『知性を持った怪物』
しかしあれだな、黒魔石っていったいなんだろうな?
『な、何が起こったのだ一体・・・。何でこんな姿に我はなっているのだ・・・』
「な!?怪物が言葉を!?」
これには俺たちも驚いた。これまで黒魔石の暴走によって生まれた怪物たちにはあの箱モンスターを覗いてどれもまともには喋れていなかった。ハグエェは喋っていたが、あれはまだ意識が少し残っていたようだったし、ほんのわずかだけだった。
だが、今王城から出てきた怪物は違った。
これまで相手にしてきたのはどれも表面がドロドロした感じがあった。
だが、この怪物はまるで金属のような硬質な表面だった。
そして、意識がどうもはっきりとあるらしい。
『こ、これはいったい・・・・ん?体から無限のように力があふれ出てくるぞ!!これならば王国どころか世界すらも牛耳れるぞ!!なんともいい気分だ!!』
訂正。やっぱりバリバリ力に飲み込まれていないか?どう考えてもおかしいじゃん。
『主殿!!早く我らを出してくれ!!』
「あ、忘れていた」
そういえばみんな入れっぱなしだったね。
「出て来い!!アルテミス!ハクロ!カトレア!スラ太郎!!」
今回はみんなちゃんと出てこれた。前出せなかったときがあったからね。少し不安だったよ。
「ゼロ君!あの怪物はどうやら皇帝の意識がしっかりとあるみたいだ!!このまま攻撃する前に話してみたほうがいい!!」
「いや!ああなったやつはたいていろくでもないことを『手始めにあの交渉人どもを吹っ飛ばしてやろう!!』・・・ね」
いう前にろくでもないこと言いだしたよあの怪物は。交渉人を吹っ飛ばすといっている時点でもう交渉なんてするつもりないじゃん。
『新しく生まれ変わった我が力をくらうがよい!!「エンペラー・ビーム」!!』
「技名ださっ!?」
なんとも残念なセンスなことで・・・って言っている場合じゃない!!
怪物が口を開けたかと思うと、そこから猛烈な光線が出された。
「守って!!『ウッドマン』!!」
カトレアがそう言ったとたん、以前出したあの大きなゴーレムが出てきて、俺らの壁となった。
しかし、怪物の光線はすさまじく、防ぎ切った後ゴーレムが倒れて崩れてしまった。
「あの光線の威力はまずいです・・・もう耐えられるゴーレムがありません」
「あれはさすがに我でもきついのう。まともに戦っても勝ち目はないじゃろ」
カトレア、アルテミスともにあの怪物とまともには戦えないと判断した。
「糸で縛ることもできなさそうですし、何よりあれに近づけそうにもありません」
「アノビームスゴーイ!スライムジャムリ!!」
ハクロ、スラ太郎ともに無理と判断。
「仕方がない。逃げるぞ!!」
いくら俺達でも戦えない相手とは戦いたくない。ここは三十六計逃げるに如かず。
だが、相手はしっかりと考えることができる怪物。いきなり王城をつかんだかと思うと、そのまま城ごと投げてきた!!
「ゼロ君あれはどうするかね!!よけられん!!」
「いやそんことを言われても!!」
そのままその城は俺たちの上に落ちてきたのであった・・・・。
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「おや?あの怪物意識が残っている?これは意外だね。さて、なんか城につぶされたようだけど、彼らはあのまま終わらないかな?うまいこといけば、あの「お方」の記憶が目覚めるかもね・・」
城壁の上で、いまだに観察をしている仮面の男はそうつぶやいたのであった。
さて、どうするよ。




