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『酒ダンジョン』

酒蔵だけに

「酒くさっ!?」


 酒蔵にできていたダンジョンに入り込んで30分。このダンジョンはどうやら小さいようでモンスターにも会わずすぐに2階層にはいれたのだが、2階層に入った瞬間物凄いお酒の匂いがした。


 そのためすぐに上の階に俺たちは慌てて戻った。さすがにあの匂いはきつい。この階層の境目で丁度、酒の匂いがしなくなった。どうやら上の方には上ってこないようだ。


「みんな大丈夫か?」

「ブジダヨー」

「〇」

「だ、大丈夫じゃないです・・・・」

「きついのぅ・・・」

「・・・・」


 見て見ると、スラ太郎とリーゼは無事のようであるが、ハクロ、アルテミス、カトレアが真っ赤になって倒れ込んでいた。


 どうやら上の階に戻るまでは何とか無事だったようだが、ここでダウンしたようである。


「鑑定」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「超・酔状態」

普通の酔状態を上回る状態異常。つまりは酔っぱらってしまい、まともに動けなくなってしまう。アルコールの濃度が高く、魔力を含んだ酒から発生する「魔酒霧」の臭いによって引き起こされる。人であろうと、人でなくても酔っ払ってしまう恐ろしい状態異常。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺が無事なのはどうやら酒に元から強いようである。初めて知った。パッチテストとかがないからな。


 スラ太郎はスライムのためかあまり変わらず、リーゼは状態異常無効かできるため無事だった。


 だが、この残りの3人はどうやら俺よりも酒に弱かったようである。そういえば、今まで酒飲んだことなかったような・・・・。


 しかし、あの階層をいかなければ次には進めない。


「というか、何であんな酒臭くなっているんだよ・・・・」


 鑑定の結果から魔酒霧が発生しているようだが、なぜに酒が・・・・。


「お、おそらくじゃが・・・ここが酒蔵なので、ダンジョンがその酒をまねて作ったのではないのかと・・・」


 アルテミスがスラ太郎から酔い覚ましの薬をもらいながらその疑問に答えた。


 ダンジョン自体にも意志があるという説がある。その意思がこの酒を生み出そうと思ってあんなのを作ったのではないかというようである。


 スラ太郎の酔い覚ましを飲んで、ハクロたちも復活したようだ。


「あー、ものすごく頭がガンガンします・・・・」

「木の根から吸収してしまったようでまだしみついている感じ・・・


 酔い覚ましとはいえ、アルコールを分解しきれないようである。


「こんな酒臭いダンジョンが王都中でくしゃみが流行る原因となるのか?」


 酒なら酔っ払う人が出そうなものだが・・・・。


「いや、わからぬぞ主殿。ダンジョンは道の世界のようなものじゃからなにがあるかわからぬ」

「だけど、これ以上進めないよな・・・」


 あの酒臭い中を通るのはきついし、ここでゴーレム(ゲッ〇ー2)手段もあったが下手にお酒のところをぶち抜いて酒がしみてきたらいやだ。3の状態なら防水してはいるが、臭いに関してはできていなかったような・・・。


「私たちも二日酔いのようで頭痛が・・・」


 ハクロガ青い顔をしながら言う。モンスターでも二日酔いってあるだなと思い苦笑いをしたときにだった。

 

 ふと気が付く。モンスター?


「そういえば、あの獣人の人の話だと酒蔵の中にゴブリンがいて、ここから出たっていうじゃん。その割にはモンスターにさっきから出会っていないんだけど・・・・」


 いままで行ったことのあるダンジョンなら低ランクでも襲ってくるモンスターがいたのに少し変だな・・・・・。


「そう言われると・・・確かに変ですよね。最底辺のGランクモンスターすら見かけませんし、あまりにも出会わなさすぎます」

「2階層の酒にやられたとか?」

「いや、自身を生み出したダンジョンにやられるモンスターってどうなんじゃよ・・・」

「もしかすると、そのゴブリンたちはたまたまそこにいただけでダンジョンから出てきていないモンスターとかだったとかではないでしょうか?」

「それはそれで大変なことだと思うんだが・・・・ん?」


 ちょっと今の言葉に何か違和感を感じた。


「もしかして、俺たちは勘違いしていないか?」

「ん?どういう事なんですか?」

「ダンジョンについてだよ。ここはもしかして1階層じゃなくて2階層なんじゃ?」

「どういう事じゃ?」


 そもそも、このダンジョンの入り口に鑑定した時はダンジョンであると出た。だが、「入口」とは断定していない。


「もしかしたら、あの入り口は次の階層に行くためのダンジョンの階段で、酒蔵(、、)自体がダンジョンの一部だったんじゃ?」

「・・・・確かにあり得ますよね」

「ダンジョンの1階層にあたるならば、モンスターが湧いても不思議ではないのぅ」

「しかし、元からあるものがダンジョンになるなんてことは・・・・」

「あるよな。ほら、以前あっただろ。『洞窟がダンジョン化しかけていた』ということが」

「「「「!!」」」」

「?」


 リーゼ以外みんなどうやら思い出したようである。というか、リーゼはまだ従魔になっていなかったときか。


以前、ガロン領の「怪人」についての調査をした時だ。あの時にいろいろあって、その時調べたある洞窟がダンジョン化しかけていたという話があったのだ。


『おそらくじゃが、あの黒魔石の影響が洞窟にもあったのかもしれん。あのモンスターは元はただの箱じゃったようだしな。この洞窟自体がモンスター・・・そうじゃのダンジョンみたいなものになりかけていたのかもしれん』


 あの時のアルテミスの話を思い出す。そして、その原因となった物も。


「黒魔石が原因じゃと?」

「多分そうだろうな」


 以前、王都でハグエェというもはや顔を忘れたやつがいた。そいつが黒魔石で事件を起こした時があったが・・・・。


「その前にもさ、黒魔石が関係した事件があったじゃん」


 モンスターの魔力が抜かれていた事件、バカ坊っちゃんが使用した決闘での出来事。


 これらはほとんどが王都周辺で起きている。


「あの黒魔石に関係している3人組がいただろ?あいつあの時からこの王都で黒魔石の研究とかをしていたのかもしれない。今はこの王都でそのような話を聞かないからここにはいないんだろうけど、その時の影響が今頃になって出てきたとかないかな・・・?」


 黒魔石はおそらく放置しておけば、もしくは手元に持っておけばモンスター化・ダンジョン化などの影響を与える。


 アルテミスの空間収納に入っているものは、その空間自体に影響を与えることはできないだろうが、普通の箱などに入れておくとモンスター化する可能性がある。


 あの三人組は長いこと黒魔石を使用して騒動を引き起こしてきた感じだった。もしかしたら記録にないだけでこの王都で黒魔石が使用されたことがもっとあったかもしれない。


 その積み重ねにより、この王都の土地が黒魔石の影響を蓄積してきたとしたら・・・・。


「可能性はありますよね」

「筋が通っておるのじゃが・・・・なぜにこの酒蔵で」

「多分、それは偶然だと思う。でも、もしかしたらこれから先王都でダンジョンもしくはモンスターが出現する可能性はあると思う」


 結構な大ごとになりそうな感じだな・・・・。あの3人組、次会ったらこの面倒ごとの責任を取ってもらうために殴るか。


「とにもかくにも、黒魔石が影響を与えてできたダンジョンだとすると・・・さっさとダンジョンコアを破壊して消滅させないと危険そうだ」

「ダンジョンな時点で危険な存在なんですけどね」


 ハクロのそのツッコミは適格だと思ってしまった。


 しかし・・・この先どうやって進もうか?


ゴーレム(ゲ〇ター2,3)は使用ができない。ここが酒ばかりのダンジョンならば防水以外にも防臭が必要だし・・・。このまま進むとまた酔っぱらう。


「ご主人・・・この際あれを使用するのはいかがでしょうか?」

「あれ?」

「ワゼです。彼女は魔道具、つまりアルコールの類は効かないはずです。それに、戦闘に関しても万能と言っていましたし」


 ・・・・そういやそうだった。普段メイドの仕事しかしていない子だったから、そっち方面でも大丈夫なのをすっかり忘れていたよ。って、「あれ」扱いはないよな・・・。






何気に結構やばい可能性が出てきたな・・・・。

というか、主人公たちよ、くしゃみがでる原因がこのダンジョンかどうかの調査を忘れていませんか?

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