『北の国へ向けて』
寒いのは苦手
「冬のこの時期にわざわざ寒いところへは行きたくはないのじゃが・・・」
「まあ、ドラゴンの姿に戻っていれば平気だろ?むしろ乗っている俺の方が寒い・・・・」
「あ、・・・主殿なんかすまんのじゃ・・・」
今、俺たちはアルテミスに乗って王都からはるか北の国『スノウアイランド』を目指していた。
この国は言ってみれば氷の国のようで、寒さに強い人たちしか住んでいないという。その周辺のモンスターたちも、モフモフのもこもこした毛皮を持ったものぐらいしかいないそうな。
行く手段としてはカトレアの馬車型ゴーレムがあったが、王都までのある程度の道は雪かきがされているため走行可能だが、その北の国周辺は積雪量が半端ないらしく、馬車では進めない。
そのため、アルテミスに乗って移動する手段をとったのだが・・・・冬の空を飛んでいるので非常に寒い。魔法などを使用してはいるが寒いもんは寒い。
「カトレア・・・ゴーレムは使えないのか?あれなら内部で操縦できるから寒さにさらされないと思うんだが・・・」
『内部の冷却水などが凍り付いてしまうのでダメですね・・・・。そのあたりの問題解決方法は現在模索中ですので・・』
なお、アルテミス以外は従魔用空間でぬくぬくしている。俺もその空間にはいれたらなぁ・・・・。
アルテミスの飛行速度から考えると、3日ほどで着くようだが・・・・寒い。夜は最近使っていなかった魔道具のテントで布団にくるまりました。風邪ひいたら元も子もないので重装備だが・・・結構きついな。まあ、氷龍帝なんてめったに合わないような存在だろうしいいか。
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「あ、そういえば・・・」
ギルドにて、ゼロに指名依頼の知らせをした受付嬢がふと思い出したようだった。
「どうしたのよ?」
同僚がその様子に気がついて聞いた。
「いやね、ゼロさんに指名依頼のことを言ったんだけどね・・・今あの人たちが向かっている国、1000年に一度の超極寒状態だって知らせるの忘れていたのよ・・・・」
『スノウアイランド』はもともと北の方にある物凄い寒い国だ。そこの住人は寒さに強いので寒いとかはめったに言わないが、1000年に一度「超極寒状態」と呼ばれる住人たちでさえも寒いと言ってしまう現象がある。今年がちょうどそれにあたっていたのであった。
ギルドの決まりとして、その依頼がある場所の状態を知らせる義務がある。だが、この受付嬢はたまたまそれを忘れていたのであった。
「・・・まあ、怪物殺しの異名持ちだし大丈夫じゃない?」
「・・・そうよね」
たぶん大丈夫だろうという雰囲気になったが・・・・・。
超極寒状態・・・




