閑話 スライムコンテスト
ふと思った。こんなのがあっても面白そうだなと。
8/17 No.修正いたしました。
『月間スライムクラブ特報!!』
我が「スライムクラブ」はついに合計発行部数が10億冊以上となりました。それを記念しまして、今度「スライムコンテスト」を開催することに決定いたしました。詳しい日時は・・・
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「へぇ、スライムコンテストなんてものを開催するのか」
「ミスコンテストみたいなものですかね?」
俺は家にて、王都の本屋で購入した月間スライムクラブを読んでいた。ちなみに、ミスコンは王都にもあったが、「モンスターは参加できない」というルールなので、ハクロたちが参加できなかったせいか観客数が過去最低になったため、今では開催されていない。今度モンスターの中で人型の従魔を持っている魔物使い限定のコンテストをするようだがな。
発行部数が10億冊以上か・・・ものすごい量だな。それを記念してスライムコンテストを開催するのはいいけど、よくそこまで売れたな。
「スライムコンテストの日時は・・・1週間後ですね」
エントリーできるのは、スライムを従魔にしている魔物使いだけのようである。他の国などの参加者は特別に移動時間を配慮して、移動費を代わりに支払うらしい。スライムクラブはもはや恐ろしいほどの利益を出しているようだからな。
「コンテストと言っても、何を基準にするんだ?」
スライムって結構多種多様だよな。
「スライムの見た目、能力、その他もろもろを基準に判断するようですね」
「様々なものがいるからのぉ・・」
「ワタシ、シンサインダヨー」
スラ太郎が審査員の一人らしい。他に審査するのはモッセマンさん、他にスライムについて研究しているモンスター学者数名だそうだ。
まあ、スラ太郎は大量に眷属を持っているからそうなるか。しかし、なかなか面白そうなコンテストだな・・・。
1週間後。
スライムコンテストが開催された。世界各国の様々なスライムを従魔に従えた魔物使いたちが参加している。参加者数は100人を超えているらしい。
『それでスライムクラブ主催のスライムコンテスト開催です!!』
司会はモッセマンさんではなく、ギルドの受付嬢の一人のようである。今期のスライムコンテストの審査員はモッセマンさんが入っているから司会になれなかったそうな。
審査員席にはちょっと残念そうな顔をしたモッセマンさんや、スラ太郎、その他3人の審査員が座っていた。
『エントリーNo.1!アスタさんです!』
出てきたのはヒョロヒョロな体をした男性だった。なお、スライムたちは従魔用空間に入れられており、こうしてステージに立つまでは秘密にされているのだ。そして、アピールしたりして各審査員の点数を加算し、最終的に上位3体が表彰されるようである。
「出てこい!ガンタス!!」
アスタという魔物使いが叫ぶと、ステージに何やらムキムキな腕を生やしたスライムが出現した。
・・・正直言って気持ち悪いな。
『マッスル―スライムですか・・・これはまた珍しいモンスターですね』
『ムッキムキー』
『肌の艶からしてよく鍛えられておるようだな』
『てらてらですねぇ』
『おーっと、いきなり審査員たちには好評なようだー!!』
え、好評なの?
コンテストの観客たちもわーっと騒いでいて、盛り上がっているようである。スライム道奥が深いな・・・。
点数は87点と結構高い。1人20点の配点だからな。
『続きましてはエントリーNo.2!!ナマコさんです!!』
出てきた人はどうやら鼠の獣人のようである。
『出てこい!キャム!!』
出現したのは猫のようだが、よく見ると全身がてかてかして透き通ったスライムだった。
え、鼠なのに猫みたいなスライムを従魔にしているの?
「ほんぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
『ナマコさんが頭から飲み込まれたぁ!?』
案の定、ナマコさんとやらはそのスライムに頭を飲み込まれるというハプニングが起きた。
だが、本人は「これは甘噛みです!!」と言い張った。頭から血がだくだく出ているぞ・・・・。飲み込んでいたから噛まれたわけでもないし、スライムって歯がないと思うが・・・・消化された?
そのあとに出てきたスライムは、「サンドゴーレムスライム」、「カニスライム」、「マグマスライム(希少種の青色)」、「コングスライム」、「スライムドラゴン」など様々なスライムたちばかりであった。個性的なのが多いな・・・・。
「フレイムコールドスライム」なんて体の中で火が燃えているのに、外側は氷の身体という不思議なスライムだったな。「スライムレンジャー」とかいう5体で一つの戦隊みたいなものもあった。
しかし、スラ太郎みたいに人型になるスライムってなかなかいないな・・・・。
それからあれよあれよと進み、上位3体の発表となった。
『それでは、第3位から発表していきます!!エントリーNo.45!コマさんの「マジックスライム」のココちゃんです!!』
出てきたのはシルクハットをかぶり、ステッキを体に刺しているスライムだった。マジックを披露し、結構賢い感じだったな。
『第2位!エントリーNo.67!バンベールさんの「スライムヴァイオリン」のダイクくんです!!」
こちらは体の一部がヴァイオリンのようになっているスライムで、見事な演奏を披露していた。そういえば、スライムの雄雌の区別のために「ちゃん」「くん」とかつけているが・・・・わかりにくい。プロにしかわからないレベルだよな・・・。
『そして栄えある第1位は・・・・・』
ダラララララララララ!!
よくあるドラム音が流れる。
ダンッ!!
『エントリーNo.28!ボンブさんの「スーパースライム」のジャスティスくんです!!』
カッ!!といつの間にかスポットライトのようなもので照らされたのは、全身が物凄く濃い青色で、ところどころが少し赤く、背中に黄色のSの模様があるスライムだった。
こうして表彰式が行われ、賞金など様々なものが1位の人に渡され、スライムコンテストは終了したのであった・・・。
後日、スライムコンテストが思ったよりも反響が大きく、4年に一度開催される「スラリンピック」となったのはまた別の話・・・・・。
次回から新章です。
スライムって結構ネタがあるよな・・・・。