『クレイアイス火山の温泉異変』
まあ、なんとなくのんびりできなさそうだよね。
その夜、依頼で温泉へ行くことを話したら全員賛成した。なお、今回ワゼは家にのこる。
「これでもこの家のメイドデス。マスターたちが留守の間はしっかりと家を守りマス」
セキュリティーとしては最高クラスである。魔力切れが起きる可能性があったが、カトレアがゴーレムの技術を応用して魔力タンクを地下に設置したため、万が一魔力が切れそうになったら補充できるようにしておいた。
次の日、早速クレイアイス火山に向けて俺たちは出発した。あの、ローズにも一緒に行かないかと誘ったが、王女としてやるべきことがいろいろあるらしくいけないようであった。残念。
カトレアが作った馬車は、あのモー神のあとにカトレアが進化したこともあってより改良が施され、快適ながらも超早くなっていた。
いったい時速がいま何キロか聞くのが怖い。すっごいびゅんびゅんと景色が過ぎ去っていくからな。しかも改良を施しているから衝突事故時の安全のためエアバッグ付きになっている。
ちなみに普通の馬車だったら1ヶ月の道のりらしいが、カトレア曰く2日ほどで着くようである。ダンジョン都市に行った時よりに比べるとさ、はるかにスピードが上がっていないか?
なお、あまりにも速度が速すぎたので、途中馬車を襲おうとしていた盗賊たちにも気が付かず猛スピードではねたようであった。ちなみに、けが防止のためにはねた瞬間に大量の泡が出され、衝突した人を包み込んでしまい衝撃をなくすという設計である。ただし、相手が明確な攻撃の意思を持っていた時にはその泡の代わりにねっばねっばの超粘着力のある液体で絡めてしまうという。なんか盗賊とはいえすこしあわれ・・・・。
王都を離れてから2日たち、スピードを通常の馬車ぐらいに緩めたところで目的地が見え始めた。
「あそこが『クレイアイス火山』のふもとの温泉街か」
「ん?火山にしては煙が出ていませんね」
「休火山だからじゃない?」
「それにしてはこのあたり少し肌寒いのぉ」
言われてみれば少し外は冷えるようであった。
温泉街に到着した俺たちはその依頼が出ていた温泉がある宿に向けて馬車を降りて歩いていた。
「なんか店があっちこっち閉店していないか?」
「活気がなんかありませんね・・・」
それに、さっきから本当に少し肌寒い。
そうこうしているうちに目的の温泉宿を見つけた。
「あ、あそこが依頼を出していた『サラマンダー温泉』か」
中に入ると、人っ子一人いない感じだった。
「すいませーん、誰かいないんですかー」
よびかけると、奥からこの宿の女将とみられる方が出てきた。
「すいません、今はこのあたり一帯の温泉宿は機能していないんです」
「え?俺たちは一応ギルドで依頼を見てやってきた冒険者なんですが・・・」
「依頼は確かに出しています。ですが数日前に、急にこのあたり一帯の温泉がわかなくなり・・・」
どうやらギルドでの依頼とのタイムラグがあったようである。
話を聞くところによると、ギルドに依頼を出した時は温泉はしっかりでていて、後はこの効能を調べてもらおうとしていた。
だが、ほんの2、3日前にこのあたり一帯の温泉すべてが急にでなくなってしまったという。
「原因は火山にあると思うんですが、この火山周辺にはモンスターも一応出まして、この調査依頼を出そうとしていたところでもあるのです」
「ということは温泉は今は出ていないのか」
「残念ですね・・・」
明らかにしょぼんと落ち込む従魔たち。
「でしたら、俺たちが火山調査をしましょうか?」
「本当ですか!!」
「ええ、その代わり報酬として温泉に入れさせてください。ここまで来たのに入れないのは残念ですしね」
「うむ、主殿の言う通りじゃ。温泉は入れずしてなぜここにこよう」
「〇」
リーゼ、アルテミスともに賛成のようである。
「私としても入りたかったですし、頑張ります!」
「ご主人、地質調査なら私たちも頑張る」
ハクロ、カトレアも賛成。
「カザン・・・マグマスライムイルカナ?」
スラ太郎は眷属化したいスライム探しの方に興味がありそうである。
「じゃあ、温泉求めていざ火山を調べに行こう!!」
「「「「おーっ!!」」」」
「〇」
こうして、俺たちはまずクレイアイス火山調査に乗り出すことになったのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふうん、彼らも火山の調査するのか」
「今回はできるだけ協力しましょうよ!!私たちだってたまには黒魔石を休んで温泉入りに来たのに入れなかったじゃないですか!」
「それが一番の理由だYONE」
「ま、僕らも温泉入りたかったし、ばれない程度にサポートしますか」
仮面とメイドと語尾が定着した三人組にはゼロたちは全く気が付いていなかった・・・。
火山を調べましょう。火山が原因としか考えられないからね。
「ところでどうやって調べるのじゃ?」
「そこが問題なんだよな・・・」