閑話 卒業試験2日目の前に
いつの間にかブックマークが3,000件突破していました。ありがとうございます(^O^)
「うーむ、またかなりたまっているなぁ」
モッセマンは目の前にある紙の山に感嘆していた。
この学校の卒業試験2日目は、過去分含めた全校生徒から応募されたお題を3つこなすものである。
本来なら卒業試験開始の約2週間前から応募をつのるものだが、今回は急なものであり、1日目の夜は8時までに期限を設けて応募したのだが、それでも目の前には山のように積み重なるほどお題が書かれた応募用紙が積み重ねられていた。
いちいち応募するならその時に応募されたのはそのまま次回は破棄でいいじゃんと思う。が、何代か前の校長が「もったいない」とかいって、幾つかは次回に回されるためにとっておかれるようになっているのだ。
だが、この中から選ばれるお題は3つまでしかなく、しかも2日目のその日のうちに終わるものしかできないのだ。
「なんかまたいっぱい集まっていますよねー」
「これだけ書けるなら勉強にも励めばいいのに」
周りには今、この中から明日その日のうちに終わるものを厳選するために他の教職員が集まっていた。
「しかし、これだけの量を明日までに厳選するのは辛いな」
「大体、今回は1人だけしか受けていないだろ?なんでこんなにあつまるのかね?」
「いや、正確に言うと従魔もいるからな。しかもその従魔達はどれも美女だ。おそらくだが半分は妬みや嫉妬、半分は色欲から来たようなものだろう」
「確かにあのアラクネは美しいからですね。上半身だけが女性そのままとはいえ、やはりいいものなんですよ」
「しかも、今日ので初めて現れたエンシェントドラゴンの人化した従魔はそれはそれはうつくしかったからなぁ。さらにスライムも人型でどことなく可愛らしい」
「それは大半の男子生徒に妬まれますよね。しかも今回のその受験者はまだ入学して3日ほどしか経っていないのにもう卒業かよと言っているものがいますからね」
「そもそもあれだけの実力をもつ従魔を従えている時点で彼も相当実力があるだろう。この学校に入る意味あったかね?」
全くその通りだと、その場にいた教職員の意見が一致したところで作業を開始した。
「これはまだいいかな。これは『帝国潰してこい』?なんか今回こういう物騒なものが多いですな」
「確かにな。まあ、戦争がありそうなことに子供達も薄々気づいてきているんでしょうね」
「大体、こんな無茶苦茶なことができるわけが・・・できそうですよね」
その場にいた教職員全員がそう思えた。
ゼロの従魔はランクSクラスに値するモンスターばかりである。冗談でもなく、国を軽く滅ぼせられそうな戦力だと思えた。
「ま、まぁ彼はそういうことは嫌そうですからね。戦争なんかには参加しないでしょう。それに、国を軽く滅ぼせれるような力とはいえ、彼はそんなことには力を使わないでしょうね」
なんとなくその場の雰囲気が悪くなったので、モッセマンは慌てて無理やり作業を再開させた。
深夜、作業が終わり皆が寝静まった頃、お題が入っている箱に誰かが近づいた。
「ほう、これが今回のお題が入っている箱か。あの方から入れるよう言われたこのお題をいれてさっさと帰ろう」
その誰かは箱にその紙を入れ、その場を去っていった・・・。
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「姫様は何を入れられたのですか?」
「えっとね、私に忠誠を誓いそばにいろって書いた」
「・・・引かれますかね?」
なんとなく、そのお題は除外されてるだろうと騎士は思ったのであった。
ちなみに、こっそりモッセマンや国王様も応募しており、それは権力で除かれていないのである。