『やっと到着(満身創痍)』
船旅って長いと辛そう・・・。
港町を出港して5日。
やっと船から降りて俺は大地のありがたみをかみしめていた。
「ふぁぁぁぁぁ、陸地がこんなにも素晴らしいとは・・・」
「ゼロ様・・・少しやつれましたよね」
「これでカトレアが揺れを打ち消す椅子とかを作っていなかったら、宗教国に殴り込みする前にたぶんぶっ倒れていたじゃろうな」
もう二度と船には乗るまい。帰りは何が何でもカトレアのゴーレムかアルテミスに乗って戻るぞ。
「さて、宗教国に行くには確か定期馬車が出ているんだよな」
何もすぐに国に対して魔法をぶっ放すなどして破壊するようなことはしない。
まずは、国の現状調査からするのである。あの宗教だっけな?あれだけつぶせたらいいからな。
「ここが、宗教国『カルトック』か。思ったより普通そうな国だな」
港から馬車で30分ほど、俺たちは堂々と宗教国内に入っていた。
この宗教国の国教は「モー神」とかいうのを信仰するモー神教らしい。なんかウシみたいな感じだよな。
「じゃが、いささか帝国よりもひどい感じじゃのう」
帝国の時は奴隷が目立っていた。今では新しくルーナスさんが皇帝となったことによりそのあたりはだいぶ解消されてきているらしいが、この国はそれとはまた違ったひどさが見られた。
「『亜人禁止』、『人間以外禁止』・・・結構あるな」
この国は確か記憶によればほんの数年前までは別にこのような差別はなかったはずだ。
だが、数年ほど前に神官が変わったことがあるらしく、その時からその様な差別が目に見えて目立つようになったらしい。いわゆる人種至上主義というやつであろう。
「なんかこう居心地が悪いですね」
王都では見た目の美しさもあって人気があるハクロたち。
だが、この国では明らかに見る目がまるで下の存在を見ているような目だった。
「まったく、この国の宗教は確か平等とかを唱ていたはずじゃ。これでは思いっきりダメではないか」
どうやら宗教の影響が完全に国全体にいきわたっているようである。
「ま、こうしてみてみるとどうもその宗教が本当に根強くあるようだな」
「それにしても変じゃな。我らを神の「害」と言っていた襲撃者がいた割には、この国ではだれもそんなことを言っておらぬ」
確かにそうである。
「まあ、俺たちがこの国に入ったということはそいつらの耳にもう入っているはずだ。まさか正面から堂々と国に入ってくるなんて思わなかったから、その対応がまだできていないんだろう」
ま、今日いきなり攻撃を仕掛ける意味はないな。この国の実態を少し調べてからにしよう。
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宗教国『カルトック』中央大神殿にて・・・・。
「なに?神の「害」がこの国に入国しただと?」
「はっ、間違いないです。堂々と国内をうろついていました」
「ぬう、ならばあの者たちは失敗したという事か。まったく、せっかく神がおつくりなさった武具を無駄にするとはな」
「それでも彼らはこの国の冒険者最高ランクの者でしたが・・・」
「ならばこの国のギルドに銘じよ。より強い冒険者を我々のもとに連れてくるようにな。これも我らが偉大なる神、「モー神」のためなのだ!!」
「では、早速連絡いたします」
神官は、その報告してきた部下が部屋から出て行ったあと、ため息をついた。
「はぁ、神よ。なぜあのような「害」がそれだけの力を持つのでしょうか。その力が我らにもあれば、よりこのあなた様の宗教を世界へと広められるのに」
神官はそういって、神への祈りを再開するのであった・・・・・。
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一方、港にて。
「おえっぷ、まだ動けねぇ・・・」
「大丈夫ですかYO]
「私もまだ無理です・・・」
仮面の男と、YOがまだ抜けない男と、メイドがいた。
「それにしても、まさか船の中に彼らがいるとはね。まさかこの国を滅ぼすつもりじゃないかな」
「さすがにそれは・・・・ありそうだYO」
「まあ、襲撃されたって情報がありましたもんね」
「この国の宗教が腐ってきているようだからね。なんせ網徹底的な差別があるらしいからねうっぷ・・」
少し仮面を外して吐く男。
「MA、この国には黒魔石は譲渡しないと伝えるために今回わざわざ直接でむいているからYO」
「黒魔石を渡す価値なさそうですもんね」
「僕らは今回、黒魔石譲渡拒否と、彼らの動向を見るとしますか・・・おろろろろろろろ」
しかし、この3人組がまともに動けるようになるには少し時間がかかりそうであった。
さて、今回は黒魔石の関与はないかな?そして、ゼロたちはどうするかな?




