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『今日はダンジョンお休みです』

閑話に近いけれど、一応本編です。

 リーゼが従魔になったばかりというのもあり、今日はダンジョンに行かず、代わりにダンジョン都市内を散策することにした。せっかく来ているんだしね。それに当初の目的であった金稼ぎも順調だからな。リーゼが増えた分の食費分も増やさなければいけなくなったが。


「それにしてもダンジョン都市というだけあって、さまざまな国の人もダンジョンに挑みに来ているなぁ」

「ダンジョンは世界中に存在するようですけど、 ダンジョン限定モンスターなんていますからね。それにこのダンジョンは前の襲撃があったとはいえ、金の産出地としても健在ですからね」

「所詮人は金に行きつくのかのぉ」

「アルテミス、それは言い過ぎ。ご主人は金というより、家のために稼いでる」

「どちらにしろ金が元じゃろ?」

「アルテミス、それ結構辛らつだよね・・・」



ダンジョン都市の市場まで来てみると、王都に劣らないかなりの人でにぎわっていた。


「おい、あれってセイレーンじゃないか?」

「ああ、お前知らなかったのか?昨日あの怪物殺しが従魔にしていたぞ」

「まじか!!あれ?ということはダンジョンにAランクモンスターが出たってことか?」

「21階層のあたりらしい。幸いなことにあいつ1体だけしかいなかったそうだ」

「なるほど、それはよかった。明日挑もうと思っていた階層にAランクのモンスターが出て襲われたらシャレにならんからな・・・・ん?待てよ、お前何でそんなに詳しいんだ?」

「昨日ギルドにいたからな。お前は確か、昨日は夜遅くまでダンジョンに潜っていただろう?あのセイレーンの歌を聞き逃したな(笑)」

「なんだと!?あの美声を聞き逃してしまったのか俺は!!」

「いやー本当に素晴らしく美しい綺麗ないい歌だったわー。お前いなくて残念だったわー」

「くっ、これはこの俺っちの一生の不覚だった・・・」



「ねえねえ、あのゴーレムの中にいるのって昨日のきれいな歌のモンスターじゃない?」

「え?あのモンスターって何?」

「知らないの!?セイレーンって言ってものすごく素晴らしい歌を歌ったんだよ!!」

「いや、私昨日は都市にいなかったし」

「それってかなり損しているよ!?」



 なんかリーゼのことで噂になっているなぁ。ハクロたちの時以上じゃないか?


「なんか私の時よりも」

「我の時よりも」

「私の時なんかよりも」

「「「かなり話題になっている(わね)(のじゃ)(のね)」」」


 お前ら悔しいのか?スラ太郎は別に気にしていないようだが。


「お、魔道具を扱っている店発見」


 店頭にいろいろな魔道具を並べてある店を発見した。


「いらっしゃい。おや?きれいなアラクネとセイレーンを連れているということは怪物殺しの方ですか」


 なんか俺についての特徴にリーゼが追加されたな。しかし何でアルテミス、スラ太郎、カトレアについてはないんだろう・・・。


「こりゃまたすごい方が買いにきたもんだ。何か気にいった商品はありますか?」

「そうだな・・・」


 その魔道具についての説明は書かれていた。


「これかな?『水が湧き出る壺』」


 なんか説明に水が魔力を注いだ分だけ出ると書いてあった。


「カトレア、この壺をリーゼが入っているゴーレムに組み込めないか?できたら水をいちいち汲んで入れるなんてことをしなくなるんだが」

「むう・・・ご主人、たぶん何とかできます」

「そうか。では、この魔道具をください」

「あいよ、2万ゼンね」


 支払って、後で組み込むことにした。


「ハクロたちは何かほしいものはないのか?」

「そうですね・・・・今のところ特には」

「我としてはその分の資金をためる方に使ってほしいのぉ。そしたら家を早く手に入れられるであろう?」

「ワタシモソレデー」

「私もですね」


 皆は、今は特に欲がないようであった。


 ついでだし、屋台で食事をして俺たちは今日のところは宿に戻ろうとした時であった。


「この野郎!!何しやがる!!」

「ああん!?お前がぶつかってきたんだろうが!!」


 なんか路上で殴りあいの喧嘩が始まった。


「どうやら少し荒れた冒険者同士の喧嘩じゃのう」

「どっちもどっちなようがするんだが」

「ゼロ様、この喧嘩どっちが勝ちますかね?」


 見ると、その喧嘩している男たちはどちらも筋肉質の男性だった。


「ありゃ確かランクC冒険者のズンドルと、同じくランクC冒険者のドンスケだな」

「あの二人って確かどちらもよくケンカをすることで有名な冒険者だよな」

「それでいてどちらも実力はそれなりにあるし、実は結構面倒見がいいから慕われているんだよな」

「あの喧嘩っ早い性格がなければどちらもBになっていいんだけどね」


 どうやらそこまで悪い二人ではないようである。あれか、見た目は少しいかついけど雨の日に捨て猫に傘をさしてあげる番長みたいなもんか。


 二人の喧嘩は殴りあいだが、どことなくそこまではどす黒い感情はなく、面白いものだった。なんかかごとし始めるやつらまで来たぞ。


「よーし!!そこだ!!」

「あぶねぇな!!そのままお返ししてやれ!!」

「うおっと、すごいストレートだな」

「あっちも負けじと殴り返しているぞ!!」


 完全に周りが野次馬だらけである。人のことは言えないけどな。


「~~♬」

「ん?」


 どことなくきれいな歌声が響いてきた。見ると、リーゼが歌い始めていた。


「~~~♪~~~♫」


 その歌は、どことなく優しい歌だった。


 その歌声に徐々に周りの野次馬たちも聴きはじめ、皆が聞き惚れていった・・・・。





「~~~♪」


 歌が終わった瞬間、その場でけんかを見ていた野次馬たちから盛大な拍手がリーゼに送られた。いつの間にか喧嘩も収まって、喧嘩していた二人も一緒に拍手していた。


「リーゼ、お前喧嘩を止めたかったのか」

「〇」


 笑顔で「〇」と腕で表していた。喧嘩を止めるために、彼女がとった手段はどうやら心を落ち着かせるような歌だったらしい。いつの間にか俺の心も落ち着いていた。


「すごく素晴らしい歌声だったぜ!!」

「まさかあのアホな喧嘩のついでにこんな歌を聞けるなんて感激です!!」

「喧嘩よりも数百倍よかったよ!!」


 歓声が鳴り響き、俺たちは昨日のギルドでのことからアンコールを要求される前にさっさとその場から逃げたのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ふっふっふ、そろそろ黒魔石の力をダンジョン何で使ってもいいころだろう」

「一応、使用方法をしっかりと守っていきましょうね」

「わかっているよ。しかし黒魔石のおかげで魔法が使いたい放題ってのは本当に素晴らしいなぁ」


 ダンジョン都市のある屋敷にて、何やら怪しい会話がされていたようであった。



 

次回からダンジョン都市で何かが起きてくる・・・。

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