『クーデターの後始末』
今回、後味がいつもより悪いな・・・。
数時間後、すべてのゴーレムの破壊を完了した。
武装されていたとはいえ、そこまで苦戦するほどでもなかった。
カトレア製作の7つ道具1つしか使わなかったな・・・。
ハクロたちの方でも楽に殲滅したようである。途中でハクロが糸でス〇イダーマンのように移動しながら次々とやっつけていくさまが見えたが・・・・・なんどちらかというと〇体機動装置みたいだったな。後で俺を持ってもらって体験してみようかな・・・ものすごく楽しそう。
アルテミスも手甲をふるっていたが、その横で第1王子たちの従魔が応援していた。お前らも手伝えよ。
カトレアが担当していた場所では物凄い連続で爆発音が聞こえたが・・・・。壁や床のあちこちに穴やひび割れがあり、砕けたゴーレムが多くあり、その上にカトレアのゴーレムたちが何やら勝利のポーズをとっていた。
スラ太郎の担当場所では眷属のスライムたちがうごめいていてスライムの海みたいになっていた。ゴーレムをむしゃむしゃ捕食しているようで、たまに量産版黒魔石と思われる破片をぺっと吐いていた。取り込んで怪物化とかしたら危険だからな。
翌日、王宮のある一室にてデップリンと今回のゴーレムを作製したというやつが発見された。
しかし、デップリンの方はなにやら鋭い刃物で心臓が貫かれたらしくすでに息を引き取っていた。
ゴーレムを制作した人はマッデストという人物で間違いがなかったようだが、何やらすでにあきらめたような表情で気絶していたようである。
その後、今回のゴーレムに使用されていたのが量産黒魔石をさらに劣化したようなものであると判明し、マッデストの供述によるとこいつらで俺たちの体力を減らした後、SSGBGとかいうゴーレムたちを俺たちと戦わせ、そのすきにオリジナルの黒魔石で作ったゴーレムで素早く王族全員を殺す予定だったらしい。
だが、そこにあの三人組が現れて邪魔されてデップリンを殺害され、黒魔石も取られたらしい。
さらに、もう一人の協力者とか言っていたらしい。おそらく邪龍帝だと思われるが・・・。
なお、この自白のすぐ後に最終手段の自害として昔作っていたらしいゴーレムに自分の首を絞めさせてマッデストは自害した・・・・。どうやら、もはや気力すらなくなっていたらしい。
カトレアがその話を聞くと悲しんだ。同じゴーレム製作者としてはつかってほしくないゴーレムの使用方法だったようである。
「結局、なんか後味悪かったな・・・」
「いつもの黒魔石が原因なのはスカッと解決しますけど、今回は・・・」
「もやってするのぅ」
「モヤモヤー」
「ゴーレム製作者としては悲しい結末ですよ・・」
『いつものは知らないぜよが、まあ、拙者としてもなにかこう、消化不良な感じぜよ』
「お前は板だから食事をとらないだろうが・・・・」
『屋敷の時は食べてたんだぜよ!!』
何を?というか、屋敷が食べるって・・・・。
家に戻ってからも、皆今回の黒魔石が原因の事件はいまいちすっきりしないようであった。
「皆さま、お茶の時間デス」
「お、ありがとうワゼ」
とりあえず、今は難しいことを考えるのをやめるのであった。
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王都から離れた暗い洞窟のなかで・・・。
「そうか・・・・エネルギーが貯まったのか」
「これで魔王復活の準備ができますよ邪龍帝さん」
そこには、いつもの三人組と人化している邪龍帝と呼ばれる存在がいた。邪龍帝は8万年ほど前から龍帝たちから行方不明扱いを受けていたが・・・単に今まで各地を転々とし過ぎて誰にも見つけられていなかっただけである。
水不足の解消のために井戸を掘ったり、悪徳商人から闇属性の魔法でお仕置きして改心させたりなどしており、実は各地の伝承にある「謎の親切な人」というのは邪龍帝の事であった。
困っている人々を見たら何とかしてあげたいと思う、邪龍帝とかいう物騒な名前とはかけ離れた性格だったのである。ただ、今は魔王復活のために心を鬼にして黒魔石をこれまで作ってきたのであった。
「しかし・・・魔王復活と言っても復活するのは魔王様が着ていた衣みたいなものだろう?」
「そうなりますね。ただ、伝承通りなら魔王様がまとうその衣は、魔王様自身の存在を確立するための物」
「だけど、それだけだとすぐにその衣は消える可能性があるんだYO!」
「では、意味がないように思えるが・・・・昔聞いた説明通りなら大丈夫なのだろう?」
昔、邪龍帝はこの三人組に聞いたことがあったが、もう一度確かめようとしたのである。
「ええ、魔王様の存在は今はありません。ですが、魂としては残っていると言えます。長い年月をかけると、魂は変わっていきますが、その本質そのものは変わりませんよ」
「その本質というのが強いモンスターを引き寄せる、それも人型に近いものほど・・・」
「それが魔王様の魂の本質ですよ。まあ、なんていうか『モンスターホイホイ』ですね」
「「「その言い方はひどくないか!?」」」
全員で仮面の男にツッコミを入れた。
「さて、これであとは復活の儀式をするのですが・・・もう一つ大事な事がありました」
「なんだ・・・?」
「エネルギーが十分貯まったのはいいんですが、予定よりも早かったので・・・」
仮面の男が指さした先には、余った黒魔石の山が積まれていた。
「これ、どうしようか・・・・」
「リサイクルできる分を今回ので回収しましたし・・・」
「溶かして彫刻でも作るかYO?」
「いや、このままとっておこう。魔王復活がうまいこと行かなかったときの保険としておこう」
こうして、魔王復活のための最終準備が進められていったのであった。
「そういえば、王都で今回の第1王子たちの帰還を祝って『スライムクラブ』特別号が売られてましたが・・・読む人いますか?」
「「「はい」」」
閑話挟んで新章・・・・そういえば、量産黒魔石とかの破片どうしようか・・・・。




