『面倒ごとの予感』
新章いくよー
夏祭りが過ぎ、秋が到来した。
「あー、夏が恋しくなるな・・・」
「夏祭りって一番楽しいイベントですもんね」
今年も去年同様に他の国からの出店希望があり、大いににぎわった。
ワゼは去年かき氷店を出店したが、今年はさらにシロップの種類を増やして出店していた。
カトレアが慰安旅行の時に持ちかえって来た南国の果物を栽培して、それをシロップにしたようである。
これが去年に引き続き大盛況!あまりに人気過ぎて氷を魔法で追加しなければいけない羽目になった。
何やかんやとあったものの、楽しい夏であった。
今の季節は秋になってしまっているが。
「夏にワゼの屋台で稼いだからな・・・・秋のうちに冬に備えて稼ぐ予定だったが、十分大丈夫だな」
となると、あまり依頼を受ける必要がなくなるのだが・・・・まあ、冒険者としてやっぱ受けたくなるんだよね。
ギルドに向かい、今日も依頼を探す。
依頼の数がこの時期になるとかなり増える。この時期限定のおいしいモンスターがいるため、料理店などが求めてだすのだ。
「『クックドゥン×30体生け捕り』、『パンプキング、もしくはパンプーキの確保×20体』、『ポテェドン×15体捕獲』・・・・」
食べ物に関するモンスターばかりだな・・・・。
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「クックドゥン」
丸々太った鳥型モンスター。秋ごろに見られるようになり、そのお肉はとてもジューシー。しかし、好戦的でそのくちばしと爪は超固く、見た目とは裏腹にとても強い。ランクはB。
「パンプーキ」
ゴースト系モンスター。かぼちゃの頭に、スケルトンの身体のモンスター。秋の新月の夜限定で出現し、道行く人々を襲う。体がスケルトンと同じため、魔石のある部分を撃ち抜けば簡単に倒せる。そのかぼちゃの頭はとてもおいしいスープを作れる。ランクはD。
「パンプキング」
パンプーキの進化したモンスター。かぼちゃの頭が3つとなりより濃い味へ変化する、スケルトンの身体が消滅して空中を浮遊して人々を襲う。炎の魔法を使うようになり、危険性が一気に増す。ランクはB。
「ポテェドン」
地球でよく聞く海の神「ポセイドン」の名前に似ているが、見た目が巨大な芋そのモノの無関係のモンスター。体全体が香ばしい香りを放ち、その香りに引き寄せられた獲物を押しつぶして仕留める。基本的に匂いにつられさえしなければとても倒しやすいモンスター。ランクはD。
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「・・・・食べ物に関するモンスターが多いよな」
この時期、なぜか本当に食べ物に関したモンスターが多い。一説によると、冬に行き倒れた人が秋に食べられなかったものを想像し、その思いがいつしかモンスターになったらしい。そのため秋にそう言ったおいしい食べ物が多いからこのようなモンスターばかり増えるのだとか。
「おーい、ゼロ、お前に指名依頼があるんだが」
「ん?」
後ろを振り向くと、ここのギルドマスターのメタドンさんがいた。その手に何かポスターの様なものを持っているようだけど・・・・いやな予感しかしない。
まあ、ギルドマスターに逆らうつもりはないので聞いてみることにした。
ギルドマスターからの指名依頼=面倒ごと




