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『卒業試験9』

閑話に近いけど一応ちゃんと本編です

 昨日お題をすべて終わらせ、ついに卒業試験最終日となった。

最終日である今日は筆記試験である。これは一応、世の中で計算などが必要になるためそれらができているのか調べるためのものである。


「それではこれより筆記試験を始める。回答者以外は速やかにこの教室から出て、試験終了までおとなしく待っていなさい」


 本来、従魔たちは一応従魔用空間に入れたままでいい。しかし今回は、みんな会話が可能なものだからいったん出されてしまうことになった。


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試験が始まり、その間ハクロたちは従魔用厩舎にいた。試験終了まではここで待機しているように言われたのである。


「はぁ、ゼロ様のそばにいさせてもらえないなんて・・・」

「そもそも我らはモンスターじゃから別に問題の回答を聞かれてもわからんのに、なんで離れさせられるんじゃ」

「ソウダヨネー。ワカラナイノニネー」


 完全に3体ともゼロから離されたことに不満たらたらだった。


「主殿は大丈夫じゃろうか。まだここにきてそんなにたっておらぬというではないか」

「私としては、今回は勉強分野のためゼロ様の役に立てないことがふがいないのですが・・」

「そもそも我は実は計算なんかはできるのだが、歴史あたりが苦手なのじゃ。だいたい人間はいつも自分たちの都合のよいように歴史を教えておるようじゃしの。昨日主殿が勉強しとる合間,歴史の本を見てびっくりしたわ」

「ソンナニチガッタノ?」

「うむ、例えばアマジロという大臣は聖人のような人物と書いてあったが、本当は後退しつつある髪の毛におびえてストレスで剥げて行ったある意味哀れな奴じゃ」

「ちょっと待って、なんでそんなこと知っているの?」

「たまに人間に紛れたりしたからの、ある程度まで知っておるんじゃ」

「なるほどねー」


 そんなトークが試験の間中されていたのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「しかしあいつもいいよなー。もう卒業なんて早いよな」

「ああ、俺たちとほぼ同時期入学なのにな」


ところ変わって、本日は卒業試験のために教室が使用不可となり、そのため外に出ての授業となった。休憩時間となり、そこで生徒たちは互いに話していた。


「だいたいあの美しいアラクネに続き、可愛いスライム、ドラゴンだけど美人のお姉さんに成れるドラゴンを従魔にしているなんて羨ましいよな」

「それだけ俺達とは離れた世界の住人か・・・」

「そういえばあいつ本当は貴族らしい」

「え!本当か!?貴族なのになんでこんなところに」

「よくある貴族の事情ってやつさ。あいつはどうやら3男らしくて実質的に家を継ぐことができない。だから冒険者になろうとしたって話が有力だぜ」

「え?あっしが聞いた話だと家が余りにも嫌になったから飛び出たと聞いてるでやんす」

「うちは彼は実はとんでもない才能があって、彼が兄弟に疎まれてそれを察して出てきたと聞いたんだけど」


知らず知らずのうちにゼロについてのうわさが広がっていた。いくつかは真実に近いのだが、中には彼は実はモンスターだの、魔王だの、神童だのと根拠のないうわさまであった。

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「試験終了!!回答止め!!解答用紙を裏返しにしなさい!」


 筆記試験がやっと終わり、俺は従魔用厩舎へ向かった。そこに預けてあるハクロたちを迎えに行くためである。


「やっと試験が終わったー」


 かなりほっとした。もともと屋敷にいたときから計算などの勉強はできたためそこまでつらくはなかったが、その計算問題系が終わった後、校長が用意する問題とやらが厄介だった。


『スライムの種類は何体あるか記入せよ』


なんてスライム関連のものが多かったのだ。というかモッセマンさん、あんたどんだけスライム好きなんだよ・・・。


 厩舎へ戻ると、そこには大勢の男子生徒たちが、あるものは簀巻きに、あるものは全身の関節が変な向きに、あるものは体がひどく痙攣しているという死屍累々の山があった。


「こ、これはいったい何があったんだ?」

「あ、ゼロ様。試験終了ご苦労様です」


 ハクロたちが入り口から出てきた。髪が少し濡れているところを見るとどうやら従魔用の風呂に入っていたらしい。それだけで俺は何があったのか理解した。


「と、とりあえず結果は明日発表だからもう寮に戻るんだが・・・この山はあとで校長に知らせよう」

「了解!」


 ハクロたちを俺の従魔用空間に入れた後、俺はその惨状をモッセマンさんにすぐ伝えに行ったのであった。


 というか、教頭の件もあったんだから学習しろよお前ら・・・・。


この思いはハクロたちに向けてのものか、哀れな男子生徒たちへのものか、全く分からなかった。



日間からだんだん下がってきたけど、それでも読んでくださる方々がいてうれしい限りです。

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