『卒業試験7』
お題って結構考えるのたいへんなんだよな。
「それでは、卒業試験2日目を行う」
昨日の試験のあと、今日二日目の試験が行われることになった。ついでに、ハクロたちは今従魔用空間から出している状態である。
「2日目は、この箱の中から応募されたお題を自ら引いて、3つ今日中にこなすことである。ただし、今日中に審議会に無理と判断された場合は引き直しが可能である!」
え、審議会なんてあるのこれ?しかしなんか妙に嫌な予感がするんだが。ちなみに今日の司会はモッセマンさんではなく、他の男性教師だった。
「それでは、お題を3つ引くのである」
「ゼロ様、なるべく楽なやつを引いてください!」
「主殿、できるだけ面白いのを引いてほしい」
「マスター、ナントナクタノシイヤツヲ」
周りには味方がいないのか!?いやな予感しかしないんだけど!!
ちくしょう、腹くくるか!
「とりあえずこれとこれとこれ!!」
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『伝説の聖剣見つけて』
『スライム1000000000体生け捕りにしてきて』
『わたしに忠誠誓ってずっとそばにいろ』
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「全部無理じゃん!!」
「あー、これは審議会通すまでもないわ。もう一度引き直してくれ」
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「あああああああああああああああっ!!私のがあったのにーーーー!!」
「姫様、そもそも名前書いていない時点でだれかわからないので無理だと思うんですけど・・・」
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今なんか悲鳴が聞こえた気がするけど、気のせいか?
「とりあえずもう一度!!」
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『ドラゴンの鱗一枚、アラクネの糸1メートル、ポーション1本分国に献上するぞい』
『従魔たちと協力して教頭の禿疑惑を確認する』
『スラム街に行き、そこに魔力で咲く花「魔桜」の種を植えて、三分で咲かせる。あ、種はこの応募用紙裏面に貼り付けてあるよ』
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「これはできますよね」
「可能じゃな」
「デキルデキル」
ちょっとまて、明らかに一つは国王が書いていないか!?「ぞい」て書いてある時点で完全に国王だよね!?しかもなんで花の種植えろなんてあるんだ?ご丁寧に種が備え付けられているしいったい誰なんだ?
いやそもそも教頭なんていたの!?あ、いたわ。校長と国王が目立ちすぎて全く気が付かなかったな。て、その禿疑惑ってどうやって確認しろと!?
「では、実行可能そうなのでやってもらいましょう」
「教頭の部分は触れないの!?」
とりあえず、一枚ずつ可能なものから始めることにした。
「アルテミス、鱗一枚とっていいか?」
「主殿の命令じゃ、別に我は構わんがその条件だと「人化しているときの皮膚にあるやつ」か「本来の姿の時」どっちのをとるのじゃ?」
「じゃあ、今の人化しているときのその腕に少しあるやつから一枚で」
「えっと、これでいいじゃろ。ちょうど鱗が抜け替わる時期じゃったからよかったわい」
ドラゴンの鱗って抜け替わるのかよ・・・。脱皮とか一瞬想像してたわ。
「ハクロ、糸を1メートル分頼む」
「えっと、手から出すのと蜘蛛の胴体から出すのどっちがいいかな?」
「じゃあ、蜘蛛のほうで」
「了解!」
アラクネは手からと蜘蛛の部分から出す糸に分かれているらしい。普通素材として扱われるのは蜘蛛からのほうのようだからそっちにした。
「スラ太郎、ポーション作れるかい?」
「マスター、コレッテ傷ヲイヤスほう?MPカイフクサセルホウドッチ?」
あ、確かにその指定がないな。じゃあ一般的なほうにするか。
「傷をいやす方で」
「リョーカイ!」
だんだんスラ太郎なんかハクロに似てきたな。あれか、スライムだから吸収するってか。
それぞれのものを集め、モッセマンさんに渡した。
「えっと、確かにこれでいいね。じゃあ責任もって献上するね」
「お願いいたします」
「これで一つクリア。で、次はどうするの?」
「じゃあ、教頭のほうを」
「あ、教頭ならさっき必死でここから去っていきましたけど・・・」
おい教頭!そこまで必死に逃げたなら絶対禿だろ!?というか逃げたのか!!どうやって追おうか・・・。
「あ、それなら先ほどそのお題を決めた際に教頭と思しき人物が逃げていたのでしっかり糸をつけておきました」
いつの間に!?やっぱハクロは有能なのか無能なのかよくわからん!!でもナイス!!
「この糸をたどれば見つかるはずです」
「なあ、主殿」
「なんだアルテミス」
「その教頭とやらはこの人間か?」
「え?」
いつの間にかアルテミスが教頭を捕まえていた。しかも、教頭の頭をがっしりとつかんでいた。て、教頭気絶してるよ!
「お、おいアルテミス、いつの間にしたんだ」
「そうよの、さっきハクロが主殿に話しかけたすきにその糸をたどってつかまえたんじゃ。抵抗されても困るから速攻で股間をけって気絶させたんじゃ」
「何気に結構ひどいことしてない!?男にその攻撃はきついって!!」
「というより、アルテミス!何、ゼロ様に私がいかに役に立つか見せていたのにその見せ場をうばわないでよ!!」
「なんじゃハクロ、お主まさか嫉妬しておるのか?追跡しかないお主に我のような優秀さはないからのお」
「なんですって!!」
あ、喧嘩しだしたな。
「そっちだって昨晩、熟睡しているゼロ様の布団に潜り込もうとして必死に従魔用空間から出ようとしてたじゃない!!」
「そ、それは我は従魔じゃから主殿のすぐそばにいようとしただけで、お主だって昨晩従魔用の風呂に入りに行ってきた際に、覗こうとしていた男どもを縛り上げてそのままにしておるではないか!!」
えっ!?二人ともそんなことしていたの!?というかその縛られた人たちもしかしてまだそのままかよ!
・・・でも覗こうとしてたんだよな。じゃあ、ほっとくか。万が一ハクロのせいにしたとしても一応上半身は人と変わらないから覗こうとした人たちの立場が悪くなると思うがな。
「えっと、教頭の禿疑惑なんですが・・・」
「あ、忘れてた」
えっと、頭触ればいいんだよなこれ・・
そう、教頭はどうやら剥げてはいなかったようだ。ただ、なぜかピン止めしてあり、それがかつらを固定するものかと思って外したら・・・・。
何やら大量の折りたたまれた写真が出て、しかもその写真が全部昨日ハクロとアルテミスが入浴していた時のものだったよ。
とりあえず、残りのお題へ移るか。え、教頭は結局どうなったかって?そりゃその写真が出てすぐに般若の形相でアルテミスとハクロがぼっこぼっこにし、髪形をわざわざバーコードにされてこの国の警察に当たる機関へ連行されていったよ。
ちなみにその写真は証拠物件として持ってかれた。ちなみに、なんでエンシェントドラゴンのアルテミスがその盗撮に気が付かなかったというと、なんでも裏市場にある気配を消すカメラなるものがあるらしい。それを使ったそうだ。他にもまだ余罪がありそうで、俺が卒業したらすぐに新教頭を決めるらしい。
俺としてはむしろこの世界に写真があったことが驚きなんだけどね。ま、さっさと早く最後のお題を実行するか。
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「意外にもあっさり引き当てたようだな。これで命令に沿った形となるが・・・あの教頭、最低だな」
遠くの屋根の上から、ゼロたちを見ていたそのものは、無事任務を達成したので報告に向かいに行った。
没ネタ。
「教頭の髪をチェックするか」
ブチッ
「うむ、剥げておるな」
「ちょ、髪の毛引っこ抜くなよ!!」
こっちのほうがおもしろかったかな?




