『事件は目の前で起きる』
スライム・・・・種類多いな。
ギルドでそんな事件の話を聞いた後、特にいい依頼がなかったので俺たちは少し買い物を王都の市場でしてから家に帰ることにした。
「やっぱし結構混んでるな・・・・」
今は大体お昼ちょっと前で、適当な店で昼食をとろうと集まってる人たちで混雑していた。
王都の市場は、普通に野菜などを売る店ばかりではなくレストランのような外食をとれる店もある。人気の店ほど長蛇の列になり、その分人が通れる面積が狭くなって結果として混雑するのだ。
「えっと、まずは・・・・」
まあ、みんな従魔用空間に入れたのでそこまで狭くはなかったので普通に買い物を開始した。
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「次のターゲットはどこだ?」
「あのスライムがちょうどいいだろう。魔物使いから離れているからちょうどいい」
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「えっと、こんなもんかな?」
「我はまあ、荷物運びではないが主殿のためじゃからのぉ」
買い物を済ませ、アルテミスに買ったものを収納してもらった。
「あとは家にもど「あ、ゼロせんせーだ!」ん?」
名前を呼ばれたので振り返ると、以前モッセマンさんからの依頼で受けた冒険者用学校の臨時講師をしていた時に見た生徒だった。
「あれ?冒険者用学校魔物使い過程の・・・クラハ君だっけな?」
「覚えていてくれたんですね!」
魔物使い志望の冒険者用学校のクラハだった。だいたい1年ぶりぐらいだっけな?
「ああ、手持ちの従魔がスライムオンリーだったからね」
「はい、スライムで最強を目指しているんです!」
この子は珍しくスライムだけで魔物使いを目指す子だった。他にスライムを従魔にしていたのはいたが、この子だけが唯一スライムを完全に懐かせて従魔にしていた。
「どうしてこんなところに?確かまだ冒険者用学校は夏休みにすら入っていないはずだが」
自分は数日で卒業したからあまり詳しくは知らないが、確かほとんど冒険者用学校を出るのはだめだったはずだ。
「それがですね、スライムたちがなんか今朝から外に出たがってそれで許可をもらって出歩いていたんです」
「ふうん、スライムたちは?」
「今そこにいますよ」
クラハが指さした先には以前と比べて進化していたスライムたちの姿があった。
「へぇ、結構まじめにスライムでやったんだね」
「はい!狙うはゼロ先生のスラ太郎クラスです!!」
それは・・・いけるかな?スライムの進化はいまだにわかっていないのが多いしな。
「にしても『アイアンスライム』、『ハイパースライム』、『ミストスライム』、になっているのか」
「はい、それぞれ『メッちゃん』、『モッちゃん』、『ダッちゃん』という名前です」
たしかランクはCだったかな?スライムクラブにも出ていたな。
「まだ4体目はいないのか?」
「いえ、今そこに『プッちゃん』が・・ってあれ?」
クラハが向いたその方向には何もいなかった。
「ぷ、プッちゃんどこにいったの!?」
「主殿、あのスライムではないか?」
「ん?」
アルテミスが指さしたほうを見ると、体の色が緑色のスライムがいた。そしてそのスライムは今まさに二人ほどの怪しい人たちに何やら魔道具のようなもので縛られて連れ去られようとしていた。
「プッちゃん!!」
クラハが叫ぶ。どうやらクラハの従魔で間違いない様だ。
「もしかしてあれが今スライムが連れ去られている事件の犯人たちか?」
そう疑問を口にしながら俺たちはスライムを連れ去ろうとしている怪しい奴らを追いかけ始めた。
「まてー!!」
「待てと言われて待つ奴がいるか!!」
こっちの言ったことに正確にツッコミを入れるとは・・・・。
「ハクロ!!糸を使ってあいつらを縛り上げろ!!」
「了解です!!」
素早くハクロが前に飛び出す。俺の従魔たちの中では実は結構素早いからな。
「な!?アラクネってことは『怪物殺し』か!!」
「糸でおとなしくお縄に付きなさい!!」
ハクロが素早く糸を束ねて縄つくり、素早く男たちに向かって投げて捕らえた。
「くっ、まさか怪物殺しが近くにいたなんてついてねぇ」
こうしてスライムの連れ去りは未遂にできたが・・・・・。こいつらの目的はなんだ?
尋問と引き渡しのため、俺たちはこの二人組をギルドに引きずりながら向かうのであった。
一応、クラハには冒険者用学校へ戻るよう言うのも忘れずにな。まだ同じような奴がいるかもしれんし。
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「なんですと、二人が捕まった?」
「はい、怪物殺しの知り合いのスライムだったらしく、その場にいた怪物殺しのアラクネによって取り押さえられました」
「面倒くさいことになったな・・・・情報が洩れぬように口封じをしておけ」
「はっ」
珍しく1日のうちに事件が起きる




