『アルテミスの提案』
なんか難しい話しになってきたな
「ようは、主殿がどの国にも所属しなければいいんですよね」
「まあ、確かにそういうことだな」
「じゃあ、簡単な方法があるじゃないですか」
「「「え?」」」
そんな簡単な方法があるのか?アルテミスのことだから国を全て滅ぼすとかじゃないよな。
「主殿自身が一国と同じになればいいんですよ。そうすれば一応どの国にも所属しませんし、それに攻められたくないなら不可侵条約みたいなのを結べばいいんですよ」
その発言にその場にいた俺たちは固まった。今のは人が1人だけ、それ自体が国であればいいということなのだ。そんな話聞いたこともない。
「何かおかしいでしょうか?過去にそれ自身が一国と同等だった者がいたと思いますが」
「た、確かにその方法があった!」
その言葉に反応したのはモッセマンさんだった。
「そういえばかなり大昔だが、ある人がそれ自身が国として認められた事例がある。その人は人間でもモンスターでもない全く別次元の生き物だったらしいが、ゼロ君も今はかなりの実力をもつ従魔がいてそれにあてはめることができるかもしれない!」
「え、ちょっと待ってください。人間でもモンスターでもないってなんですか?」
「エルフやドワーフなんかとも違う全く別の魔人とか言われ、それが過去に国として認められたとされているんだよ。現在でもいまだに国として認められているが、もっぱら消息不明らしいがね」
モッセマンさん、あんたただの学者バカじゃなかったんだな。しかし、そんな簡単に認められるだろうか。
「少なくともあと6年、主殿が17歳にならねば無理でしょう。確か、建国するにはその年齢でないと世界規則であったはずです」
アルテミスとモッセマンさんの説明によると、昔勝手に独立、建国する人が多かったらしい。で、あまりにも多すぎたので世界中の主要大国が決めた世界規則がつくられ、それによると条件は、
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1.大国とも渡り合える度胸があること
2.大国とも闘える戦力があること
3.自国民が自分1人、もしくは複数いること
4.魔法として『国際共通通信』が使えること
5.死んでるアンデッドやリッチではなく、ちゃんと生きている者であること
6.17歳以上の年齢であること
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の6大条件があるという。
・・・なんかさ、1や2はわかる。だけどさ、5のやつ何⁉︎なんか死人が建国しようとしたのか⁉︎元気すぎるだろその人⁉︎
とりあえず、今俺が当てはまっているのは1、2、3、5。だからあとは4と6が当てはまれば条件として十分になるらしい。
「主殿は権力なんて求めていないことはわかっております。ですが、このように主殿自身が一国として認められればこんな国同士の争いごとに巻きこまれることが減ります」
「なるほど、それならば我々も利益としてゼロと無駄な争いを避けられる。さすがエンシェントドラゴンのアルテミス殿だ。人間よりも知恵が回っておられる」
というか、さっきから俺が一国と同じになる前提で話していないか?なんか国王様も俺も空気と化しているんだけど・・・。
「では、ゼロ君。きみはどうしたいかな?」
早めにこの話区切って新しい章へ移らせたい