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『ダンジョン調査にて3』

湿地帯だしさ、蚊のモンスターでも出してみたらよかったかな?

21階層に俺たちが下りて3時間たった。


「やっぱカエルのようなモンスターが多いな」

「湿地帯みたいですからね」

「焼くと結構おいしいのじゃがのぉ」

「それ食べるの!?」



 とまあ、いろいろあって、もうそろそろ転移室に近くなってきた。


「今日は転移室に着いたら帰還して、また明日調査するか。結構モンスターの素材も集まったし、金になるだろうな」

「この階層では出ないとされていた『ゴールデンドクモリカエル』を倒せましたからね」


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「ゴールデンドクモリカエル」

25階層から出現するはずのこのダンジョン限定レアモンスター。その体は黄金のように輝き、マニアの間では「生きる黄金」として高値で取引される。しかし、その体には名前の通り様々な種類の毒がこれでもかと盛り込まれている。そのためその毒も素材として買い取られる。ランクはC。

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 結構高いモンスターらしいからな。傷つけないようにスラ太郎がその体の中に入って、何かしてもらって倒したんだよな。何をしたかは聞きたくないけれども。聞くのがかなり怖い・・・。


「えっとですね、地図によるとこの先右に曲がってそこからまっすぐだそうです」

「なるほど。わかっゴボウッツ!?」

「ゼロ様!?」


 いきなりなんか落ちたんだが。ああ、沼地だから沼があったのか・・・、その上に軽く土が堆積していてわかりにくかったのか・・・・


 いきなりのことで息をする間もなく、俺は沈んでいった・・・・


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「・・・・!?」


 それは、何かがおぼれたことを感じた。その何かがよくはわからなったが、とにかく急いで助けようと思い、全力で泳いだ・・・。


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「あわわあわわ!!ゼロ様が沼地に沈んでしまいましたーーーーーーーーーーー!!」

「マスターガ!マスターガ!」

「お、落ち着くのじゃハクロ!!スラ太郎!!主殿を早く引き上げればいい話じゃろ!!」

「ですが、どのあたりに沈んだのかわかりません!!それに沼ですからうまく糸が沈まないんですよ!!」

「か、カトレア!!お主の木の根で早く主殿を引き揚げておくれ!!・・・ってカトレア?」


 アルテミスが完全にパニックで使えなくなっているハクロの代わりにカトレアの方を見ると、カトレアはじっとゼロが沈んだ場所を見ていた。


 ゼロがいきなり沈んだことによりハクロたちは慌てたが、カトレアはその落ち着いた性格によってなんとか冷静に状況を判断していた。


(ご主人が沈んだこの沼・・・端っこの方だからそれほど深くないにしても水深は多分10メートルほど。私の木の根の範囲から考えるとまだ可能。しかし・・・なんなのこの気配?何か他のものが沼の中にいる?)


 ゼロが沈んだところから何かが上昇してくることにカトレアは気が付いた。


「!?何かご主人以外のものがあがってきます!!」

「なんじゃと!?」


 いきなり水しぶきが上がったかと思うと、ゼロを抱えた何かが沼から勢いよく飛び出してきた。


「こ、このモンスターは・・・」


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 ・・・おき・・・・

・・・・お・・・・く


(ん?なんだ?誰かが呼んでいる?何かこう柔らかいものの上に寝かされているような・・・・)


「起きてくださいゼロ様!!」

「はっ!?」


 いきなり意識がはっきりとした。。


「よかったですよ!!ゼロ様が目覚めました!!」

「おお主殿!!」

「マスター!!」

「ご主人!!」

「お、お前たち・・・」


 みんなが俺の顔の近くに来た。俺はどうやら何とか沼から引き揚げられたようで、何かに寝かせられているようであった。


「って、カトレアの木の上か・・」


 カトレアの木の椅子を変形させ、その上に柔らかいスライムが敷かれて寝かされていたようである。ちょっと残念だと思っていたわけじゃないからね。


 自分の体を見ると泥だらけであった。


「ゼロ様がいきなり沈んでいったからもう心臓が止まるかと思いましたよ」

「そうか、沼に俺は沈んだんだったな。ハクロの糸で引き揚げたのか?」

「いえ、その・・・」

「ん?じゃあカトレアの木の根か?」

「違います」

「んんん?」


 なんかみんな言いにくそうな顔をしているな。


「あのな主殿、我らが主殿を引き揚げたわけじゃないのだ」

「え?」

「マスターヲヒキアゲタノハ・・・」

「そちらの方なんですよね・・・」


 ハクロが指さした方向を見ると、俺を沼から助け出したというものがその沼から出ていた。


「え?『人魚』?」

「違う。かといって『マーメイド』などのモンスターではないようじゃ」


 その違いがいまいちわからないので少し解説をしてもらった。


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「人魚」

下半身が魚、上半身は女性というアラクネに似た特徴を持つモンスター。つまり、この世界では日本の人魚のような見た目。その肉は不老不死の妙薬と言われるが、凶暴性が高く、海中では圧倒的な力を誇る。ちなみにその不老不死の効果がないことはこの世界では実証済みらしい。ランクはC。


「マーメイド」

人魚とほぼ同じ。ただし、特徴の違いとしてはこちらは男を誘惑して海に引きずり込み、捕食する恐ろしいモンスター。見た目は美しいが、海のみでしか生息ができず、海上に上がった途端、からっからの干物になって死んでしまうほどひ弱い一面を持つ。ランクはB。


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そんな微妙な違いがあるのか。見ると、そのモンスターは下半身が魚で、上半身が人間の女性とほとんど同じで、ハクロの蜘蛛の体が魚になった感じだった。沼に入っていたせいで少し泥がついてはいたが、その顔はハクロとは少し違う清楚な感じで、髪の色は美しい金色、そして体には・・・


「ってなんでなにもつけていないんだよ!!」


 上半身裸だよ!!?人魚なら間違っていないような気もしないけど貝殻とかつけてその豊満な胸を隠してよ!!ハクロだって最初会った時は隠していたぞ!?泥で何とか見えなくなっているけどさ!!


「そりゃ、水中にすむようなモンスターじゃからな。身につけるものが水に濡れて邪魔になるからつけられないじゃろ」

「納得はできるけどさ!!・・・待てよ?『人魚』でも『マーメイド』でもないモンスターならいったいなんだ?」

「おそらくじゃが、『セイレーン』かのぉ?」


 なんか両腕で「〇」とジェスチャーしているから正解なのか?


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「セイレーン」

『人魚』、『マーメイド』とも違うモンスター。水中にすむのに進化して下半身が魚へ進化した『マリンセイレーン』と、背中に翼が生えて空に住むように進化した『スカイセイレーン』の2種類がある。彼女たちに共通しているのはきれいな歌声を奏で、さまざまなことを引き起こすといわれているところである。また、歌は歌えるのにしゃべろうとするとなぜか言葉が出ない。その知能の高さと見た目は人間並みで、近年めったに姿を見かけなくなり、ダンジョンでしか目撃ができなくなっていてもはや幻ともいわれる。ランクはA。

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「つまり、この子はAランクモンスター!?なんでこの階層にいるんだよ!?」


この階層は21階層。つまり、Aランクモンスターは出ないはずなのだ。


「そこが不思議なんじゃよね。しかも、このような沼地に出現し、主殿を襲わずに助ける。なんでか聞きたいけれども、このモンスターは歌は歌えても、言葉を交わすことができん」

「本当にわからないんですよねー」


 見ると、セイレーンは俺の方をじっと見ていた。


『セイレーン(?)は仲間になりたいようだ。>従魔にしますか?』


 あ、またこのメッセージが出たよ。


「もしかして俺たちについていきたいのか?」


 こくりとセイレーンはうなずいた。


「もしかしたら従魔になれば私のようにしゃべられるようになるかもしれませんよ?」

「そうじゃな。それに、ここ出身ならば何かこのダンジョンで起きていることを知っておるかもしれん」

「ベツ二フエテイイヨー」

「ご主人がしたいようになされば文句はないです」


 みんなは別にいいようだった。なんか従魔になれるわかったのか笑顔を向けてきたよ。


「そうか、じゃあ従魔にするか。そうだな・・・お前の名前は『リーゼ』でいいな」


 こくんとうなずいたかと思うと、俺の足元にもう見慣れた従魔系欲の時に出てくる魔法陣が出てすぐに消えた。リーゼのほうは沼地に下半身が入った状態だったから出たのかはわからないけど、これで従魔になったはずだった。


「何かしゃべれるか?」


 リーゼは少し口をパクパクしたかと思うと、「×」と手をクロスさせて答えた。


「そうだ、ステータスを見てみるか」



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名前:『リーゼ』

種族:マリンセイレーン

年齢:0歳

MP:3900

ATK:29000

DF:3456


スキル:「従魔の絆」「絶世の歌声」「環境適応」「海の恵み」「乾燥しらず」「状態異常完全無効」

称号:「絶世の歌姫」「沼の主」「ダンジョン生まれ」「水中の女王」

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 結構予測ができたものがあるな。というか、なんかすんごいスキルがあるんだけど・・・。



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「絶世の歌声」・・・その歌声は何かしらの奇跡を引き起こす。

「環境適応」・・・どんな所でもある程度は適応して生き延びられる。

「海の恵み」・・・水系魔法使用時にその効果が大幅に上昇する。

「乾燥しらず」・・・陸に上がっても乾燥しないうるおい肌でいられる。

「状態異常完全無効」・・・毒、麻痺、火傷、魅了などといったものにはかからない。

「絶世の歌姫」・・・奇跡の歌を歌えるものにつく称号。

「沼の主」・・・沼地にて敵なしだったものにつく称号。

「ダンジョン生まれ」・・・ダンジョンに生まれ育ったものにつく称号。

「水中の女王」・・・水の中での動きがまさに優雅なものである者に付く称号。

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「結構いいのがあるな。というか、状態異常無効ってそれが一番すごいんだが」

「なんか乾燥しないのずるいです。冬のお肌のケアがいらないですし・・・・」

「その歌声とやらを聞いてみたいのぉ」

「キキターイ!!」

「しかし、歌うとき以外に声が出ないのは不便ですよね」


 確かにそうである。今のところジェスチャーでしか伝えられていないからな。


 リーゼも同意を示すかのようにうなずいているし。なんかいい方法なかったけな?


「ま、考えていても仕方がないし、とりあえず今日のところまでの調査を報告しにさっさと転送室に行って地上に帰還しますか」

「そうですね」

「ところで主殿、リーゼをどうやって連れて行けばよいのじゃろうか?」

「「「あ」」」


 そこ考えていなかったな。そうじゃん、確かにリーゼ地上では動けないじゃん。


「あ、でしたら私が肩に担ぐのはどうでしょうか?」

「それは絵面がすごい悪くなるような・・・」


 ハクロがリーゼを肩に担ぐ。その光景を考えるとどう見てもなんか悪者にしか見えないような・・・。


「ご主人、私が何とか運べそうなゴーレムを作ってみましょうか?」

「カトレア、そんなものができるのか?」

「ええ。ゴーレムの内部を水で満たして、その中に入れてみればなんとか」


 カトレアがゴーレムを作り、あっという間に完成した。


「これが水中従魔専用特殊搭乗型ゴーレム『水筒』です」


 自信満々の顔でカトレアが作り上げたのは、確かに胴体が水筒のようなゴーレムだった。一応、手足がおまけ程度にはついているがなんか見た目のバランスが悪いな。まあ、胴体はなんかものすごく薄くて丈夫な物を使っているらしく、水槽みたいにはなっているが。これ割れないよな?


「そういえば、中に入れる水はどうするんだ?」

「スラ太郎、どうせ帰還するのだし残りの水を全部入れてください」

「ワカッタヨー」


 スラ太郎が残りの水が入っていたスライムを呼び出し、みるみるうちに水が満杯になった。


「では、リーゼをこの中へ入れてください『水筒』」


 ゴーレムはそのおまけ程度の腕でリーゼを持ち上げて、頭の上からリーゼを自身の腹部に入れた。


「・・・」


 リーゼが少しその中の具合を確かめると、にっこりと「〇」を手で示した。どうやら結構気に入ったようである。


「というか、従魔用空間に入れてあげればよかったんではないですか?」

「「「あ」」」


 そのことをもっと早く思いつけばよかったな。


 まあ、一応仕方がないので、このままリーゼをゴーレムに入れて転送室へと向かったのであった。





 



リーゼ:フランスの中世の時代当たりの海の精の名前らしい。間違っている」かもしれませんが。

というか、結局ここで従魔が増えたな。これで空・陸・海に対してはそれなりに大丈夫になったな。

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