閑話 ライアの従魔登録
王都に戻って報告などは今回は省略。
「すいません、新しく従魔登録をしたいのですが」
がたたっつ!!
その声が聞こえた瞬間、王都ギルド内にいた冒険者たち(主に男性)が一斉にその声の方向を見た。
その先にいたのは、この王都ギルドの常連冒険者でもある魔物使いのゼロとその従魔たちであった。
ゼロは『怪物殺し』の異名を持ち、その実力は知られてはいるがもう一つ有名なものがあった。
「おい、今の聞こえたか」
「ああ、新しい従魔だとよ」
「どうやら従魔用空間に入れているようだが・・・今度はどんな女だ?」
ゼロに聞こえないように見ながらもひそひそ話し合う冒険者たち(主に男性)。彼らが気になるのは新しい従魔という存在だった。
ゼロの従魔たちについても有名だったのである。
ゼロの従魔はモンスターとはいえ、その見た目は人に、それも美女ばかりである。
醜悪な姿を持つアラクネのはずなのに、その姿は白百合のようで清楚だが、胸が大きく、顔も美しいアラクネのハクロ。
老若男女問わず可愛がられる、ハクロの子供のような姿のスライムの最上位種であるスラ太郎。
博識なところや、その高身長なのにスタイルがよく、頼れる姉御として慕われるエンシェントドラゴンのアルテミス。
ゴーレムづくりやその他の特許も取得してはいるが、見た目が妖艶なダークエルフのような美女、ドリアードのカトレア。
今や王都どころか他の国でもその噂でもちきりの絶世の歌姫とも幻のモンスターともいわれる、セイレーンのリーゼ。
彼女たちのような従魔が加わっていく様子を昔からこのギルドにいた冒険者たちは見てきた。いつしか次に従魔に加わるのはどんな美女のようなモンスターだという賭け事までされているぐらいである。
なお、人の様な容姿をしたモンスターはほとんどの場合は従魔になることがない。というよりも、その数が少なくて出合いにくいというのが理由である。
本来はアラクネの場合は醜悪な姿。
スライムの場合は人の容姿に擬態する種類もいるがそちらは凶暴なものが多く、従魔にする前に捕食される可能性がある。
ドリアードの場合は近年では乱獲が禁止されている絶滅危惧種モンスターであり、その数自体がかなり少ない。
ドラゴンに至っては人化の術を使用して人に紛れて生活している者がいるらしいが、そもそも従魔になることがほとんどない。
セイレーンは幻とすら言われているレベルの遭遇率の低さがある。
・・・・これらを考えると、ハクロたちの様なのがゼロの従魔になっているのは奇跡に近いのであった。
というか、なぜか容姿が美しいモンスターばかりなのであるが・・・。
そのため、いつしか「ゼロが従魔にしているのは美女だけである」みたいな決めつけが浸透しているのであった。
恋人とかいない冒険者たちには密かに「天然ジゴロ」「女誑し」「魔性の男」などとまで言われているようである。
そんな中、久々にゼロが新しく従魔登録をするという声が聞こえた。
そのため、今度はどんな美女なんだと思う冒険者たち(主に男性)が聞き耳を立て、横目で見ているのであった。
「これなんだが・・・来い、ライア」
そういい、出現したのは・・・・・・。
1枚の板だった。
「「「「「板かよ!?」」」」」
この瞬間、ギルドにいた冒険者たちと、他に見ていたギルド職員たち全員によるツッコミと心が一つになったのであった・・・・・。
この後、物凄いがっかりした冒険者たちの姿が王都中で見られたそうな・・・・。
次回から新章へいくぜよ!!