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『やっと入れますね』

ちょいサービス?

 火山がよみがえった後、俺たちが宿に戻ると女将さんが温泉が戻ったといった。


 原因は火山の沈静化及びレイクドラゴン(アホ)だったと伝え、もう二度度とこんなことをしませんとレイクドラゴンに誓わせたと伝え、俺たちは報酬として約束されていた温泉にやっと入れることになった。


本来なら従魔は従魔用の温泉に入るのである。


 だが、今はまだ温泉が戻ったばっかりであるので客が俺たちしかいない。なのでアルテミスが女将に希望して従魔全員が女湯の方に入れることになった。俺は男湯だぞ。




「あー、一仕事のあとの温泉はきもちええわー」


 俺は完全に体を弛緩させて、広々と体を伸ばしていた。


「うわぁ、こんなふうになっているんですね」

「一応人用の温泉じゃから全員だとやや狭いかもしれん」

「オンセーン」

「木の根ですわないようにしておきました」


 みんなが女湯の方に入った音が聞こえてきた。そういやリーゼは一応たらいに水を入れて薄めたほうに入るようである。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はぁぁ、肩まで浸かれませんけど気持ちいいです」


 ハクロはそのアラクネの体格故、何とか足を曲げて上半身の胸のすぐ下ぐらいにしか温泉に入れてないが、温泉は十分感じ取れた。


「お主の体格だとそうなるからの。人化が使えれば、我のようなドラゴンでも人に合わせられたところで、全身が湯にしっかりつかれるのにのぉ」


 アルテミスは人化状態でも身長は2mほどであるが、それでも足がより曲げられる分ハクロよりもゆったりと温泉に浸かれたのである。


「フミュゥゥゥゥ・・・」


 スラ太郎はスライムの体を温泉いっぱいに広げたかったが、みんなの迷惑にはなることが分かっているから我慢はしていた。それでもその気持ちよさに体を弛緩させた。


「効能は・・・美肌、腰痛、神経痛、といったところでしょうか・・」


 カトレアは湯の分析を一応していた。もともとここに来た目的は温泉調査。それを覚えていたのである。


 まあ、木の根をできるだけ小さくして、全身丸ごと入ってゆったりとしてはいたが。


「それにしても、今回は壁の向こう側に主殿が入っているんじゃのぉ・・・」

「いつもなら完全に別々ですもんね」


 宿だと従魔用とで別れるし、家だと交代制である。


 そのため、こうして同じ時間に近くに入っているということ自体が珍しいのであった。


「主殿、そちらの湯加減はどうじゃー?」

『あー、ちょうどいいよ』


 その声に質問したアルテミスまでもが皆体を少し震わせた。


 モンスターと言えども、皆人間に近い容姿をしているがゆえに、そういった羞恥心などの感覚も近いのである。


 壁の向こうに異性がいることを意識しただけで皆少し恥ずかしくなった。


「私たちモンスターなのに、なんでこう意識してしまうんですかね」

「従魔になったモンスターは野生時よりも知恵がつくらしい。我らにも同様の現象が起きているようなものかのぉ?」

「たまに、私はこう考えます・・・。もし、私たちがモンスターじゃなくて、普通に人としてご主人のそばにいれたらなと・・・・」


 カトレアのその言葉に皆言葉を詰まらせた。この場にいる従魔全員が一度は考えたことはあるのだ。もし、自分がモンスターとしてではなく、一人の人としてゼロに出会えていたらと。


「私は・・・こう、なんと言いますかね。忠誠をつくしたくなるような感じですかね」

「マスターノソバデアソンデタイカナ・・・」

「我は・・・元からこうして人化の術があるゆえ人間に交じることは可能じゃ。じゃけれども、寿命の違いがの・・・」


 その言葉にさらに空気が重くなった。


 モンスターと人間では根本的に寿命が違うのだ。


 その証拠に、この場のスラ太郎とリーゼを覗けば皆1000年は確実に生きている。だが、人間の寿命は持って120年ぐらい。いつか別れがあるのは目に見えていた。


「アルテミス・・・私たちのような従魔は主である魔物使いが亡くなったとき、どうなるんですか?」


 それはハクロが思った疑問。従魔は主が死んだときにどうなるのか。従魔自体が譲られることは聞いたことがあるが、そういった話はないのだ。


「・・・・」


 アルテミスは答えなかった。皆よりも長い時を生きているので、その場合の答えを知っているのだ。だが、それゆえに今は答えたくはなかった。


「すまんの、今はまだ答えられんのじゃ。それに、こんな話で暗くなるのは嫌じゃ」

「それもそうですね・・・」


 とりあえず、いったん気持ちを切り替えることにした。


「それにしても、あのレイクドラゴンはアルテミスのことをよく知っていたようでしたが」

「ああ、あやつが卵から生まれた時に我もみにいったことがあるのじゃ。生まれたてなら皆可愛いからのぉ」

「つまり成長したら」

「アホになるから微妙じゃな」


それに全員爆笑した。


「ま、あやつも十分理解したじゃろうし、これからまた似たようなことを起こしたらしっかりボコると言っておいた。これでもう大丈夫じゃろ」

「また温泉に入れなくなるのは嫌ですからねぇ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「で、話していたら浸かりすぎて全員のぼせたのか」

「◯」

「ミンナブッタオレター」


そして今、身体を少し赤くしたハクロたちが死屍累々のようにぶっ倒れているのであった。


長風呂しすぎだろ・・・

温泉の後は・・・

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