『ワポーンに寄り道1』
ちょっと寄り道・・・・
と言うか、この国を経由して向かうからな・・・。
飛行魔法を駆使して3日。
ワポーンに着いたので、ここから北に一直線に向かうのだが・・・・。
まあ、ちょっと寄り道と言うことで一泊ほど、ここに泊まることにした。
デジィマと言うところで手続きして一日入国を認められているので密入国ではない。三人組は密入国をしていたようであるが・・・。
「それにしても、まるで江戸時代の日本みたいな感じだな・・・・」
和服、ちょんまげ、侍、など結構昔の江戸時代みたいな街並みである。
ただ、ところどころ馬車が行き来していたりなどちょっと中途半端な感じがした。
「服装は着物にしたが・・・・」
ちょっと目立ちたくないのでこの国では和服に着替えたのだが・・・・。
「ライアが怖ろしくなじんで見えるな」
ライアの人化時の姿は女剣士。侍に似た格好であり、違和感がこの国ではほとんどない。
と言うか、完全に溶け込んでいるなぁ・・・。
「違和感がないですよね」
「我も着物じゃが、ちと負けたような気がするのぅ」
ハクロたちも着物に着替えたが、なんか芸者みたいな感じである。
せっかくなので、こういったところと言えば団子とかないかなと思ったら茶屋を発見。
ワポ菓子とかいう和菓子に似たものを食べ、その味を楽しむのであった。
「にしても、この国でもモンスターが出るのは違和感しかないな」
これ日本だったら妖怪とか言いそうなものだが・・・・江戸時代みたいな風景でスライムとか出たら違和感しかないな。
「三大伝説モンスターと言うのはあるようだね」
ファウストが団子を食いながら話す。一応王国に戻ったらこいつらには無料永久奉仕という罰が待っているから今はまだいいようにしてはいるが・・・・。まあ、気になるから聞くか。
「三大伝説モンスター?」
「ああ、この国では大昔にそういったモンスターが出たという記録があるみたいだ。『黒翼ハーピー』、『傾国の妖狐』、『ヤマタノオロチ』と言うね。この三大伝説モンスターがそれぞれ出現時期は違えど、このワポーンを混乱の渦中に陥れたようだ」
ヤマタノオロチは絶対に日本の怪物だろ。この世界でもそういうのがあるのかよ。
「まあ、傾国の妖狐は狐の獣人らしいけどね。だからモンスターではない」
「モンスター扱いって・・・」
だが、そんな伝説があってもこの国では狐の獣人が差別されることはない。むしろ歓迎らしい。
そういうのって世界が変わっても似た場所なら似たようなことになるんだな・・・・。
「黒翼ハーピーはおそらくハーピーの希少種か上位種。そこまではわかるんだが、ヤマタノオロチというモンスターに関しては記録が少ないからなんのモンスターかは不明なんだよね・・・」
「一説によると、海上に浮上して見えたクラーケンあたりの足とも言われているようですが・・・」
「頭から火を吐き、毒を吐き、溶解液を吐いたってあるからYO、それではないとも言われているYO!」
世界には不思議なモンスターがいるんだな・・・・・。と言うか、ヤマタノオロチって日本神話では8つの頭と尾の怪物だよな・・・・三種類のその攻撃ってどう分けていたんだろう・・・・?
「どういう見た目かはわからないのか?」
「8つの頭と尾の巨大な蛇の怪物らしくて、記録だと退治されたことはないけど追い払ったというのはあるみたいでね、お酒が苦手らしくて、それで今でも寄り付かないようにと酒屋をワポーンの各町に1店は設置されているんだよね」
酒が苦手なヤマタノオロチって・・・・・・。
ツッコミどころがいろいろある感じの三大伝説モンスターであった。まあ、かなり大昔のようだし今は会うことはないだろうってことのようだけどな。
一応魔王の記憶を覗いてみたけど、こんなモンスターは魔王の従魔にはいなかったようである。安心したような残念なような。
なお、それぞれの引き起こした混乱は以下のようである。
・ヤマタノオロチ・・・・いきなり上陸してあちこちの村や町を焼き払い、毒に沈め、溶かしつくした。だが、ある時酒屋に突っ込んだらしく、その時に酒が弱点と判明。酒責めで追い出した。
・傾国の妖狐・・・とんでもない美女の狐の獣人。九尾だったらしく、人々を惑わす摩訶不思議な術を使い、政治を腐敗させた。だが、ある時町を歩きながら人をたぶらかしていた時に、その美しさ故建物にも効いてしまったらしく、倒れ掛かってきてつぶされ死亡。
・黒翼のハーピー・・・ハーピーなのだが、ハーピなのに物凄く艶めかしい体つきをして、黒い翼をもった人と会話可能なモンスターだったらしい。夜な夜な一人で歩いていた男たちを攫い、3日後には必ず故郷に返してはいたが、誰もが干からびていたそうな。だが、ある時ある男性を攫おうとしたが、逆に襲われてショックを受けたらしくそのまま自らの舌をかみ切って死亡。その男性は連続婦女暴行を働いていたらしく、ハーピー退治したのは称賛されたが、ついでに御用となった。