『縛り上げ』
とにもかくにも、帰宅することにした。
ファウストたちは素早くハクロの糸で簀巻きにし、簡単に逃げられないようにスライムをまとわりつかせ、巨大な手型のゴーレムに握ってもらった。
そりゃもう隙間なく、なおかつエコノミー症候群にかからないように調整してギッチギチに。
この世界にエコノミー症候群があるかは知らないけど、正座で足がしびれてくるからあるだろう。
「ぶっちゃけ、このまま逃げられて俺が魔王とか言われても困るからな」
「僕らは魔王様の命令なら聞くけどね」
邪龍帝もとい、ルミアは俺たちについていくらしい。
「あの人ではないけど、あの人の魂と同じなら私もついて行きましょう」
ただ、従魔にはならないようである。従うのはあの貞操すら捧げた初代魔王その人のみで、俺と魂が同じとはいえど、一生喪女としてついてくるようである。
ちなみに、初代とか言っているが俺としてはまだ魔王となったつもりはないからな。
称号には魔王とついているが、正式に魔王になるには魔族の国へいって叙任式とかうけないといけないようだし、たんなる肩書きみたいな扱いである。
しかし、ややこしいから初代と言って区別しているのだよ。
「なんでこんなことになっているのかなぁ」
思い返せば、俺が魔王になるフラグは最初からあったような気がした。
生まれる前にチートじみたものはいらんと言ったのに、「適当」やら「精霊王の加護」やらつけられるし。
そのあと調べなおしたら魔力がアホいことになっていたし。
ハクロたちのような無茶苦茶な従魔がついたし。
適当に生きたいただの魔物使いとして過ごしたかったのに、黒魔石騒動あるわ、最終的には魔王の衣がついて肩書きに近いけど魔王になるわ。
・・・これも運命か。
だが、悪いことばかりではないのは確かである。
こういう運命でなければ、今この傍にはハクロたちがいないしな。
俺は若干遠い目をしながら思うのであった。
この際、魔王に本当になってやろうかな?
あ、でもその前に国王たちに相談するか。魔王になったら国での付き合いになる可能性があるし、今の冒険者登録がどうなるか気になるからな。
もう少し話があって、閑話挟んで、新章いくよ。
まだまだゼロの話は続く
タイトル詐欺になってきたような気がしてならない。
なんか、ごめんなさい・・・m(__)m




