『・・・はい?』
ギルド間の連絡も日々進化しています
「・・・はい?」
「わからなかったのか?」
「いやもう一度」
ギルドマスターのメタドンさんに呼ばれ、ある事を聞いたのだが一瞬理解できなかった。
「大量の黒魔石が発見されたらしい。」
「え、本当ですか?」
「ああ、見つかったのは『獣人国家アンケロス』の南部にある町、『ホークアイ』にある廃屋にだ」
え?そんなに大量の黒魔石があったの?
『獣人国家アンケロス』はこのグライトス王国がある大陸とは別の大陸にある国だ。
連絡はどうやらギルド間で通信可能な魔道具で来たらしい。
「報告によるとな、数日前に急にその町の廃墟と化していた屋敷から悲鳴が上がったらしい。付近の住民が入るとものすごい血生臭いにおいが立ち込め、その奥の方にひび割れていた黒い石が大量に見つかったそうだ」
「それが黒魔石だと?それだけじゃ判断できないのでは・・・?」
「ああ、そのひびからどくどくとまるで意志を持っているかのように黒い霧が流れ出し、そのまま地面にしみこんでいったらしい。その特徴は黒魔石が持ち主を怪物化させる霧を出すのと同じじゃないか?お前さんの報告書にあったのと一致しているぞ」
あー、そういや黒魔石の特徴とか細かくギルドに報告していたな。
「って、地面にしみこんでいった?」
「ああ、まるで水が吸収されるかのようにな。そのあと黒魔石は砕けて消えたそうだ。そのことがその町にあったギルドに報告され、その写真が送られてきたわけだ」
そういってメタドンさんが見せてきた写真は、黒魔石が見つかったという屋敷の写真だった。
「ぼろぼろだな・・・・」
元は結構立派な屋敷だったようだが・・・・外壁がひび割れ、つるなんかに巻き付かれて廃墟みたいだな。
「なんでも、数十年前まではここは普通に人がいた屋敷だったそうだ。だがある時、ここに住んでいた主人がいきなり狂ったらしくてな、屋敷にいた人たちを首をかみ切って殺したらしい」
「包丁で刺すとかじゃなくて?」
「なんでも、その主人は奴隷を買っては殺すということを日常的に隠れてやっていたらしくてな、その奴隷の怨念が主人を狂わした・・・という事らしい」
うわ・・・・同情の余地ないじゃん。
「その後、主人自身も自らの頸動脈を爪で引きずり出して噛んで死んだそうだ。それ以来誰も近寄らない廃墟となったようだ・・・」
軽く怪談話だな・・・・。
「取り壊しなどはしなかったのですか?」
「しようとしたらしい。だが、壊そうとするたびに担当する人が何かしらの事故に巻き込まれてな・・・。できなかったようだ」
そういったことってあるんだなー。まあ、人が来なかったからその場所で黒魔石を保管しようとした人がいたのかな?
「でだ、お前さんの報告だと黒魔石はダンジョン化させる影響を持つらしいな」
「ええ、そのようです・・・まさか」
「ああ、ギルドからの指名依頼はな、この黒魔石があった場所へ行って調査、ダンジョンが形成されていたらそのダンジョンの破壊をしてほしいという物だ」
うーん、大量の黒魔石で形成されたダンジョンがあったとしたらそれはそれで危険性があるしな・・・・行きたくはないけど、黒魔石に関して他にわかることがあるかもしれないし・・・。
「わかりました。その依頼受けます」
大陸わたる必要があるけどな。船は無理だからアルテミスに乗っていくか・・・・。
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「黒魔石をあのままにしておいてよかったのでしょうか?」
「うーん、あのままにしておいたから共鳴反応で砕けているかもね」
「まあ、失敗作の中でも際立った不良品だったから別にいいんじゃないかYO」
船着き場にて、そのように話す三人組の姿があったという・・・・・。
この世界・・・確実に地球よりも広そう。