『ギガントスライム・・・・あれ?』
サイズとしては大体普通の民家サイズ。圧縮してそれ。
俺たちは討伐依頼対象「ギガントスライム」がいるという森に入ったが・・・・・。
「・・・いないな」
「大きいからすぐ見つかるはずじゃと思ったがなのぉ」
すでに捜索開始からかなりの時間がたち、現在昼過ぎごろになっていた。
「ギガントスライムって大きいんだよな?スライムの集合体みたいなものだし」
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「ギガントスライム」
スライムの中で100体以上のスライムが合体し新たに生まれたモンスター。どこぞやのキングスライムのような王冠はかぶってなく、口も目もないただののっぺらぼうのような巨大なスライムである。しかし、その巨体を生かして動物などを取り込んで消化し、己の栄養源とする。好物は人の衣服らしく、人そのものを溶かすことができるが、真っ先に服から溶かすので急いで救出すれば服が溶けるだけの被害に収まる。
動きは巨体の割には素早く、押しつぶしたり、飲み込んだりする戦い方をする。ランクはB。
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巨体って言うし、かなり大きいだろうから簡単に見つかるものかと。
「もしかしてかもしれませんけど、分裂して小さくなっている・・・なんて可能性がないですかね?」
ハクロのその意見はあっているような気がした。
スライムの基本として、「分裂」という物がある。これはスキルとかではなく、スライムそのものがもつ種族全体が持つ特性のようなものだ。
分裂して数を増やしたり、その分裂した片方をおとりにして逃げたり、経験を片方にためさせて合体した時に大幅なパワーアップをさせたりと多種多様な使用方法があるらしい。
昔、カトレアが従魔に加わる前は、スラ太郎に分裂させて魔物使いが冒険者として認められる4体の従魔の数合わせにしていたもんな。
「その可能性はあるのぉ・・・元は100体以上のスライムからなるギガントスライムじゃ、分裂して細かくなった方が動きやすいとかもあるかもしれん」
「細かくなっていたらどうすりゃいいんだろ・・・?」
さすがに小さくなっていたら見つけにくいだろ。
「あ、そうだ。スラ太郎、お前の眷属たちに探させることができないか?」
スラ太郎の眷属なら大勢いるからな。人海戦術・・・・いや、スラ海戦術が使えるだろう。
「デキルヨー。ミンナテツダッテー!」
そうスラ太郎が言い手を前の方にかざすと、とたんに物凄い量のスライムたちがスラ太郎の前方に現れ森中に散っていった。
「・・・・すごいな今の光景」
一瞬の出来事だった。蜘蛛の子を散らすような速さだったな・・・・。蜘蛛じゃなくてスライムだけど。
とにもかくにも、スラ太郎の眷属たちが見つけてくるまで俺たちはいったん森の中で休憩することにしたのであった。
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そのころ、王都で・・・・・。
「それにしても、夏がせまってきたねぇ」
「今年の夏祭りは去年と同じ規模になるんだってよ」
「楽しみだな!とくに姉御のおおぐ・・・ぶえっくしょん!!」
「おいおい、きたね・・ふぁっくしょん!」
「どうしたんだよお前ら・・へくち!」
「「・・・・今のくしゃみ」」
「聞かなかったことにしろ!!」
道端を歩いていたただのおっさんたち。だが、この日王都では妙にくしゃみをする人が多かった・・・・。
花粉症とかはこの世界にはないよ・・・いいなそれ。