閑話 宿にて
宿での出来事(毎回似たことがあるそうな)
「あ〜生き返る〜」
ダンジョンから戻り、俺は今、宿の露天風呂に入っていた。
いやだってね、ちゃんと風呂に入りたかったんだもん。ダンジョンは結構汚れるからね。ま、寝る前には従魔たちはちゃんと従魔用空間にいれるけどね。また命の危機になるかもしれんからな。
ちなみに、ハクロたちは女湯ではなく従魔用風呂に入っていた。この宿は魔物使いが泊まった際に、従魔たちにも風呂を提供してくれる宿でもある。
一応、念のためにハクロが覗き対策に何重にも糸の罠をはっていたが、ま、従魔用の風呂にわざわざ覗きにいくやつはいるまい。ハクロたちは人型だけど、大抵はスライムや、ウルフ系が入るからな。それに、彼女たちの風呂を覗きに行くような命知らずはいないだろう。
「おい、本当か?綺麗な女が従魔用の風呂に入っているって」
「ああ、間違いない。一応モンスターらしいが、どれも普通の女、いや、絶世の美女と変わらないらしい見た目のようだ」
「この宿屋に泊まろうとしていた姿を見かけた。美しいアラクネだったから怪物殺しの従魔だろう」
「おいおい、怪物殺しの従魔なら確かみんな綺麗どころばかりだが、覗きに対しては恐ろしいお仕置きをするらしい。命は惜しくないのか?」
「バカかお前は。絶世の美女の風呂の姿と引き換えなら命は惜しくないわ!」
・・・いたな。命知らずが。
この後、風呂から上がった際に湯船から断末魔が聞こえたが、聞かなかったことにした。
翌日、命知らずたちは裸で全員宿屋の外に、体中にあちこち青あざをつけて、首から「覗き魔」「変態」と書かれたプレートを付けて吊るされていたが見なかったことにしたのであった。
後日談
なお、ハクロたちは知らんぷりしていたため、その命知らずたちはそれっきりその都市から見なくなったそうな。




