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閑話 龍帝会議

性格はみなバラバラ

 ゼロが氷龍帝のもとから王都に戻って数日後のことである。



「待たせました~」

「遅いぞ土龍帝」

「いや~、最近どうも眠くって」


 ゼロたちがいる世界のどこかの場所。そこに、各龍帝たちが集まっていた。


 炎龍帝、水龍帝、氷龍帝、木龍帝、雷龍帝、土龍帝、聖龍帝、の8体。邪龍帝は行方不明なため欠席。


 全員が円に並ぶようにしてその場に座っていた。


 そして、本来その円の中心には龍帝たちを束ねる神龍帝がいるはずだったのだが、今はいないので空席だった。


「では、今から第・・・・・・・何回でしたっけ?」

「その回数は別にいいだろ。いちいち数えることはないだろう」

「このやり取りもはや何回目?」

「その回数も忘れたでありますな」

「ごほん、では改めまして、龍帝会議を始めます」


 この中で最年長の聖龍帝が司会をして開始された。この龍帝会議、龍帝たちの気まぐれによってたまに開催され、たわいもないような話から重大な話まであるのだ。


「まず、今回の会議で最も最重要課題、『神龍帝』の候補者についてです」


 現在、神龍帝の座が空いている。龍帝たちを束ねる重要なポストだが、何せこの龍帝たちはまとまりがないので心労で前神龍帝が床に伏してしまったのだ。そのため、こうして新しい神龍帝を決める必要性があった。


 なお、各龍帝自身はその座につけない。龍帝の立場的にできないように何十万年もの前に取り決められたそうである。


「候補者がいない方は挙手をお願いいたします」


 その場で挙手したのは氷龍帝だけであった。


「おや、氷龍帝は候補者がいないのですか?」

「吾輩はある人間を候補者にしようとしたんだが、断られてな・・・」

「まじかよお前」


 その言葉に驚いたのは雷龍帝であった。


「お前確かさ、『候補者を断ったら既成事実を作っても候補者にするのだ!!』って意気込んでいなかったのかよ?」

「それがな・・・それしようとしたんだ。そしたらその者の従魔たちが・・・・」

「・・・すごいふるえてないか?」


 思い出したかのように氷龍帝はがくがくと震えだした。


「何があったのですか氷龍帝?」

「思い出すのも恐ろしいことだ・・・・まさか従魔が・・・」

「従魔ってことは、その候補者予定の人は魔物使いだったんでありますか?」

「というか、お前をそこまでおびえさせるってどんな従魔だったんだ?」


 木龍帝、雷龍帝が尋ねた。なおこの会議中、土龍帝は鼻提灯を出して寝ていたが、無視した。


「ああ、その候補予定の者の名前は聞いたことがあるだろう?魔物使い『怪物殺し』のゼロだ」

「おお、聞いたことがあるぜ」

「確か、彼の従魔は全員Sランク相当・・・そりゃぼこぼこにやられそうですよね」


 雷龍帝、水龍帝がそれぞれ反応した。


「しかも、その従魔たちはみんなメスでありますよね。そりゃその主人に既成事実を勝手に作ろうとしたら怒るでありますよ」

「女の恨みが怖ろしいのは種族を問わず共通だからな」


 木龍帝、炎龍帝も言った。


「つまり、氷龍帝は自ら墓穴を掘ったということで」

「「「「異議なし」」」」

「それ会議の内容と違いませんか!?」

「なんにせよ、候補者が居ないので罰ゲーム決定です」


 聖龍帝のその言葉にその場にいた龍帝たちの瞳が光った。


「激辛トモガの実を100000個食べきるとか?水抜きで」

「世界樹のコケをすべて食べきるというのも面白そうであります」

「いやいや、この際人化して裸で港町を走らせ」

「それ確実に捕まるよな。というか、そいつ人化時は人間の女の姿だからいろいろやばいだろ」

「ま、まってくれ!!それの代わりに情報があるから!!」

「情報ですか?」


 このままでは確実にまずいことをさせられかねんと思い、氷龍帝はある情報を持ち出した。


「そのゼロ殿と会話した時に、たまたま持っていたという黒魔石を嗅いでわかったけどさ、黒魔石から邪龍帝の気配を感じ取れたんだよ!!」

「行方不明のか?」

「黒魔石からでありますか?」


 黒魔石については全龍帝がその話を聞いたことがあった。だが、基本的に人間とは交わらないのでs子まで詳しくは調べてはいなかった。


「つまり、ここ数年の間にあった怪物たちが出た事件の元凶である黒魔石には邪龍帝がかかわっていると?」

「そうだと思いますが・・・」

「ちょっと信じがたいな」

「そうでありますな。あやつは心が優しくて、迷惑をかけるようなやつではないと知っているでありますからな」

「誤って燃やしちまった山の修復作業を手伝ってくれたしな」

「そもそもなんでそんなことするんですか・・・」


 疑問に思うところがあったが、ドラゴンの嗅覚は非常に優れており間違いではないと分かっていた。


「まあ、邪龍帝の足取りをつかめたのはいいことですね」

「でしょう?」

「では、罰ゲームは」

「「「「有で」」」」

「はあっ!?」

「だってね、完全にわかっていないですからね。結局は罰ゲーム執行ですよ」

「「「「そうだよ」」」」

「お前ら全員鬼か!!」

「「「「「ドラゴンですが」」」」」

「そういえばそうだったー!!」


 氷龍帝の罰ゲームはもはや決定事項であった。


「しかし、ゼロという魔物使いを候補者にしようとしていましたか・・・・ですが、結局無理ですよ」

「え?」

「彼は確か今Sランク相当のモンスターが5体いますよね」

「えっと、そうですが」

「よく考えてください。今まで魔物使いでSランクをそれだけ従魔にした人はいましたでしょうか?それに彼自身も魔力が非常に多い・・・・いや、多すぎます。そんな人物はこれまで歴史上に誰がいましたか?」

「・・・あ」

「そういやいたな」

「今はもういないんだっけ」

「一度お会いしたことがありましたが、良い人でありましたな」

「惜しい方だった・・・」


 その時、全龍帝の脳裏にはある人物があった。


「もしかして」

「その方の生まれ変わりかもしれませんね。まあ、いつかは彼自身もわかるでしょう」

「・・・そうですかね」

「で、罰ゲームは?」

「「「「96時間耐久不眠不休フルマラソン人化バージョンで」」」」

「いきなり決定!?」


 いきなりの罰ゲームの決定に、氷龍帝は叫んだのであった・・・・。



後日談

罰ゲームが執行され、「泣きながらあたりを凍らして走り去っていく身長が高い怪奇女」として噂が広まったのはまた別の話・・・・。

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