『卒業試験2』
なんかボケと突っ込み役がだんだん出てきたな
「で、試験官の相手というのが・・・」
「そう、この拙者、『田中 斉藤丸』がお相手いたそう」
今、俺の目の前にいる試験官はAランク冒険者魔物使いらしい。
・・・どう見たって格好が忍者みたいなんだけど!?え、なにあれ、初めて人前に堂々と姿を現している忍者なんて見たわ!!しかも名前がどう考えても漢字になっているよね!?しかもなんか絶対ござるとか言いそうですごいある意味濃い人だろ!!
「拙者、こう見えてもこの国出身のものである。ただ拙者の両親はどうやら『忍者』とかいう職業になりたかったらしく、それゆえなれるように拙者にこのような名前と格好をさせたのである」
魔物使いになっている時点で成れてないじゃん!!恰好だけかよそれは。
「魔物使いとなり、日々任務を果たしていた拙者ではあるが、このようなことに出会うとは初めてでござる。若き魔物使いであろうが、貴公はその年齢にもかかわらず高位の従魔を持つという。なので拙者も手加減しないでござる!!いでよ!ホムラカゲ!ハヤカゲ!ツジカゲ!オニカゲ!」
忍者が出してきた従魔はなんと驚くことにすべて同じモンスターだった。違う点と言えばそれぞれの色が赤、青、黒、黄色で何とか見分けがついた。しかし何だろうか、姿がまるで某ゲームの魔〇のカゲそっくりなんだけど・・。
『今回卒業試験の実況はこのわたくし、モッセマンがお送りしております。解説はモンスター評論家でわたくしの友人として急きょ駆けつけてくださったジャンさんです』
あ、いつの間にかまた司会者用の席ができてるじゃん。またモッセマンさんが司会だけど、あの解説の女の人って確か有名な評論家だったかな?
『えー、ゴホン、先ほど友人のモッセマンさんにも紹介されましたが私はモンスター評論家のジャンです』
あれ?モッセマンさんの友人だからてっきり同じ変人と思っていたら意外にまともそうかな。
『解説のジャンさん、あのモンスターの解説をお願いいたします』
『ええ、あのモンスターたちはすべて「ヒラカゲ」という同じ種族で構成されています。そのランクはAにあたり、しかもそれが4体もそろうなんてめったにありませんよ!!しかもそれぞれがかなり珍しい属性もちで私もうあのモンスターたちを解剖したり抱きしめたりしたいです。・・・ダメですか?』
『いや、今試合になるのでやめてください。わたくしだってゼロ君が持っているスライムをもっといろいろと調べたいんだよ。がまんしているからね!』
やっぱモッセマンさんと同じタイプだったーーーーーーーーー!!しかもさらっと解剖したいとか言ったよね!?相手の従魔それ聞いて一瞬びくっとしていたぞ。
「出てこい!スラ太郎ズ!ハクロ!アルテミス!」
とりあえず無視して俺は従魔を出した。あ、スラ太郎「ズ」となってるのは分裂したままだからな。
「ふっふっふ、やっと我が戦えるのか」
「私はもう2回目なんだけどね」
「「コッチハモウジュンビウンドウオワラセテルヨーー」」
ハクロたちが出た瞬間、観客となっていた生徒たちはざわめいた。
「な、スライムがなんか増えていないか!?」
「分裂したんだろ。それよりみろ、また一人美人のモンスターが仲間になってるぞ!」
「くぁぁぁぁ!!なんんであいつばっかりあんなキレいどころが多いんだーーーーー!!」
「なんかかなり強そうだよな」
「というかあの種族なに?」
どうやらみんなアルテミスのほうが気になるらしい。なんか解説のジャンさんが鼻血噴き出してるけど無視するか。
「のう、主殿。せっかくだからここでもとの姿になってもいいかの?せっかく初めて主殿と戦えるのだからインパクトが強いほうがいいかと思うてな」
「あー、じゃあ別にいいぞ」
「わかったのじゃ!『人化』解除!!」
アルテミスの体が輝き、光が収まってみるとそこには巨大なドラゴンの姿があった。
『な、なんと―――!ゼロさんの従魔の美人さんの正体は巨大なドラゴンだった――!!いったい何のドラゴンでしょうか!?』
『ええとですね、わたくしがしるかぎり「エンシェントドラゴン」でしたね。この姿を見るのは2回目ですが、それで『ちょっとまって!!今なんか2回目とかきこえたんだけど!?』ですねー』
『無視しないで!!2回目ということはあのドラゴンを彼が従魔にした瞬間を見たってことよね!?』
『あー、今は試合開始前なのでそのコメントはまたあとで』
『試合でうやむやにするつもりではないですよね?』
『・・・』
『今の無言は絶対そのつもりだったでしょーーーー!!』
ちなみにこの忍者キャラ、実はこの後の話にも出す予定です。
気が付く方もいると思いますが、たまに出る「ござる」の語尾を持つ人の関係者でもあります