『第1島の翼事情』
背中に翼がほしい・・・・そう考えたことはありませんか?
爺さんたちと別れ、今度こそ俺たちは第1島に着いたのであった。
「ここが星光王国の中心島か」
「羽が生えた人がたくさんいますね〜」
地上の国々とはまた違った光景だった。
天空人と呼ばれる人々が人口の99%を占めているため、道端を歩く人のほとんどが背中から翼を生やしていた。
だが、天空人と言っても全員同じ翼ではない。
ある者は天使のような白い翼
ある者は模様が派手な翼
ある者は紙のように薄い翼
などの様々な翼を持つ人がいた。
誰もが翼を背中に欲しいとおもったことがあるだろう。
だが、この光景を見ると苦労しているようにしか見えなかった。
翼の分、面積を取るので狭い。大きい翼を持つ者は人に当たらないよう注意して気をつかっている。翼が汚れたら素早く手入れしないと他の人にあたった際にその人を汚してしまう・・・・など。
「結構、自分の翼に苦労する人が多そうだな」
「種族特有の悩みってあるんですよね・・・・」
そういや、ハクロたちも人の姿に似ている分、苦労していることが多いようである。
ハクロは下半身が蜘蛛の身体だから足の手入れが大変。
アルテミスは人化しても一部鱗があるため、風呂上りに体をふく際にタオルが傷つかないように注意を払わなければいけない。
スラ太郎はスライムなので水分が抜けると小さくなりやすい。
カトレアは木の椅子が常に足の部分から生えてついているので、着替えるときに結構苦労しているらしい。
リーゼはゴーレム水槽の中に入って移動できるが、陸上では100%の力が出ない。
ワゼは魔道具ゆえに魔力が切れると動けない。
「みんなそれぞれ苦労しているよな・・・」
探せば出てくるこれらの問題。獣人、ドワーフ、エルフなんかにも似たような問題があったりする。
「そう考えると、人間って結構楽な感じですよね・・・・」
「まあ、寿命なんかが違うからのぉ」
「そういった点はどこでも悩みますよね・・・」
なんか調べに来たはずが、それぞれの体についての悩みになってきたな。
気分を切り替えて、調査をするのであった・・・・。
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第5島、ゼロたちが出会った老人の家にて
「そういえばタヨ、あの若者ゼロとか言ったかな?どこかで聞いた名前とは思わんかの?」
「んー?わかんないなの!」
「アラクネに、ドラゴン、スライム、ドリアード・・・おおそうじゃ、『怪物殺し』の異名の人物だったはずじゃ」
「怪物殺しって何なの?」
「数年前に王都で怪物を殺したことからきておると・・・ん?それなら何でそれだけのものがここに?」
「観光とは考えにくいなの!絶対、何かを調べに来てると思うなの!」
「ふむ、ここ第5島では1島なんかで起きている情報が来ないからのぅ。儂らの方で調べてみるか?」
「調べるなの!!」
こうして、老人とさなぎは独自で調べることにしたのであった。
「その前にお茶にするか。さなぎだからって匂いとかはわかるじゃろ?」
「わかるの!お茶にするなのー!」
その前に、縁側でまるで孫と戯れるかのような老人の姿があったという・・・。
他に挙げるとすれば、どんな種族・体つきの特有の問題点があるかな・・・?




