『不審な故障』
輸出入とはまた違う感じ
「また街灯が壊れた?」
「ああ、この間修理してもらったばっかりなんだぜ」
「魔道具コンロが故障したわ」
「買ったばかりだよな?」
「ええ、修理にはあなたのお小遣いを減らして当てるしかないわね。どうせ娼館であそぶ金でしょ?」
「⁉︎」
「ギルドの印刷魔道具が故障いたしました」
「またか?つい1週間前に直したよな?」
最近、変なことが起きている。王国中、いや、聞いた話だと他国でも魔道具の故障が相次いで起きているというのだ。
「最近やけに魔道具の故障とかが多いな」
「魔道王国でのクーデターの影響じゃな」
魔道王国のクーデター以降、最近こういう事が多くなった。幸いにして修理を依頼すること自体は滞っていないが、それにしては故障が多いのである。
わざと中途半端に直しているんじゃないかと思って、ギルドが監視したらしいが別に変ったことはないそうだ。ただ、修理費がかさみ始めている。
念のためモッセマンさんのところに聞きに行った。モッセマンさんはこういう事は得意な人だからな。
ちょうどモッセマンさんは今日は月間「スライムクラブ」の仕事がないようなので、そのまま冒険用学校の校長室へ行った。OBならだれでも出入り可能だよなここ。めったにそんなことする人はいないらしいが。まあ、冒険者なんてそんなものだよな。
「おお、ゼロ君。よく来たね」
「お久しぶりですモッセマンさん」
まあ、とりあえず最近の魔道具の故障の多さの意見を聞くことにした。なお、この人今はまだ冒険者用学校の校長だけど来年の春、新入生の入学前に辞めて月間「スライムクラブ」での仕事に専念するそうな。
「なるほど・・・それはわたくしもおかしいと思っていたよ。あまりにも故障件数が多すぎるからね」
「やっぱそうですか・・」
「おそらくだが資金稼ぎのようなつもりじゃないかな?」
今、魔道王国ではクーデター直後ということもあり、内政が不安定である。改革派が政権を握っているそうだが、金が足りないとかいう状況らしい。
そこから考えられるのは、魔道具をわざと壊してその修理費用を国費に充てているのではないかという物だ。
魔道具についての専門ならこの国だし、修理業者もこの国に修理費の2割を毎月収めているそうである。
「まあ、故障させる手段はわからないけどね。修理は完璧にし、そのあとまた期間を開けてから故障させてまた修理させる・・・そう考えたほうが自然なんだけどね」
「もしくは、保守派の仕業かもしれません」
保守派が修理された魔道具をすぐに故障させることで、革新派への信用を落とさせている・・・そう考えることできるのだ。
「とりあえず、水面下でそのようなことをしている可能性がある。下手に首を突っ込まない方がいいかもしれないよ?」
「そうですね」
こういったことに下手に首を突っ込まない。面倒なことになりそうだしね。俺はただの魔物使いとして生きていたいんだよ。
あ、そういやワゼも魔道具だっけ・・・・。彼女を故障させようとする輩もいそうだな。家の防犯を今日からさらに高めてもらうか。
フ――――――――?
ラ――――――――?
グ――――――――?
?




