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『バカ坊っちゃんとの決闘3』

国王の口癖はなんとなくあんなのにしました

開始の合図が鳴ると同時に、俺はハクロたちに指示を出した。


「スラ太郎は『フラッシュ』!!ハクロはそのすぐ後に攻撃!!」

「っ了解!!」

「プルン!!」


 バカ坊っちゃんたちが攻撃を仕掛ける前に、スラ太郎が素早く前衛に躍り出た。


「プルルルルーーーーン!!」


スラ太郎が叫んだ瞬間、スラ太郎の体が一気に白く光り輝いた。


「うわわわわわぁぁぁぁぁ!!眩しいっ」

「目がーーーっ!!目がーーーっ!!」

「いきなり目くらましなんて卑怯だぞ!!」


 スラ太郎はもともと回復向きのモンスターだ。回復魔法が使えるのだが、その時に出る明かりを利用したのだ。回復する効果はないが、瞬時に輝く魔法「フラッシュ」として編み出したのだ。


「人数差で勝とうとしているあなたたちが余計に卑怯に私は思えるのだけど?」


 そして、相手の目が回復しないうちにハクロは次々と素早くこぶしで殴っていった。

ハクロは見た目が美しいが、それでもモンスター。細い手をしているがそれでも軽々と重いものを振り回せるほどの力を持っているのだ。

 そんな腕で殴られ、一人また一人と倒れていった。そして、開始からわずか30秒で一気に残り6人まで数が減った。


「そ、そんな馬鹿な!!俺様の味方たちがこんなにあっさりと」


 バカ坊っちゃんはどうやら信じられないらしい。そういえば、あのバカ坊っちゃんはどうやら剣を使う戦士の職に就こうとしていたらしい。剣を持っているが、それでも腰が引けているのが目に見て取れた。


『おおっと!!あっという間に大半が地に沈んだ――!!』

『やはりな。あの者、只者ではなかったぞい。その実力を見抜けなかった相手がいかにバカかよくわかる結果になってきておるぞい』

『国王様はそれが分かっておられたのですか?』

『うむ、あのモンスターはどうやらどちらもレアモンスター。それを従えているところを見ると相当な実力があるということが分かるはずぞい』

『それに冒険者の私から見れば、あの魔物使い自身もかなり慣れているように見える』

『それだけの実力があるならここで学ぶ意味があるんですかね?』

『ないんじゃないかな?』


 おいおいなんかひどいこと言われた気がするんだが。学ぶ意味はあるんだよ。モンスターについてもっと詳しく知るとか、いろいろあるんだよ。


「くっ!こうなったら父上からもらっておいたこの魔道具を使うときがきたな!!」


 ん?なんか変な石を取り出してきたな。なんだあの黒ずんだ石は?


「はっはっはっはっは!この石を使えば勝負はあっという間に決まる!今のうちにいいのこすことでゲフオッツ!?」


 どう考えても悪い予感しかしないので、ハクロに糸で靴をコーティングしてもらい、「エンチャント」をかけて素早くバカ坊っちゃんを蹴り飛ばした。


 そのままバカ坊っちゃんは吹っ飛び、何回かバウンドして止まった。


「ぐ、ぐふう。使う前に攻撃するとは卑怯だぞ!!」

「お前が言うかこの馬鹿が」

「そうですよー、だいたいそんなんで冒険者としてもやっていけないでしょう。相手がおとなしく待ってくれるとか思うのはそれだけ甘ちゃんじゃないんですかー?」


 おおう、ハクロ結構毒舌だな。


『ハクロは「毒舌」のスキルを手に入れた』


 あ、久しぶりの世界の声である。しかしどう考えてもそのままの意味だな。


「くそっ!絶対殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス・・・」


 いつの間にかバカ坊っちゃんは起き上がっていた。そしてあの黒ずんだ石を掲げて壊れたようにつぶやいていた。


 て、あれ?なんか途中から目が濁っていない?なんか様子がおかしくなってきているような。


『っ!!いけません!!急いで全員避難してください!!』

『な、なんだと!!いったい何が起こったのかぞい!!』

『おそらくですが、あのバカは魔道具に意識を飲まれています!!このままでは危険です!!』


 どうやらバカ坊っちゃんは魔道具に意識を飲まれたらしい。


「ゼ、ゼロ様、なんか姿が変わっていってますよ!」


 見ると、魔道具から黒い霧のようなものが出て、バカ坊っちゃんの体を包み込んだかと思うと、その姿を変化させていき、そして、


『なっ!人間がモンスターになった!?』


霧が晴れた瞬間、そこにはあのバカ坊っちゃんの姿はなく、全身がどろどろの真っ黒な異形の怪物になっていた・・・

次回「異形の怪物との闘い」

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