『宗教国ギルド最強の冒険者』
さて、どうなるかな。
モウカリさんが連絡して1時間後、このギルド最強だという冒険者が来た。
「おお、やっと来たでんなセイヌマカはん」
「まったく、儂はもうそろそろ引退したいのだがな」
「まあまあ、まだ現役でええでっしゃろ?」
その冒険者は、身長が高く、全身が赤色のごつい鎧でおおわれていた。声からして結構歳いった老人のようだが、その雰囲気はまるで歴戦の猛者のように隙がなかった。
「紹介するでゼロはん。こいつがうちのギルド最強の戦士、異名は「赤鎧」、冒険者ランクSのセイヌマカはんや」
「ああ、そうだ。もう引退したいのだが、この守銭奴が引退させてくれぬのでな。すごくうんざりしている」
なんか苦労が多そうな人だな・・・。
「というわけで、早速セイヌマカはんとゼロはんには戦ってもらいたいんや」
「ふむ、お主がゼロか・・・若いながらもかなりの力を持つと見た」
なんか同じランクSでも、あの襲撃者たちよりも手ごわそうだな。
「みんなやれるかい?」
「いつでもいいですよ」
「準備はできてるのじゃ!!」
「オーケー」
「〇」
「ゴーレムの整備は万端・・・」
従魔全員やる気に満ちているな。
「ふむ、その従魔の質からしてかなりの強敵ばかりだな」
「ん?セイヌマカはん、1人でこの人数相手でいいのでっしゃろか?」
「ああ、問題ない。儂は最初からゼロ殿一人に狙いを定めて戦うつもりだ。魔物使いの弱点は従魔を従えている者が倒されることにあるからな」
なんかある意味かっこいいなこの人。歴戦の騎士みたいだ。
というわけで、ギルドの裏にある模擬戦専用練習場にて戦うことになった。
「ルールは簡単や。どちらかが降参するか気絶するまでや!!ただ、命を奪うことはやめてくれや。こちとら金稼ぎの手段が減るからな」
欲に忠実だなこの人。
「特に、セイヌマカはん、このゼロはんはどうやらうちが嫌々認めさせられたSランク冒険者グループ『神の御使』をぶっ倒したらしいで。国から無理やり認めるように圧力をかけられたとはいえ、あの戦力を倒せるほどの人物や。充分注意しなはれ!」
「ほう、あの魔道具に頼るのみのやつらをか。奴ら自身は大したことはないとはいえ、あの魔道具はそれなりには危険だった。これは楽しみだな」
おいモウカリさんや、何しゃべってくれちゃってんの。なんかもうあの手紙の内容がわかったけどさ。大方あの雑魚をSランク認定するなんて見る目がないなとか書かれていたんだろうな。
「では、はじめ!!」
「それではい「『ビックバン』」は?」
ドッカァァァァァァァァァン!!
開始の合図とともに、俺は魔法をいきなりぶっ放した。まずはこれで様子見である。
相手を中心に、一応加減した大爆発が起きた。
「アルテミス!相手にはおそらくあまり効いていないだろうから攻撃してくるまで臨戦態勢!!ハクロは今のうちに糸でトラップ大量生産・設置!!スラ太郎はあの鎧を溶かせるスライムの配置!!カトレアはゴーレムで守りを固めろ!!リーゼは歌で士気向上させ、」
「あの、主殿」
「なんだアルテミス?」
「今の攻撃でもう終わったようじゃよ」
「え?」
煙がはれ、見てみると鎧が壊れてぶっ倒れて気絶したセイヌマカさんの姿がそこにあった。
「・・・・えっと、ゼロはんの勝ちや」
その場にいた全員がなかなか状況を把握できなくて、いち早く把握したモウカリさんの声が響いたのであった・・・。
え、えぇぇぇぇ・・・・一応手加減したやつだったんだが。なんせ相手はSランク。従魔全員に命令だすまでの時間稼ぎ程度にしか思っていなかったんだが・・・・。
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「なっ・・・」
試合を見ていた神官の部下オウモは絶句した。
この国最強の冒険者が、たった1発の魔法で轟沈した。その事実に驚愕したのだ。
「これはもしかすると、我々はとんでもない奴を「害」としてしまったのでは・・」
オウモは、ゼロの実力に恐怖し、そのことを神官に報告しに行くのであった・・・。
紅い鎧だからって通常の3倍とかではないんですよ。というか、何の3倍かな?
ちなみに名前から何をイメージしていたか、わかる人いるかな?




