『猛吹雪』
やや短め?
「・・・これ以上先進めないよな」
「進めないと思うのじゃ」
俺たちは今困ったことになっていた。
目的地『スノウアイランド』へ向けてアルテミスに乗って飛んで三日目。スノウアイランドの名前からして島国だというのは思っていたが・・・・。
北方の海上にて立ち往生・・・もとい飛び往生していた。
スノウアイランド全体が猛吹雪にさらされているようである。
「・・・このまま入国したら吹雪に巻き込まれて飛行不可能じゃ」
「というか、ものすごく寒そうなんだが・・・」
近くにちょうどいい足場があったので、そこに降りてちょっと確かめることに。
「イケー!」
「ピキーーッツ!!」
スラ太郎の合図とともに、スラ太郎の眷属のマグマスライムがその吹雪の中に飛び込んだ。マグマスライムなら全身がマグマのように煮えたぎっているから吹雪の中でも大丈夫だろうと思い、ハクロの糸を括り付け、万が一に引っぱりだせるようにして調べさせようとした・・・・が。
「あ、速攻で固まった」
吹雪の中に飛び込んで数秒。あっという間に凍り付きました。
「こりゃ無理じゃな」
この中に入ったら確実に俺らも凍るよな。というか、その外にいるのにそれでも超寒い。
「スノウアイランドの生きとし生けるものって、この猛吹雪の中で生きていられるのか?」
「多分大丈夫じゃろうな。雪女の種族や、アイスゴーレムなどのモンスターが多分生きておられるじゃろ・・・多分」
アルテミス自身も確信が持てないようである。
「・・・ん?何かが飛んできていませんか?」
「へ?」
ハクロが目を細めるようにして指さした先には、何かの影が近づいてきていた。
「ぬ・・・ドラゴン系のモンスターじゃな」
そうアルテミスがつぶやく。
そして、その影のモンスターが吹雪の中からでて、その姿を現した。
「うわぁ・・・・」
アルテミスのドラゴン時の姿に似てはいるが、全身がまるで氷のような色合いである。
そのまま着陸して、海の上に立った。海の上に立ったというのは、その足元が凍り付いたからだ。
「あれは・・・・」
「氷龍帝じゃな・・・」
すこし離れているのに物凄い冷気が来るんですけど。
「ゼロ・・・というのはお主で間違いないな」
しゃべったな。なんか厳かな雰囲気だな・・・・アルテミスの時よりも威厳ないか?
今なんかアルテミスに睨まれたような気がするが。
「ああ、あなたが氷龍帝でいいのか?」
「そう、吾輩は氷属性のドラゴンの中でも頂点に立つ龍帝の一体、氷龍帝だ」
「吾輩」か・・・・アルテミスが「我」っていうから似たような感じかと思っていたが、少し違うな。
氷龍帝が話すと、途端に冷気がより激しく伝わってきた。
「あのー、すっごく寒いんですけど・・・・」
「これでも普段の10分の1にまで下げておる」
え、てことは普段はこれより寒い冷気が来るの?
「すまぬな、本来なら島の中で話そうとしたのだが、たまたま超極寒状態になる時期なのを忘れていてな、こうして吾輩自らが島を出て迎えに行こうとしていたが、たまたまお主らが到着したのをわかったのでな」
「もう少し早く来てほしかった・・・・」
寒い思いをしなかった可能性があった。
「で、何で指名依頼で俺と会談したいというのを出してきたんだ?」
「そのわけはな・・・・」
理由を氷龍帝は語りだした・・・・・
氷龍帝:ドラゴン時
・見た目はアルテミスがドラゴンの姿をしているときに似てはいるが、表面の色が氷みたいになっており、細部が微妙に異なっている。
・常に冷気をまとっていて、海上に立つだけで海の上が凍り付く。そのため海水浴ができないのがなやみ。
・一人称「吾輩」
・オスかメスかは次回に判明




