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閑話 王宮内での事後処理

ある程度はなしまとまる→閑話→また話し

みたいな感じです

 決闘騒ぎがあったその日の夜、王宮内では問題を起こした公爵家への処罰について話し合われていた。


「では、ジョマンイ・バカン・フンドはもう廃嫡決定なのだな」

「ええ、しかも子供へあのような危険な魔道具を渡し、さらに、その魔道具の暴走により死傷者が出たこともあり、ジョマンイ家はとりつぶしということも決定いたしました」

「しかし、ジョマンイ家はなにを考えていたのやら。冒険者用学校は身分の上下関係もなく平等に扱われる場所。そこに己の身分しか考えていないようなバカ者を入れるとは、まったく嘆かわしいことですな」

「その通りだぞい。それにあの時、ゼロとかいうものが連れていたモンスターがいなければ被害はさらに拡大していたかもしれんのだぞい」

「ええ、その通り・・・、国王様、どうか話に入るなら先にノックをかけていただけませんか?」

「かけた後、入っているのだがぞい。聞こえなかっただけじゃないかぞい?」


いつの間にか話し合いの場に、国王が入っていた。本来この会議は、国王抜きで行われるものである。実はこの国はあまり国王の権力が強くなく、できるだけ政治にかかわらないようにされているのだった。そのためわざわざこの場に国王が入ってくることは珍しいことであった。


「しかし、あの魔道具の入手るーとは判明していないかぞい?」

「はい、実は公爵家はどうやらその魔道具のことを全く知らなかったといっています。しかし、あのジョマンイ・バカン・フンドは決闘中に親からもらったといっているため何か隠していることがうかがえます」

「そういえばそのジョマンイ・バカン・フンドはどうなったぞい?一時的とは終えモンスターにされていたことを考えると体に何か悪影響がありそうぞい」

「えっとですね、意識を取り戻してあなた廃嫡されたんですよと伝えたところですね、『ははは、そりゃ私が悪かったのが原因だったんだ。でも、もういいや。これからは身分に関係なく困っている人たちを助けるぞ』と、気味が悪いほどに人が変わっていて鳥肌が立ちました。なんですかあれ、あのバカがこんな人になるなんて誰が思えたのでしょうか」

「ふむ、もしかするとあのドロドロはそいつの負の部分が現れたものかもしれんぞい。それが消えたため、いい部分だけが残ったのかもしれないぞい」

「しかし、そう考えるともしあのバカよりも負の部分が大きいものだったらより今回の被害は大きくなっていたかもしれませんな」


 会議室に訪れる沈黙。それはつまり、不正をして私腹を肥やしているような人物がその魔道具を手に入れたときに同じようなことが起きる可能性があるということだ。近年、王都ではそのような貴族が増えており

問題となっているのだ。


「よいか、必ずあの魔道具がどこから入手されたものか調べるのだぞい」

「わかっております。必ずや突き止めてみせます」


 そこで今回の事件の現況についての議題は終わった。

次に今回の事件の功労者についての話題へと切り替わった。


「そういえば今回の決闘騒ぎにいたゼロとかいう少年がその事件を解決したということになっていたな」

「正確に言うとその従魔が倒したというが・・・、詳しい素性は調べ終わっているかぞい?」

「はっ、その者のフルネームはフォン・ガロン・ゼロ。フォン家のものでそこの3男だということです」

「おや、確か去年能力を調べられたものではないか?」

「その時に、魔物使いであると判明して王都の冒険者用学校に入学することが決まったのですが、その時に従魔になっていたのはスライムだけだったそうです」

「そういえば、あの美しいアラクネを連れていたという者もそのゼロで間違いないようだ」

「なるほど・・・今従魔になっっているのはアラクネとスライムか」


 と、そこへ情報を集めていた騎士の一人が駆け込んできた。


「し、失礼いたします!!報告に追加させてもらいませんか!!」

「どうしたそんなに急いで?」

「じ、実はそのスライムがただのスライムではなく『ヒールスライム』という珍しいスライムということが分かりまして、」

「なに!?レアモンスターでもあったのか!!」

「あ、あの、さらに先ほど入ってきた情報によるとそのスライムがどうやら進化したそうです!!」


 その情報に皆騒然とした。ヒールスライムはめったなことでは遭遇しないレアモンスター。そのモンスターを従魔にしていることだけでも驚いたのに、さらに進化したというのだ。


「その情報はいったいどこからか!?」

「わたくしです。モッセマンです」

「おお、校長殿か」


 いつの間にか会議室に入ってきていたのは冒険者学校の校長だった。実は彼は無類のモンスターマニアなうえに、領地を一応経営している貴族の地位も持っていたのだった。


「実はですね、国王様が去った後にそのスライムが進化したんですよ。いや~いいものが見れましたよ」

「なに、くそ見たかったぞい!!」

「まあ、それはいいとしてそのスライムが進化して何になったと思いますか」

「ヒールスライムの上位種ではないのか?」

「それがですね、『光の女王』という最上位種に進化したんですよ」

「なに!!最上位種だと!?スライムに最上位種があったのか!!」


 どんなモンスターにも最上位種はあるはずなのだが、その貴族はそのことを知らなかったようだ。たかがスライムと思って知ろうともしなかったんだろう。

 

 驚いている貴族を目にして、モッセマンは少し意地が悪い笑みをした。


「おや?すべてのモンスターには最上位種が必ずいますが知らなかったのですか?ま、それはいいとして、そのスライムは進化した後なんと!!しゃべれるようになっていたのですよ!!スライムが人の言葉をしゃべるなんてめったにそんなのには出会えないですよ!!いやほんと今年度はいいものが見れましたわ」

「人の言葉をしゃべるだと・・・。それはつまりそのモンスターはSランクにあたるのではないか?」


その貴族の一人が発したその言葉に再びその場が騒がしくなった。Sランクモンスター、それはたった1匹で国を滅ぼせる力を持つことを意味するのだ。


「さらにお伝えすることがありましてね、その彼が連れていた美しいアラクネもスライムよりも人間と変わらないほど流暢に話せるんですよ。こちらもおそらくSランクにあたりますね」


 その発言にその場は一気に凍り付いた。Sランクモンスターが一匹だけでも国を亡ぼせるのにそれが2匹ということになる。つまり、もしそのゼロとかいう魔物使いが国に対して攻撃をしたら間違いなく国が滅びるということを意味するのだ。


「な、なんでたった一人の魔物使いにそんなモンスターが二匹もつくんだ・・・」

「其処までの実力の持ち主という事か?」

「そういえば、第2王女様も一緒に入学されていたな。まさかとは思うが、そのものを自分の派閥に入れるつもりか?」


 現在王宮では王位継続権をめぐって静かな抗争が起きていた。第1王子派、第1王女派、第2皇子派、そして第2王女派とあるのである。この国では女性にも継承権があり、そのような事態になっているのだ。その中で第2王女派は勢力が少なく、冒険者用の学校に急に入学したことでてっきりあきらめたものだと思われていたのである。しかし、今は話が違う。それだけのモンスターを従える魔物使いであるゼロがその派閥につけば一気に大勢力になる恐れがあるのだ。


「しかし、娘が自分で決めたことだからの~。わしにはまったく口が出せんぞい」

「だが、下手をすると他国に侵略するとかいいかねんぞ」

「とりあえず今はそのゼロとかいう者に対し見守るしかないか」

「わしとしてはあの騒ぎを収めたことに対して表彰したいのだがぞい」

「国王様、今の時期では少し悪すぎます。もう少し落ち着いてからではないといけません」

「しかたがないぞい」

「では、今はそのものに対してはできるだけ敵対しないようにするということでいいですな」

「「「異議なし」」」

「それでは解散!!」


 そしてその夜の会議は終わりを告げた・・・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

同時刻、スラムの片隅である男が報告を受けていた・・・


「では、あの魔道具は暴走を起こす失敗作だったということだな」

「間違いありません。公爵家のバカ息子が暴走させてモンスターになってしまったようです」

「そして、アラクネを従えたその少年がそれを討伐したと」

「はい。正確にはもう一体従魔を連れていたようでヒールスライムというレアモンスターを使役して倒させたようです。しかもその後、そのスライムが進化して『光の女王』というスライム最上位種に進化したようです」

「なるほど・・・、では、まだその少年を観察し続けろ。何かあったら報告しろ」

「はっ!!」


 報告をした男は新たに命令を受け闇夜に姿を消した・・・


「それにしても、最上位種のスライムか・・・・。これはますますあのお方の可能性が出てきたな」


そういって、そこから陰に溶け込むようにしてその男も姿を消したのであった・・・

連続投稿しているな。結構楽しいが、平日だと遅いんだよな。そのあたりはすいません勘弁してください。

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