはーーーーー!!」
(アラクネは人じゃなくてモンスターだよね)
(坊主、生き物全体に言えるがこういう時は俺らオスよりもメスのほうが強い。うかつに介入するなよ)
アンネルさんの説得力に、俺はうなずいたのであった。
というか、この迫力から察するに過去にも同じ目にあったことがあるんだなアンネルさん・・・
アンネルさん忘れてる人多そうだな・・・。