『ホークアイギルド』
朝から鼻炎がひどくて・・・・・。
翌日、屋敷がモンスター化していてその破片を従魔にしたという報告をするために、今いるホークアイという名の街のギルドに俺たちは向かった。
なお、屋敷は町はずれにあったせいか亡くなったことには誰も気が付いていなかったようである。
この町のギルドは王都などと違って、どうやら完全鉄製の豆腐建築のような形である。
ハクロたちは従魔用空間に入れて、ギルドに入った。今回はさっさと帰るつもりなので無駄に目立ちたくなかったからである。
ギルドに入ると、さすが獣人ばかりの国だけあって獣人たちが多くいた。中には人間やドワーフなどもいたが、あまりいないようである。
「すいません、ギルドマスターを呼べますか?」
受付のところへ行き、ここのギルドマスターに報告したいと伝えた。
「念のために、ギルドカードの提示をしてくださいませんか?」
受付嬢にギルドカードを見せる。ギルドマスターってメタドンさんのような人がいるから忘れがちだけど、本来は余り会える人じゃないからな・・・。
「Sランク冒険者魔物使いのゼロさんですね・・・・はい、少々お持ちください」
受付嬢は淡々と奥の方へ行った。
「Sランクって今聞こえたよな・・・」
「あれがか?人間のようだがいまいち強そうには見えないぞ」
「魔物使いと聞こえたが、おそらく従魔が強いのだろう」
ギルド内の他の冒険者たちの何人かはひそひそしゃべっているようだが、そのほかは興味なしのようである。まあ、魔物使いって聞こえたのが大きいんだろうな。
この国は良くても悪くても実力主義の国だ。焼肉暴食・・・・じゃなくて弱肉強食が超はっきりしているからな。力が強い奴が偉いみたいな風潮のようである。
その中でも、魔物使いは従魔に戦わせるだけの軟弱な職業だといわれているようだしな。ま、絡んでこないなら別にいいけどね。ある意味楽だな。
少し待つと、受付嬢が戻ってきた。
「ギルドマスターは直接来てほしいようです。案内しますのでついてきてください」
案内されてギルドの奥の方へ来た。ドアがあり、その上には「執務室ードアを破壊して入れ!!」という物騒な看板が立てられていた。
「・・・なにこれ?」
さすがにこんなのは見たことがない。
「すみません、ギルドマスターはある程度の実力がないと話に応じてくれないそうで、指名依頼を受け付けてきた人でもこれをしないと・・・」
要は、力を単純に示せというわけか。
「ドアを何でもいいから破壊しないと話に応じないという事か?」
「はい、一応、このドアは魔道具ですので壊れてもすぐに再生しますからそのあたりはどうぞ気兼ねなく」
魔道具の無駄遣いのような気が・・・・。
「魔法でも何でもいいのか?」
「ええ、ただし炎・雷系統はギルドに引火する可能性上がるので禁止ですが」
なるほどな・・。
「それじゃあ・・・・『エンチャント』」
ここは思いっきり力づくでいくか。身体強化の魔法で拳を強化して、思いっきりこぶしをドアにたたきつけた。
ごっつ!!!
ドアを殴るとあっけなくドアが壊れた、というよりも吹き飛びました。奥の方へ吹っ飛びばしぃぃぃぃぃん!!という音が聞こえた。
「・・・あれ?」
ちょっと予想外。ドアが前にバタンと倒れるぐらいだと思っていたのだが・・・。
まあ、そんなことはいいとしてだ、部屋の奥の方で二つの眼が光った。
「へー・・・ドアを吹っ飛ばすとはやるじゃない」
そこにいたのは、銀髪金眼の狐の獣人の女性だった。この人がここのギルドマスターか?
この場合、なんか獲物としてロックオンされているような・・・・。




