『なんでここにいるんだあんたら・・・・』
少し秘密が暴かれます。
「な、なにやってんの?」
つい質問してしまった。
その声に仮面の男が反応した。
「ん?・・・髪の色とか服装は変わっているけど、この魔力の感じは怪物殺し君か」
「あ、それはわかるのか」
まあ、こいつにはもう俺のことは知られているわけだし別にいいか。
「久しぶりですね」
「久しぶりだYO」
残る二人も返事してきた。緊張感ないなぁ・・・。
「なんでこんなところに君がいるんだい?」
「それはこっちのセリフだ。なんでまたお前らがここにつかまっているんだ?」
「いや~、ちょっとね。いろいろあって捕まったんだよ」
「正確にはこの人がこの国で革命が起きていたという情報を持っていなくて、のこのこつかまりに言った感じですけどね」
「ちょっ!?」
あっさりばらされたよ。
「って、お前らが黒魔石を他の人に渡しているとかの情報で捕まったとか?」
「いや、そうじゃないよ。まあ、近いんだけど・・・」
なんか言いにくそうな感じだな。
「この人、天才とアホの紙一重ですからね。最初の頃の尊敬心はもうないですよ」
「なんかもう昔からつるんでいる悪友のような感じだYO」
仲いいなこいつら。やはり3人組だとなにかしらの仲が良くなるようなことになるのだろうか。
「本当ならこんな地下牢脱出できるんだけどね」
「ついでだしこの国のごたごたが収まってから逃げるつもりですよ」
「普通に脱獄なんてつまらないからYO]
「そうなのか・・・って、お前らがここにいるということは黒魔石に関係したことがこの国に起きるのか?」
そういえば、こいつらがいる時って、黒魔石に関係した事件が起きていたよな。
「あ~、僕等のせいではないよ今回は」
「というか、手持ちの黒魔石30個没収されましたからね。純度が高いものが混じっているんですよね」
起きることは確定ですね。
「そもそも、今回は黒魔石で事件起こすつもりはなくて、単に昔の故郷に帰郷していただけなんだが・・」
「ん?ということはお前らこの国出身だったのか?」
「いえ、私はグライトス王国出身ですよ」
メイド服のやつが答えたが・・・・というか、もうバンバン個人情報ダダ漏れだな。この際聴けるだけ聞くか。
「まあ、僕らは人間でもモンスターでもないからね。この地を故郷と呼んでいいのかもわからないし」
まあ、人間とかではないなとは思っていたよ。黒魔石を扱っている時点で何か怪しかったし。
「じゃあ、お前らは今は何者なんだ?」
「うーん、王が今はいない国、魔族の住む国・・・の者かな?」
「なんで疑問形だよ」
「魔族ってところにはツッコまないんだね」
この世界には魔族というのもいるらしい。とはいっても、見た目がほぼ人間で、魔法などを使う際に姿が変わる種族だと聞く。しかも普通に人と交流していたそうな。
だが、ある国が勇者だがなんだかわからん奴を呼び出して侵略してきたから縁を切って、どこかに国ごと移したと記録されている。今ではどこにあるかすらわからない幻の国だ。
「いやね、僕らはその国に国籍があるんだけどさ、黒魔石の研究してたら追放されました」
えへっと舌を出すしぐさの仮面の男。可愛くないし、自業自得だろ。
「まあ、純粋な魔族なのはその仮面の人と、語尾がもはや治療不可能の人だけだね。この魔導王国を故郷としていたのは、幼少期はこの国で過ごしていたからだよ」
「私は王国の冒険者で騎士だった元人間ですよ。勤めていたのは300年前ですが」
なんかもはや気軽な感じだな。一応警戒はしているけど、なんかもう警戒するのがばかばかしくなるほど親しくしてくるというかなんというか。
「で、現在ここにつかまっているんだよね。黒魔石も没収されたけど、まあ、また作れるしいいか」
「そういえば、黒魔石を使って騒動を起こすおまえらの目的はなんだ?」
「目的?魔王の復活」
あっさり言ったなこいつ・・。
「昔ね、魔王さまはいたんだよね。膨大な魔力を持ち、様々な魔物を従えていたらしいんだ」
「でもね、ある時力が弱い腐れ弟に毒を盛られて死んじゃったという」
「その弟が魔王を名乗ったらしいが・・・最終的にはドラゴンに食われて死んだと聞くYO」
その弟って・・・・アルテミスが過去に食ったというやつか?
「それ以降は魔王がいない状態だったけど・・・・50~60年前からその座をめぐる争いが小さいながらも起き始めたんだよね」
「で、争いを収めるために魔王を復活させようと考えました。それで考えたのは・・・」
「黒魔石だYO」
黒魔石を使って、各地に争いなどを起こして、その負のエネルギーをちまちま根気よく集めて、そのエネルギーを使って魔王とやらを復活させるつもりだったらしい。
「魔王は負のエネルギーで構成されていたマントを羽織ってありとあらゆる攻撃を無効化していたという記録がある。魔王が死んだときにそれは失われたそうだけど、黒魔石で騒動を起こして負のエネルギーを集める」
「そして、その無効化できるだけのエネルギーですからそれをさらに変換して魔王その者をよみがえらせる計画なんですよね」
「お前ら本当に全部話していくな・・・」
「まあ、この際僕らの計画を知ってもらおうと思ってね。こうやって教えればより必死に黒魔石の騒動を止めたくなるでしょ?」
まだ何か裏がありそうだが・・・・まあ、ここまでべらべら話してくれるならいいか。
「で、魔王がよみがえったらどうするんだ?」
「もちろん、争いを止めてもらって国を平定してもらうように頼むよ。世界征服とかは・・・まあ、その魔王様が考えるかどうかだね。たぶんしないけど」
魔王についてきくと、記録では良い王様だったようだ。魔王のイメージがなんかおかしくなりそう・・・。
「ま、どうせ計画的にはまだかかるし、これからも黒魔石で迷惑かけていくんでヨロシク!」
「よろしくじゃねぇよ!!迷惑かける気満々じゃないか!!」
「ま、ここで怪物殺し君に話を聞いてもらえたし、もうここにいる意味ないね。・・・そういえばぼくらの名前を名乗っていなかったね」
「今頃!?」
「僕の名前は・・・ファウスト」
「私はザイネ」
「俺っちは本当の名前はガイントだYO」
「それじゃまたね!」
「あ、おい!」
仮面の男・・・ファウストが懐から青い石を出して砕いたかと思うと、彼らの姿が一瞬にしてその場から消えた。
『転送魔法陣を組み込んだ魔石みたいですね・・・・あの男たち、相当技術力は高いですよ』
カトレアはそれが何か分かったようであった。
しかし、魔王復活のために黒魔石をか・・・・復活しても害がない感じらしいが、それまでにあと何回ほど黒魔石の騒動を起こす気だよ・・・・。この情報、どう国王に伝えればいいのやら。
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魔道王国の外、国境外にて突如三人の影がその場に現れた。
「いやー、まさか彼らに会えるとは思っていなかったよ」
「すべて話していないのですがいいのでしょうか?」
「いいのいいの、どうせそのうち知ることになっていくだろうね」
「でも本当に一番重要なことを言わなくてよかったのかYO」
「いいでしょ。まあ、魔力の感じを見ると徐々に、ものすごくゆっくりだけど変化あるようだしね」
「黒魔石をあの時、彼らに渡した理由を知るのは果たしていつになるのやら・・・・」
そういい、その影はその場から消えたのであった。
なんかね、この3人組たちの目的はっきりさせたかった。




