『野宿準備、そして異変の前兆』
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ギルド登録を終え、とりあえず今夜の寝床を探すことにした。
普通に宿をとってもいいが、あまり金を使いたくない。とりあえず一旦野宿を決め、ちょうど良さそうな場所を求めて王都から少し離れた平原に来ていた。
「この辺がいいかな」
「平地だし、向こうに王都が見え、なかなかじゃな」
「「カラダノバセルノー」」
「王都へ向かう商人たちの通る道も近くにあり、安全確保のための騎士の巡回ルートがそばにありますしね」
「よし、それじゃあ今日はここで一旦夜を過ごすぞ」
野宿する場所を決めた俺たちは、夜食確保のために近くにある森へ入った。
「この森の中で食料を調達しよう」
「のう、主殿、我のスキルに『空間収納』があるから、その中に入れればいいぞ」
そういえば、アルテミスを鑑定したときにそんなものをもっていたな。
「じゃあ、物資の保管を頼めるか?」
「お安いご用じゃ。我は主殿に尽くすためにいるんじゃ」
「私だってそうですよ」
「ハクロ、お主はまだ食料確保の最中じゃろ」
「もうたくさん得ましたけど?」
「「え?」」
俺とアルテミスはその言葉を一瞬疑った。普段の言動からして、何かやらかしていないかとむしろ不安だったのだ。
「ゼロ様、私がアラクネだってこと忘れていないですか?アラクネはこう罠をたくさん設置して、獲物がかかるのを待つんですよ。で、今大体20ぐらいの罠にかかったようなんですよ」
そういえば、ハクロはアラクネなんだったよな・・・、そりゃこういうことはお手の物だったな。
ハクロが仕掛けた罠を見に行くと、たくさんの動物がかかっていた。空中に仕掛けた罠には鳥が、地面に仕掛けたものにはイノシシや小動物たちが、罠に使用されていた粘着質の糸に捕まっていた。
「こりゃまた大量じゃのう。ただのアホではなかったか」
「ふふん、どうでし・・・ちょっと待って。アルテミス、今あんた私がアホだと思っていたの?」
「そうじゃ」
「誰がアホかぁぁぁぁ‼︎」
やっぱこの2人喧嘩多いな。犬猿の仲ってやつかな?犬でも猿でもなく、蜘蛛とドラゴンだけど。
あれ?そういえばスラ太郎はどこいった?
「「マスター!ツカマエタヨー」」
「あ、スラ太郎たちそっちにいたのか・・・、って何を捕まえてきてるんだ⁉︎」
後方からスラ太郎たちの声が聞こえ、振り返ってみると、手を振っているスラ太郎Aと、とんでもないやつを体内に捕獲しているスラ太郎Bがいた。(A、Bの見分け方は単に頭の触覚が赤か青かということにして見分けている)
「スラ太郎、そいつを一体どこで捕まえてきたんだよ!」
スラ太郎たちが捕まえてきたのは、イノシシや鹿などではなく、ゴブリンや他のスライムでもなく、なんとそれはサイクロプスだった。
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『サイクロプス』
1つ目の巨人型モンスター。肌の色が赤く、稀に他の色の上位種が出現することがある。また、モンスターの中では珍しく、「小型種」「中型種」「大型種」と3種類に分類され、ランクがそれぞれD、C、Bとなる。その単眼から光線を出す希少種もいるらしいが、目がつぶれた瞬間一気に弱体化する。
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スラ太郎が捕獲したのはどうやら小型種のようだが、それでもそんなモンスターを倒したのが驚きだった。
「えっと、どうやって倒したんだ?」
「ンー、ナンカヨワッテタ。デ、クチノナカニハイッテトドメサシタノ!」
見た目の愛らしさと違ってかなりえぐい倒し方である。
「よ、ようやったのそんな方法・・・」
「スラ太郎、恐ろしい子・・・・」
その倒し方を聞いたアルテミスとハクロまでもがドン引きしていた。
「ん?このサイクロプス何か変じゃぞ」
サイクロプスを見ていたアルテミスは何かに気が付いたようだった。
「変ってどこがなんだ?」
「魔力がなんかこうごっそり抜かれている感じがしておる。弱っていたというのはおそらくそれが原因じゃ」
んーわかりにくいしな。あ、鑑定すればいいか。
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名前:『未設定』(死亡確認のため判断不能)
種族:サイクロプス(小型種・希少種)
年齢0歳
MP:0/450
ATK:800
DF:0
スキル:「馬鹿力」「単眼ビーム」
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「ほんとだ、魔力がゼロになっている」
「うむ、これは本来ありえないことじゃ」
「どういうことですか?」
「本来、我らモンスターはこんな魔力がなくなるまでのことはしないのじゃ。冒険者たちに襲い掛かった際に魔力を使うことがあるのじゃが、その割には外傷がないのじゃ」
よく見ると、サイクロプスの体にはまったく傷ついたところがなくあまりにも不自然だった。
「おそらくだが、何者かがこやつから魔力を魔道具か何かで吸い取ったと思える。そこで弱っていたところをスラ太郎にとどめを刺されたわけじゃな」
モンスターの魔力を抜き取る。そんなことは聞いたことがない。
何か嫌な予感がしたため、急遽この場から離れて王都で宿をやっぱとることにしたのであった。ついでにギルドに報告し、「それでもサイクロプスを倒したんですか・・・」と驚かれながらも、この件について調査してくれることが決まったのであった。
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ゼロたちが去った森の奥深く。そこにあった洞窟の中に二人の男の影があった。
「ふんふんふん、やっぱりこれでモンスターの魔力が吸い取れると。うんうん、これはなかなかいい結果だね」
「そ、それで、どうなんだな。僕に協力、を、して、ほしいんだな」
「うん、別にいいよ。君は新しいゴーレムを作り出せるし、わたしはこの『黒魔石吸収型』の改良ができる。どちらもWIN,WINな関係になれるからね」
「よ、よかったん、だな。これから、よろしく、なんだな」
「うん、よろしく。このわたしが協力するんだから絶対成功させてね」
「わ、わかって、いる、んだな」
二人は互いに協力関係になると、次に何をしようかと話し合いをはじめるのであった・・・。
この「だな」しゃべるやつダイエットさせようかな。結構書きにくいと書いてるときに思った。




